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Bonjour! (てらこや新聞 2019年秋・冬号 谷のコーナーより)

Bath salt

今年も、湯船に浸かると自分の身体が冷えていたことがわかる季節になった。これから真冬に向け、入浴にかかる時間はだんだん長くなる。我が家では、入浴剤を久しく使っていなかったが、数年前にいただきものを試してみたところ、その保湿効果を実感したのは私だけではなかったようだ。それ以来、空気が乾燥している季節には入浴剤を使う頻度が高くなる。

先日、ホームセンターで小袋入りの入浴剤がよりどり15個のワゴンセールで売られていた。ワゴンの中には、おなじみの温泉と同様の効能をうたっているものだけでなく、私が抱いていた入浴剤のイメージそのものを更新させるものがたくさんあった。ゆずではなくマスカット、ひのきではなくローズヒップ……それらは「入浴剤」よりも「バスソルト」のほうが似合うものばかりで、知らぬ間にお風呂場で楽しめる世界は大きく広がっていたのを知った。

結局、私が選んだ15個のうち、大半は全国の名湯やこれまでの定番ものに落ち着いてしまった。しかし、お風呂の時間くらいは、国内の温泉にとどまらず、まだ見ぬバスソルトの世界へ浸かってみるのもいいのかもしれない。新しく買ったのを試すのは、もう少し秋が深まってゆっくり湯船に浸かりたい季節になってからにしよう。


by terakoya21 | 2019-12-31 08:30 | 新聞最新号

Bonjour! (てらこや新聞 2019年秋・冬号 谷のコーナーより)

Brass band

9月上旬、チャリティージョイントコンサートを聴きに行った。大学校友会から県内在住の卒業生向けにお知らせが届き、地元でこの演奏会が開催されるのを知った。私自身が現役の吹奏楽部員だったのは中学生の時で、大学在学中の4年間には吹奏楽部とこれといった縁はなかった。しかし、母校である大学と母校である高校が共演する珍しいこの機会に、久々に吹奏楽を聴いてみたくなった。

大学生の司会進行による和やかな雰囲気の中、県内の公立中学校・県立高校の吹奏楽部が順番に数曲ずつ演奏した。舞台からは、演奏会独特の緊張感と音楽を楽しむ若さがあふれていた。出演校がそれぞれに自分たちの持ち味をいかした選曲やパフォーマンスを披露し、あっという間の2時間半だった。

演奏を聴きながら、楽器の練習に励んでいた中学校時代を思い出した。部内の先輩・後輩の区別ははっきりとつけられていて、全パートが出揃って合奏練習をする音楽室にはピリピリとした空気が張り詰めていた。しかし、顧問の先生がタクトをふれば、それに合わせて各パートの音が重なり合い、一つのハーモニーが出来上がっていた。ある日の合奏練習中に、私は全身が温かな音に包まれたのを感じた。当時の細かな記憶はどんどん薄れてしまうけれど、あの時の不思議な感覚と感動は今でもはっきりと覚えている。


by terakoya21 | 2019-12-22 08:30 | 新聞最新号

Bonjour!(てらこや新聞 2019年 春・夏号 谷のコーナーより)

Planting

地元のローカル新聞には、中学校の部活動を紹介するコーナーがある。日頃の活動内容や大会での実績、顧問や部長のコメントが掲載されている。毎週欠かさずに読んでいるわけではないが、出身校や寺子屋生の通う学校のクラブには、自然と興味をひかれて目を通す。

縁あって、私は母校での茶道クラブのお手伝いをしている。お菓子とお抹茶を楽しみにクラブへやってくる小学生たちからは、毎回のように私自身が学ぶ機会を与えられている。私の知る限り市内の公立中学校には茶道部がなく、卒業後にも茶道に関心を持ち続けているのかどうか、私には知る術がない。それでも、いつかまた茶道に触れる「種蒔き」になればと、微力ながらも試行錯誤しているうちに十年が過ぎていた。

先日の紙面には、私立中学校の茶道部が紹介されていた。何気なく読み始め、部員の集合写真の中に見覚えのある女子生徒が写っているのに気付いた。制服姿の彼女は、ほんの数か月の間にお姉さんになったように見えた。茶道部を選んだ理由は、本人に聞いてみなければわからない。中学校の茶道部が魅力的だからかもしれないし、お家の方の勧めがあったからかもしれない。もしかしたら、友達に誘われたからかもしれないし、他に興味のあるクラブがなかったからかもしれない。理由はどうあれ、中学生になっても茶道への興味を失わずにいたことがわかり、私は心の中で小さくガッツポーズをした。

私のが今まで蒔いたつもりの種の多くは、いつ芽を吹くのかわからなければ、芽吹くことなく終わってしまうのかもしれない。けれど、今後も機会を与えられる限りは、土を耕し、小さな種を蒔き続けていきたいと思っている。



by terakoya21 | 2019-08-15 08:30 | 新聞2019春夏号

Bonjour! (てらこや新聞2019年 春・夏号 谷のコーナーより)

パスポート

海外旅行をすることが決まり、パスポートを申請した。私が初めてパスポートを手にしたのは、高校2年生の夏だった。大学生の間も何度か使うことがあり、学生時代の思い出の品の一つ。

その紺色のパスポートも、期限が切れてもう十年以上経っていた。まずは、申請書類や必要書類を取りに行かなければならない。普段足を運ぶことのない場所に少し緊張していたが、窓口でのていねいな説明のおかげで不安はずいぶん和らいだ。それほど急を要するわけではなく、申請書は自宅で落ち着いて記入することにした。鉛筆で下書きをして書き始めたものの、提出用の一枚を仕上げた時には予備分を使い果たしていた。

自宅で、窓口で、住所、名前、生年月日を確認する作業を何度も経て、申請から約一週間後、無事に受け取ることができた。赤い表紙の新しいパスポートは、チップが搭載されて以前よりも分厚くなっている。表紙をめくると、相も変わらず緊張した面持ちの写真と少し力んだ署名がしっかりと写し込まれていた。久しぶりの海外に不安を挙げればきりはないが、このパスポートを手にどんな旅ができるのか楽しみだ
by terakoya21 | 2019-07-15 08:30 | 新聞2019春夏号

Bonjour! (てらこや新聞164-167号 谷のコーナーより)

ふつおた

「ふつおた」とは、主にラジオ番組でリスナーから送られてくる、特定のコーナー宛てではない、「普通のお便り」のことを指すそうだ。パーソナリティーへの質問、最近起こった珍事や惨事、ふと思い出したり考えたりしたことなど、その内容は多様だ。中には、親しくない誰かにしかできない打ち明け話、面識のない誰かだからこそ聞いてほしい悩み事もある。そういった話が出てくるのは、顔もプロフィールも知られずにすむラジオならではだと思う。

ふつおたは、テーマがないことがテーマだ。それゆえに、どの番組でも比較的さらりと読まれることが多い。しかし、それを簡潔な文章にまとめるのは決して簡単ではない。ときには、ふつおたから話が思わぬ方向へ進んだり、大きな議論を巻き起こしたり、一つのコーナーが誕生してしまうこともある。相手の顔が見えても見えなくても、何気ない日常の題名のない話が盛り上がるかどうかは、話し手や聞き手の技量と資質によるところが大きい。そんなふうに構えてしまう私にとって、「ふつおた」はとても普通には送れそうにない。


by terakoya21 | 2019-05-06 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞164-167号 谷のコーナーより)

By postcard

年賀状を出しそびれた方へ返信を出そう出そうと思いつつ、出せないまま今日を迎えている。できれば寒中見舞いとして近況報告を添えようと考えていたのに、すっかりタイミングを逃してしまった。

数年前から、雑貨店や文具店ではずいぶんと多種多様な付箋やメッセージカードを見かけるようになった。その一方で、便箋や絵はがきのバリエーションは減っている印象を受ける。手紙やはがきで通信しあう習慣が廃れつつある証拠といえるかもしれない。絵はがきのコーナーには、「アニメキャラクター」や「ネコ」や「桜」といった流行りや定番ものがコーナーの大部分を占めている。また、季節を問わないイラストや写真には祝いや励ましの言葉が添えられている。以前のように飾っておきたくなるものや久々に便りを出すような場面に適した絵はがきは、年々手に入れるのが難しくなっているようだ。

特にこの数週間は、ここなら……と淡い期待を抱いてお店に入っては、ため息をつきながらお店をあとにしている。自分が必要たど思うものと世間のそれとがずれているのに気づいたとき、時代に取り残されたような寂しい気分になる。しかし、嘆いていても仕方がない。これからは見つけられればラッキーだと思うことにして、探すこと自体を楽しんでいこう。


by terakoya21 | 2019-05-03 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞164-167号 谷のコーナーより)

初期化

数か月前、スマホを初期化した。……いや、初期化せざるをえなくなった。幸い、いくらかバックアップがとってあり、知り合いの連絡先情報はほとんど失わずに済んだ。

スマホを使い始めて3年半が過ぎた。スマホを使うたびに、私自身の処理能力とは無関係にデータは溜まっていく。初期化と同時に、それまで蓄積されていたデータは消え、空き容量が増えた。中にはできれば残しておきたかった記録や画像もあった。しかし、これを機に、今までの使い方を見直すことにした。アプリはより使い勝手のよいものを選び、バックアップしているデータも整理した。

時の流れとともに、私自身の生活習慣も変化している。身の回りのさまざまなものについて、本当に要るのか、残しておくのか、基準を改めるときなのかもしれない。初期化はできなくても、スマホのように私の動作も少しは改善されることを期待して。


by terakoya21 | 2019-05-01 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞164-167号 谷のコーナーより)

I love it!!!


月に3、4回、3歳の甥っ子と顔を合わす。習得したての言葉や行動に周りの大人は驚いたり笑ったり、我が家に明るい話題を提供してくれている。最近、叔母さんは優しくないとわかり始めたようだ。それでも、上機嫌のときは「おばちゃん、遊ぼう!」と笑顔でかけ寄ってくる。そして、その度に私は毎日続いていく育児の大変さを教えられている。


ある日、甥っ子が目についたおもちゃを次々と手に取って「ママ、これ大好き?」と母親である義姉を質問攻めしていた。このほほえましい光景を見ながら、好きなものについて考えた。好きな食べ物、好きな動物、好きな本……お気に入りならいくつもあるが、大がつくほど好きかと問われれば、そこまでではない気がする。私が大好きと躊躇なく言えるのは一体何だろう。


おそらく、甥っ子は「『好き』と『好きじゃない』」を「『大好き』と『好きじゃない』」と認識している。彼の大好きなものは会うたびに変わっていて、なかなか手放さなそうとしなかったおもちゃでも、数日後には見向きもしなくなることなど珍しくはないようだ。年々フットワークが重くなっている私には、その身軽さがときに羨ましく思う。そして、テンポよく相手をしてくれない 叔母さんが「これ大好き?」と尋ねられる心配はなさそうで少し安心している。






by terakoya21 | 2019-04-21 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞159-163号 秋・冬号 谷のコーナーより)

Voice Recording

お盆休み、英会話スキットの音声録音に取り組んだ。日頃お世話になっている方から、自身の再勉強のためにとお願いされていたのだ。あまり深く考える間もなく、お引き受けし、その場で茶道を紹介する英会話集一冊とボイスレコーダーを託された。

後日あらためて会話集に目を通すと、茶道に関する言葉を英語でどのように言えばよいか、またどのように説明すればよいかが書かれていて、興味深い内容だった。しかし、その一方で日本語にも英語にも、言い慣れていない言葉や発音のわからない言葉がいくつも含まれていた。さらに、英語の発音以前に発声そのものにも注意を払わなければならないこと、初めて使うレコーダーでの録音には結構な時間を要しそうなことがわかった。そこで初めて、大きな宿題をもらってしまったことに気づいた。作業としては、掲載されている英単語や英文とそれに対応している日本語を交互に読み上げていくのだが、そもそも、留守番電話にメッセージを残すことすら苦手な私にとって、音声録音はかなり難しいことに思えた。

それ以来、会話集はすぐ手の届くところに置いていても、提出期限が定められていなかったのをいいことに、レコーダーにはなかなか手を伸ばせずにいた。今日こそは終わらせるぞ!と、気合いを入れて臨んだ録音当日、一人で部屋にこもって作業を始めると、使い慣れない器械と言葉のせいか、手にじんわりと汗をかいた。作業自体は、意外と順調に進み、後半になると緊張がゆるみ集中力が切れ始め前に何とか終わらせることができた。

その後お会いした際には、早速に毎日聞いて 勉強していて、外国人旅行者との会話で実践してみたとの報告をいただいた。その姿に、相手に伝えたいことがあり、それを持つ人こそ道具として英語を使えるのだと教えられた。


by terakoya21 | 2019-01-13 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞159-163号 秋・冬号 谷のコーナーより)





月三


寺子屋かめいのブログ『てらこや新聞』は、毎日更新されている。私は、2013年には日付に  3のつく日、2014年には4のつく日、というぐあいで月に三回だけ書き込みをしている。そして、20181228日の更新を無事に終えれば、その担当を六年間務めたことになる。


2012年のある日、私もブログ更新ができるようになれば、授業以外の仕事を少しでも分担できるのではないかと思いついた。しかし、思いついてみたものの、実行に移したところで、私には毎日の更新などとても務められそうになかった。毎日どころか週1回でも難しそうだ……そう考えていたときに私の耳へ入ってきたのが「3のつく日はラッキーデー」という趣旨のパチンコ屋のラジオCMだった。そのお気楽なCMソングのせいか、月に三日ならできそうな気分になった私は、1228日の大掃除後に申し出て、翌年の13日かにブログデビューを果たした。


しかし、新しい習慣が定着するまでには、思っていたよりも時間がかかった。始めた当初には、手帳の更新予定日にマークをつけても、そのマークの意味すら思い出せないことがたびたびあった。今もなお、更新日から更新日予定日までの九日間は気づかぬうちに過ぎる。すっかり失念していて翌日の更新になっているのは、ブログを閲覧してくださっている方ならご存知の通りだろう。


月三回ということは、一年間では36回、六年間では216回になる。このコーナー以上に、とりとめのない内容ばかりだとは思いつつ、更新回数を見るとそれなりの達成感を覚える。この「継続」もきっと何かしらの力になっていると信じている。






by terakoya21 | 2019-01-07 08:30 | Bonjour

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


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