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Bonjour!(てらこや新聞 2019年 春・夏号 谷のコーナーより)

Planting

地元のローカル新聞には、中学校の部活動を紹介するコーナーがある。日頃の活動内容や大会での実績、顧問や部長のコメントが掲載されている。毎週欠かさずに読んでいるわけではないが、出身校や寺子屋生の通う学校のクラブには、自然と興味をひかれて目を通す。

縁あって、私は母校での茶道クラブのお手伝いをしている。お菓子とお抹茶を楽しみにクラブへやってくる小学生たちからは、毎回のように私自身が学ぶ機会を与えられている。私の知る限り市内の公立中学校には茶道部がなく、卒業後にも茶道に関心を持ち続けているのかどうか、私には知る術がない。それでも、いつかまた茶道に触れる「種蒔き」になればと、微力ながらも試行錯誤しているうちに十年が過ぎていた。

先日の紙面には、私立中学校の茶道部が紹介されていた。何気なく読み始め、部員の集合写真の中に見覚えのある女子生徒が写っているのに気付いた。制服姿の彼女は、ほんの数か月の間にお姉さんになったように見えた。茶道部を選んだ理由は、本人に聞いてみなければわからない。中学校の茶道部が魅力的だからかもしれないし、お家の方の勧めがあったからかもしれない。もしかしたら、友達に誘われたからかもしれないし、他に興味のあるクラブがなかったからかもしれない。理由はどうあれ、中学生になっても茶道への興味を失わずにいたことがわかり、私は心の中で小さくガッツポーズをした。

私のが今まで蒔いたつもりの種の多くは、いつ芽を吹くのかわからなければ、芽吹くことなく終わってしまうのかもしれない。けれど、今後も機会を与えられる限りは、土を耕し、小さな種を蒔き続けていきたいと思っている。



by terakoya21 | 2019-08-15 08:30 | 新聞最新号

Bonjour! (てらこや新聞2019年 春・夏号 谷のコーナーより)

パスポート

海外旅行をすることが決まり、パスポートを申請した。私が初めてパスポートを手にしたのは、高校2年生の夏だった。大学生の間も何度か使うことがあり、学生時代の思い出の品の一つ。

その紺色のパスポートも、期限が切れてもう十年以上経っていた。まずは、申請書類や必要書類を取りに行かなければならない。普段足を運ぶことのない場所に少し緊張していたが、窓口でのていねいな説明のおかげで不安はずいぶん和らいだ。それほど急を要するわけではなく、申請書は自宅で落ち着いて記入することにした。鉛筆で下書きをして書き始めたものの、提出用の一枚を仕上げた時には予備分を使い果たしていた。

自宅で、窓口で、住所、名前、生年月日を確認する作業を何度も経て、申請から約一週間後、無事に受け取ることができた。赤い表紙の新しいパスポートは、チップが搭載されて以前よりも分厚くなっている。表紙をめくると、相も変わらず緊張した面持ちの写真と少し力んだ署名がしっかりと写し込まれていた。久しぶりの海外に不安を挙げればきりはないが、このパスポートを手にどんな旅ができるのか楽しみだ
by terakoya21 | 2019-07-15 08:30 | 新聞最新号

Bonjour! (てらこや新聞159-163号 秋・冬号 谷のコーナーより)

Voice Recording

お盆休み、英会話スキットの音声録音に取り組んだ。日頃お世話になっている方から、自身の再勉強のためにとお願いされていたのだ。あまり深く考える間もなく、お引き受けし、その場で茶道を紹介する英会話集一冊とボイスレコーダーを託された。

後日あらためて会話集に目を通すと、茶道に関する言葉を英語でどのように言えばよいか、またどのように説明すればよいかが書かれていて、興味深い内容だった。しかし、その一方で日本語にも英語にも、言い慣れていない言葉や発音のわからない言葉がいくつも含まれていた。さらに、英語の発音以前に発声そのものにも注意を払わなければならないこと、初めて使うレコーダーでの録音には結構な時間を要しそうなことがわかった。そこで初めて、大きな宿題をもらってしまったことに気づいた。作業としては、掲載されている英単語や英文とそれに対応している日本語を交互に読み上げていくのだが、そもそも、留守番電話にメッセージを残すことすら苦手な私にとって、音声録音はかなり難しいことに思えた。

それ以来、会話集はすぐ手の届くところに置いていても、提出期限が定められていなかったのをいいことに、レコーダーにはなかなか手を伸ばせずにいた。今日こそは終わらせるぞ!と、気合いを入れて臨んだ録音当日、一人で部屋にこもって作業を始めると、使い慣れない器械と言葉のせいか、手にじんわりと汗をかいた。作業自体は、意外と順調に進み、後半になると緊張がゆるみ集中力が切れ始め前に何とか終わらせることができた。

その後お会いした際には、早速に毎日聞いて 勉強していて、外国人旅行者との会話で実践してみたとの報告をいただいた。その姿に、相手に伝えたいことがあり、それを持つ人こそ道具として英語を使えるのだと教えられた。


by terakoya21 | 2019-01-13 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞159-163号 秋・冬号 谷のコーナーより)





月三


寺子屋かめいのブログ『てらこや新聞』は、毎日更新されている。私は、2013年には日付に  3のつく日、2014年には4のつく日、というぐあいで月に三回だけ書き込みをしている。そして、20181228日の更新を無事に終えれば、その担当を六年間務めたことになる。


2012年のある日、私もブログ更新ができるようになれば、授業以外の仕事を少しでも分担できるのではないかと思いついた。しかし、思いついてみたものの、実行に移したところで、私には毎日の更新などとても務められそうになかった。毎日どころか週1回でも難しそうだ……そう考えていたときに私の耳へ入ってきたのが「3のつく日はラッキーデー」という趣旨のパチンコ屋のラジオCMだった。そのお気楽なCMソングのせいか、月に三日ならできそうな気分になった私は、1228日の大掃除後に申し出て、翌年の13日かにブログデビューを果たした。


しかし、新しい習慣が定着するまでには、思っていたよりも時間がかかった。始めた当初には、手帳の更新予定日にマークをつけても、そのマークの意味すら思い出せないことがたびたびあった。今もなお、更新日から更新日予定日までの九日間は気づかぬうちに過ぎる。すっかり失念していて翌日の更新になっているのは、ブログを閲覧してくださっている方ならご存知の通りだろう。


月三回ということは、一年間では36回、六年間では216回になる。このコーナー以上に、とりとめのない内容ばかりだとは思いつつ、更新回数を見るとそれなりの達成感を覚える。この「継続」もきっと何かしらの力になっていると信じている。






by terakoya21 | 2019-01-07 08:30 | Bonjour

Bonjour!(てらこや新聞159-163号 秋・冬号 谷のコーナーより)

ながら○○

ながらスマホ――この言葉をよく聞くようになり、その光景をよく目にするようになった。 その時その場でスマホを使う理由がそれぞれにあるのだろう。今のうちに済ませておきたい連絡があるのかもしれないし、騒がしい喧騒から逃れたいのかもしれない。はたまた、仕事や勉強の 時間を過ごしているのかもしれない。

例えば電車での移動中、近くで交わされる会話や目に映る光景は、なんとなく見聞きしながら時には見えないふり聞こえないふりをする。昔も今も変わらず、それがマナーだと思っている。だからこそ、公共の場で過ごすときは、お互いに気持ち良く過ごすために配慮が必要なのだと思う。それは自分と他人が同じ空間を共有している意識を失わないことでもある。自分の世界に入り込んで周囲の気配を感じないのと同じとは思えない。

「ながら○○」は、 スマホに限ったことではない。「女性には同時に二つ以上のことができる人が多い」とどこかで耳にしたことがあるが、私自身は一つのことですらきちんとこなせない時がある。もし、片方に気を取られ、もう一方がおろそかにならないならば、なんと効率的だろう。ときどき、「ながら添削」や「ながらエッセイ」できるほどの技量や思考力を備えていたら……などと妄想しながら、今日も問題集やパソコン画面と向き合っている。



by terakoya21 | 2018-12-23 08:30 | Bonjour

Bonjour!(てらこや新聞159-163号 秋・冬号 谷のコーナーより)

日焼け

この夏も、日に焼けてしまった。旅行やレジャーに出かけたのなら、日焼けもお土産の一つに入るだろう。皮がむけるほどなら、それも夏の思い出になる。しかし、残念ながらそうではない。日々の対策を怠って、肌色がワントーン濃くなったのだ。

世の中には日焼けが似合う人と似合わない人がいて、私は後者だ。色白というわけではないが、強い日差しや汗の影響で肌荒れが起こりやすい。そのせいか、日焼け止めクリームを持ち始めたのは同級生より早かったのかもしれない。全身真っ黒になっていたのは、小学六年生の夏までだ。それ以降はインドアスポーツに励んでいたこともあり、 ヒリヒリと赤くなった後に黒くなる日焼けは避けられなかった場合に限られている。

夏の終わりのお風呂上り、あまり日焼けしないももの内側に、年中日焼けしている右手をあてて、その色の差をまじまじと見つめる時がある。二十代の頃はこまめに日焼け止めを塗り直していたが、今はあの頃のようなストイックさはない。だからしかたがないと開き直りたい気持ちと、だからといって開き直ってはいけないという気持ちがせめぎ合いをする。日焼けなど気にせず夏を満喫したとは言いがたい感じを、私の肌色はよく表している。


by terakoya21 | 2018-12-10 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞147-149号 谷のコーナーより)

夏休みの宿題

小学生の頃、夏休みの宿題といえば『夏休みの友』だった。同郷の同世代なら 「何が『友』やねん……」とつぶやいた経験のない人のほうが少ないだろう。しかし、この話が通じる世代と通じない世代、通じる地域と通じない地域があると知ったのは、この仕事を始めてから数年後のことだ。現役寺子屋生の話によれば、今は『なつっこ』や『サマースキル』という名の問題集が渡されているそうだ。

寺子屋では、夏休みが近づくとどんな宿題が出されているのかを、八月に入るとどれくらい進んでいるかを、そしてお盆明けにはすべて終わらせたかを、生徒たちは毎回のように尋ねられる。早々と終わらせて暇を持て余している生徒もいれば、読書感想文や自由研究に頭を悩ませている生徒、今年も計画倒れに終わりそうな生徒もいる。

私はというと、当時は真面目な生徒だったはずだが、今はどうだろう。『てらこや新聞』の創刊以来、エッセイ原稿は毎月の提出課題となっている。締切り前に余裕を持って仕上げられていたのは、いったい何号前のことだろうか。お盆休みの最終日に課題が進まないことさえもエッセイのネタにする荒業を使うようになったのは、果たして成長と呼べるのだろうか。



by terakoya21 | 2017-11-06 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞147-149号 谷のコーナーより)

マニキュア

爪の補強、身だしなみ、趣味の一つ……マニキュアを塗る理由は、人それぞれだ。知り合いや友人にはいつも爪の先の先まで手入れを欠かさない人が何人もいるが、諸々の事情で、私の頻度はかなり低いほうだ。かと言って、興味関心がないわけではなく、おしゃれなネイルやきれいな指先にはつい目がいく。

年に数回とはいえ、自分の短くていびつな爪を少しでもきれいに見せたくなるときがある。マニキュアの蓋を開けた瞬間に広がる香りは、いつも私の鼻を刺激する。お約束のように敏感に反応してしまうのは、未だに慣れていないという何よりの証拠だろう。お店には、カラフルでラメやパール入りのものがバリエーション豊かに並んでいるものの、アラが目立ちにくくて生活や仕事に支障なさそうなタイプばかりに手が伸びる。

「ネイル」と呼ぶには程遠く、母や姉の見様見真似でしていた学生の頃からたいした上達もなくてぎこちない。決してきれいとは言えない仕上がりだけれど、先っぽに少しの色とツヤが加わるだけで、毎回、自分の手が自分の手でないような不思議な気持ちになる。それから数日の間は、いつもより手や指の仕草を意識しながら過ごしている。それもつかの間、リムーバーとコットンで一本ずつマニキュアを拭き取ってしまえば、私の指先にはまた日常が戻ってくる。



by terakoya21 | 2017-10-28 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞147-149号 谷のコーナーより)


Seasonal Sessions

寺子屋では、季節講習のほとんどが普段の授業では補いきれないところや時間をかけることが難しいところの強化を目的に開講される。八月上旬を過ぎる頃、学校の夏休みと同様、夏期講習は折り返し地点を迎える。

普段とは異なる曜日の異なる時間帯に行われる授業は、担当講師や生徒の顔ぶれも異なり、正規授業とは違った雰囲気になる。学校授業の進度に気を取られないという気の持ちようも関係しているのかもしれない。

世間では、顔を合わせる回数が増えれば増えるほど相手との距離が縮まると言われている。寺子屋でも季節講習を通して講師と生徒の双方がペースを掴み、生徒同士の新たな交流が始まったりすることはよくある。おとなしいタイプだった生徒が自分からいろいろな話をするようになり、互いの名前すらあやふやだった生徒同士が楽しそうに筆記用具の貸し借りをするようになる。

振り返ってみれば、寺子屋を去った後も続くような人間関係の始まりは季節講習であることが多い。もちろん、みんながみんな、望ましい方へ進むとは限らない。それらは計画にはない副産物のようなものだ。そして、この講習の成果が結果として現れるのはもう少し先のことだが、本来の目的を見失うことなく、夏期講習を終えたいと思う。


















by terakoya21 | 2017-10-15 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞141-142号 谷のコーナーより)

二代目

昨年、車を買い替えた。つまり、それまで乗っていた車を手放した。前の車は、あと3か月ほど経てば7年目を終えていた。初めて「マイカー」と呼ぶことのできる車だったが、3度目の車検まで半年を切り、自分の生活パターンと運転技術、そして今後の維持費を見直したことをきっかけに買い替えることに決めた。

初めて車を買った時の決め手ははっきり覚えていないけれど、ライフスタイルの変化とともに、当時とは優先順位が異なっているに違いない。この7年の間に、豊富とはいえないながら、運転経験や車についての知識は増えている。ただ車に乗っている姿をぼんやりと思い描いていた前回とは異なり、今回は生活のどんな場面でどんな風に使えるほうがいいのかなど具体的に考えられるようになっていた。


 とはいえ、候補を絞り込んでからも、あれやこれやと考え出せばキリがなかった。そうとわかりつつも、カタログ片手にあれこれと天秤にかけ続ける日が続いた。しかし、いざ購入車を決めてからはとんとん拍子で手続きが済み、マイカーとのお別れの日は予想以上に早く訪れた。

 そして今、一回りは小さくなった二代目のマイカーの座り心地がようやく体に馴染んできたところだ。何だかんだと気をもんだけれど、住めば都、いや、乗れば愛車だと思っている。


by terakoya21 | 2017-02-25 11:44 | Bonjour

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