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不思議な宣長さん(てらこや新聞85号 吉田館長のコーナーより)

第十三話 宣長さんと金環日食!

和歌子 今年は宣長さんが生まれて282年目です。

らん 1730年生まれですね。

和歌子 今年の5月21日、三重県では金環日食が見えるはずです。

らん 金の輪っかみたいに見えるのですよね。本で見たことがあります。すてきでした。

和歌子 天気がいいといいですね。

らん でもどうして金環日食なのですか。

和歌子 実は三重県で金環日食が見えるのは、282年ぶりなのです。

らん ということは、えっ!宣長さんの生まれた年以来ですか。

和歌子 それがどうしたと言われそうだけど、三重県で前回見えたのは1730年7月21日、宣長の誕生日は5月7日、今の暦では6月21日です。

らん 生まれて一ヶ月の赤ちゃんの時ですね。

和歌子 大きくなっていたら記録は残してくれたでしょうけど、でも、まだ無理ですね。

らん 宣長さんは、科学にも関心あるのですか。

和歌子 動植物学は、漢方とはいえ医者だから人並み以上の知識はあったはずです。古典研究でも必要ですよね。

らん 気象や天文学はどうなのですか。

和歌子 今なら中学生ですね14歳の時に『新板天気見集』と言う天気予報の本をまとめました。

らん 自分で調べたのですか。

和歌子 本からの抜き書きです。でも興味があったのですね。

らん 宇宙は?

和歌子 日本の神話には、不思議なことに「星」がほとんど出てきません。

らん 星の神話がないのは寂しいけど、昔の人は星を見なかったのかなあ?

和歌子 でも宣長さんに限ったことではないけど、月食や日食、星でも怪異星への関心は今以上ですね。

らん 天照大神が天の岩戸に隠れたから日食だと聞いたことがあります。不思議だったでしょうね。

和歌子 でも今の人と違って基礎的な知識がないからね。それでもね宣長さんは、『天文図説』と言う本を書いて、日食や月食が起こる理由などを考えたり、『葛花』では、地球が浮かぶことについて疑問を抱いたりしています。

らん 地球が浮かぶ?

和歌子 宣長は地は球であるという西洋の天文学の知識を知って、富士山に登った時の体験から、それは事実だろうと考えます。

らん 富士山に登ったのですか。

和歌子 22歳の時です。だから「地」が「球」であるのは間違いがないけど、そんなものがどうして何もないところ、つまり宇宙空間に浮かぶのかと考えるのです。

らん さすがですね。ずいぶんいろんなことを考えるのですね。でも私はさっきの怪異星についての話がもっと聞きたい。

和歌子 それはまたお話しします。

(Y.Y)
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by terakoya21 | 2012-04-27 20:56 | 不思議な宣長さん

不思議な宣長さん (てらこや新聞84号 吉田館長のコーナーより)

第十二話 『古事記』が編さんされて1300年

和歌子 前にもお話ししましたが、今年は『古事記』が出来て1300年です。

らん ずいぶん昔ですね。

和歌子 672年の壬申の乱が起こり、701年「大宝律令」が制定され、710年平城京遷都。712年『古事記』編さん、720年には『日本書紀』編さん。752年東大寺大仏開眼と、歴史は流れていきます。

らん みんな教科書に出てきますね。

和歌子 「日本」という国の名前が定まったのも、600年代の終わり頃と言われています。日本の出発点ですね。

らん 1000年以上前なんてあまり想像できないなあ。

和歌子 宣長さんは、私の学問が500年先か1000年先にでも評価されたらいいんだ、と言っています。

らん すごく長いスパンで考えるのですね。

和歌子 今年も4月8日、日曜日に「宣長まつり」が松坂城跡で開かれます。

らん 桜の頃ですね。

和歌子 今年は、「松阪の一夜(ひとよ)」がテーマです。

らん 「イチヤ」ではなく、「ヒトヨ」ですか。

和歌子 「一夜」は、学校ではイチヤと教えていました。今はヒトヨと読んでいます。お祭りは昼間ですけどテーマは夜です。

らん 真淵先生との対面ですね。

和歌子 1000年も前に書かれた『古事記』を読まねばならぬ、と考えたのはいいけど、この考え間違っていないかなとか、ほんとに読めるのかと不安に思っていたときに、会うことが出来たのです。

らん よかったですね。

和歌子 宣長さんの人生を見ていると、望みは叶うものだと思います。

らん 真淵さんはどこから来たのですか。

和歌子 浜松(静岡県浜松市)の生まれだけど、当時は江戸に住んでいました。

らん どうやって知ったのですか。

和歌子 行きつけの本屋さんが教えてくれたそうです。

らん 何で松阪に来たのかな。

和歌子 伊勢神宮に行かれる途中ですが、実は別の目的もあったものと私はにらんでいます。

らん どんな目的?

和歌子 松阪周辺はお金持ちが居て、すごい本が秘蔵されていたらしくて、どうもその情報を集めたかったのかもしれません。

らん それで会えたのですか。

和歌子 日野町の旅籠(はたご)新上屋に泊まっていると教えてもらい訪ねていったらもう出発したあとで、あわてて追いかけましたが結局この日は会うことができませんでした。帰るときに期待をしていたら5月25日に新上屋から連絡が入りました。

らん 突然、会いたいなんていわれて真淵さんは困らなかったのかなあ。

和歌子 そこが偉いところというか、一目見て、本気だと思ったのでしょうね。

らん こやつはただものではない。

和歌子 真淵さんはていねいに対応してくれました。『古事記』を研究したいのですという宣長に、学問は基礎が大切。まず『万葉集』を教えてあげようと約束してくれます。宝暦13年、宣長34歳、賀茂真淵67歳、生涯ただ一度の対面となりました。

らん お祭りでは何があるのですか。

和歌子 子どもたちが「松阪の一夜」の歌を歌ってくれます。しみじみとした良い歌ですよ。

らん 歌があるのですか。知らなかった。

和歌子 明治の初め頃、新上屋の隣の本屋さんでは、二人の対面のことが、伝承として遺っていました。それを聞いたのが佐佐木信綱少年。大人になってから書いたのが「松阪の一夜」と言う文章で、教科書にも載り、全国の子どもたちは出会いのすばらしさに感動したのです。たった一回の出会いで、人生が、また日本の歴史が変わったのだよ。今もこの教材を懐かしく思い出す人は少なくありません。

らん ほかにはなにかありますか。

和歌子 しょんがい踊りも、これはしょんがいバージョンの「松阪の一夜」で踊ります。記念館では真淵先生と会った日の宣長の「日記」なども公開してるし、鈴屋では「紙芝居」もやってるからのぞいてみてね。
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by terakoya21 | 2012-04-04 14:08 | 不思議な宣長さん

不思議な宣長さん (てらこや新聞82号 吉田館長のコーナーより)

第十一話 好奇心は限りがないから楽しいね

らん明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

和歌子おめでとうございます。おだやかなお正月でしたか。

らん年が変わると、何か気持ちがすっきりします。早く起きて初詣をすると、深い木立の中、ひんやりと心地よいのが好きです。

和歌子今年もしっかり勉強して下さい。その中でも、またいろんなことに興味を持って調べたり考えたりして下さい。らんさんに宣長さんからのプレゼントです。

らん何だろう。

和歌子「コウ、シン、ラク」と言う言葉です。漢字で書くと「好、信、楽」です。

らん好き。信じる。楽しむ。ですか。

和歌子そう。そういう意味です。好きなことを選ぶ、好奇心ね。それを選んだ自分を信じ、
つまり自信を持って、それを楽しむ、ということです。

らん当たり前のことのように思いますが…

和歌子これは宣長さんが京都で医者の勉強をしているときの言葉です。友だちが、仏教関係の本を読んでいる宣長さんに、おい、それって試験と関係ないだろと言った。そしたら宣長さんが言ったのがこの言葉。

らん医者の勉強はしないのですか。

和歌子ちゃんとします。でもそれは、強制されてではなく主体的なのです。自分で納得して学ぶのですよ。これは興味を持ったこと。これは明日までに覚えなければいけないことと、みんな平等に学ぶの。そうやって学ぶとだんだん深くなっていって、新しい疑問がわいてきます。

らん  へーえ。

和歌子 だから芋づる式に学ぶことがどんどん増えていきます。

らん  芋づる式ってなんですか。

和歌子 サツマイモを掘ったことない?

らん  土いじりはあまり好きではありません。

和歌子 サツマイモは根の蔓をたぐっていくとポコポコ芋がついてくるのです。だから次々に出てくることです。

らん  新しいテーマがお芋みたいに次々と出てくる。すごいですね。

和歌子宣長さんは、こう言うの。私が仏教書を読むのはね、自分が読みたいと思ったからだよ。仏教書だけじゃないよ。試験に必要だからと君が一生懸命読んでいる儒教の本はもちろんだけど、君はおそらく関係ないと言って絶対読まないだろうけど墨子や老荘思想の本だって読むんだぜ。それだけじゃないぞ。遊びについてや山や川、草木、動物、虫や魚、気象のことから宇宙まで、まさに「宇宙の有る所、適(ゆ)くとして好み信じ楽しまざるは無し、天地万物、皆な吾が賞楽の具なるのみ」、宇宙に果てがないように、好奇心も無限大だよ。

らんかっこいいですね。

和歌子28歳の時のことばですよ。

らん百科事典みたいにどんどん拡がっていくんですね。

和歌子その無限大の関心を一点に集中させる、それが「志」、つまり「目標」です。宣長さんは言います。志を持ちなさい。それもなるべく高い志を。

らんすごいパワーになりそうですね。宣長さんはどんな志をたてたのですか。

和歌子それは次回のお話しよ。

(Y.Y)
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by terakoya21 | 2012-01-29 17:37 | 不思議な宣長さん

不思議な宣長さん (てらこや新聞81号 吉田館長のコーナーより)

第十話 鈴が鳴る

らん この前の日曜日、ベルファームに行ってきました。先月、広場に小さなログハウスが出来て、ベルが掛けてありました。なるほどベル・ファームだと思いました。

和歌子 あの名前は、宣長が鈴が好きだったからついたのよ。

らん 「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る」だけど、鈴とベルは一緒ですか?

和歌子 普通、ベルは半球形だし、鈴は丸くて閉じた形ね。でも最新の説では、ルーツは同じ半球、釣り鐘形で、それが閉じていったと考えられています。

らん 宣長さんの鈴はどんな音色ですか。

和歌子 さやさやと鳴ったそうですよ。

らん 気持ちがよくなる音ですね。でも、かえって眠くなりそうです。ところでどうして「スズ」というのですか。

和歌子 同じことを友だちから聞かれて宣長さんは「わからない」と答えています。

らん 宣長さんでもわからないことがあるんだ。

和歌子 結論は、「わからない」だけど、あらゆる可能性を検証していくのが宣長さんですね。

らん しつこく、ですね。

和歌子 納得が行くまで、ああでも無い、こうでも無いと考え続けるのが好きなんですね。『古事記伝』の中でも、「考への及ばむかぎり、試みには云ふべし。其中に正しく当れるも、稀には有るべきなり」と言っています。

らん 下手な鉄砲も数打ちゃ当たるですか。

和歌子 決して下手とは思いませんが、でもそうね。問題意識を持っていると、時にはセレンディピティーserendipityもあるのよ。

らん 天使からのプレゼントみたいなものかな。

和歌子 京都の五条の天神さんを「天使」と言ったと、宣長さんは『在京日記』に書いていますから、五条の天神さんの贈り物ですね。

らん ??

和歌子 わからなくて結構です。それはともかく宣長さんは子どもの頃を、「おのれいときなかりしほどより、書を読むことをなむ、よろづよりもおもしろく思ひて、よみける、さるははかばかしく師につきて、わざと学問すとにもあらず、何となく心ざすこともなく、その筋と定めたるかたもなくて、ただからのやまとの、くさぐさのふみを、あるにまかせ、うるにまかせて、ふるきちかきもいはず、何くれとよみける」と回想しています。だいたい意味はわかりますか。

らん 「いときなかりし」は?

和歌子 いとけない、幼いことよ。

らん 小さな頃から本を読むのが何より好きで、ずっと読み続けてきた。

和歌子 そう。といって特に先生について教えてもらうということもなく、目的もなく、ジャンルも限定せず、日本のものも外国のものも色々な本を手当たり次第、新しいも古いも問わず読んでいた、ということね。

らん 本当の乱読の独学ですね。

和歌子 でもやがて一つだけ基準ができてきたの。それは「好信楽」です。

らん 「コウシンラク」ってなんですか?

和歌子 それは次回のお話としましょう。

(Y.K)
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by terakoya21 | 2012-01-10 16:02 | 不思議な宣長さん

不思議な宣長さん(てらこや新聞78号 吉田館長のコーナーより)

第7話 船形埴輪と古事記と宣長と

らん  お盆が過ぎると夏休みもあっという間でした。
お盆がすんだ頃、なすびで作った馬が川の傍に置いてあったので、
なにって聞いたら、ご先祖さんが帰るのに使うのだって言われました。
ご先祖さんって、あの世とこの世、行ったり来たりできるのですか。

和歌子  宝塚古墳から出てきた船形埴輪は見たことあるでしょ。

らん  はにわ館で見ました。

和歌子  現存最古の歴史書『古事記』が出来たのはいつごろですか。

らん  奈良時代です。

和歌子  そう、712年です。来年が成立1300年になりますね。
宝塚古墳が出来たのが、5世紀前半だとすると、300年時間差があります。
ところで、山室山にある本居宣長さんの奥墓(おくつき)は知ってますか。

らん  行ったことがあります。

和歌子  ではこの三つに共通するものは何だと思う?

らん  船形埴輪と『古事記』と奥墓ですか。わからない。

和歌子  この三つは、死んだあとその魂はどこに行くのかという問題の回答なのです。
どうやらこの国に住んでいる人たちの魂はフワフワしていて、どこに行くのかわからないところがあったの。
仏教や儒教、キリスト教が入ってきて、かなり動かなくなってきたけれど、それでもまだ落ち着かないところがあります。

らん  魂ってどこに行くのですか。

和歌子  わかりません。でも宝塚古墳を造った人たちは、船形埴輪のような船で運ばれていくと考えたのでしょうね。

らん  ピラミッドの中にも船の絵が描いてがありますね。

和歌子  ツタンカーメンのピラミッドでも本物の船が入っていましたよね。
魂が鳥になったり、船で運ばれるというのは世界に共通するのです。
また、『古事記』には、死んだイザナミの命(ミコト)を訪ねて黄泉の国に行った話があります。そこは、とても気持ちの悪い国だったそうで、これは、古墳の中をのぞいた人の体験談だとも言いますが、宣長さんは違うと言います。
『古事記』には、ヤマトタケルの命が白鳥になって飛んでいった話はありますが、船で魂が運ばれる話はなく、古墳時代と魂の行方問題に、少し変化が生じているのかもしれません。

らん  300年の間に変わってきたのですか。
 
和歌子  その間には、儒教や仏教も伝わってきているから変化しない方が不思議ですね。

らん  宣長さんの「奥墓」はどうなんですか。

和歌子  宣長さんの学問の最終の目的は、実は日本人の魂の行方ではなかったかと思うの。
言葉やいろんなことを詳しく調べて、また古典を研究して、最期の大問題がこれではなかったか。つまり、自分の魂の行方について長い間考えた結果、「奥墓」を作ったのだから、「奥墓」の謎を解くと、『古事記』の中の、魂はどこに行くのかという問題も結論が出るはずです。

らん  すごい。でも難しいから私の理解をこえている。

和歌子  ちょっと難しいよね。
でもね、宣長さんはいろんなことを調べたけれど、それはすべて「私たちの心」の謎を解くためだったのよ。
人が安心して生きるためには、たとえば「死ぬ」ことへの不安を消すことが大事よね。
宣長さんの学問の目的も、本当はね、そこにあったのよ。

らん  イルカやカラスのことを調べていただけじゃないんだ。

和歌子  人が幸せに生きるにはどうすればいいのか。これは全ての学問の究極の目的だけど、
次から、宣長さんがそんな究極の問題に行き着くまでの話をしてあげますね。

らん  長い長い話になりそうですね。

和歌子  なるべく寄り道しないでさっさと行きましょう。

らん  道草を食いながらの方が良いです。
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by terakoya21 | 2011-09-21 14:30 | 不思議な宣長さん

不思議な宣長さん(てらこや新聞77号 吉田館長のコーナーより)

第六話 むずかしいところは後回し

和歌子暑さも忘れる程面白い本はありましたか。

らん私は、お父さんが買ってきた『乾燥標本収蔵1号室 大英自然史博物館 迷宮への招待』(NHK出版)が印象に残りました。書いたのはフォーティという三葉虫の専門家。動植物の標本から分類、生態と、ロンドンにある自然史博物館を舞台に、次から次へと面白い話が出てきます。でも、色々変わった動物もいるけど、一番ヘンなのは博物館に勤めている学芸員だっていうことがよく分かりました。

和歌子難しくなかった。

らんすごく面白かった。それとちょうどその本を読んでいる時、松阪の郊外のある博物学の先生にお会いすることがありました。書斎には、カエルや三葉虫の化石、古代の水の入った化石や、昆虫の入った琥珀。

和歌子ジュラシック・パーク!

らんそう、でも蚊ではなかったけど。アルマジロやワニの剥製や珍しい植物がどっさり。二つの世界が重なって、暑さと云うより、難しいってことを忘れて夢中で読みました。

和歌子とてもいい経験をしましたね。宣長さんが『古事記』を研究する時に一番大切にしたことは、その情景を頭の中に描くこと。『古事記』には、イルカやクラゲも出てきます。でも宣長さんは見たことがない。どんな姿かな、大きさはどれくらいかと情報を集めてその様子をイメージするの。

らん宣長さんの頃に自然史博物館があったらずいぶん喜んだでしょうね。

和歌子そうね、でも単純に言えない所が宣長さんの不思議な所だけど、それはともかく、らんさんは、難しい所があったけど読んでいったと言いました。これは宣長さんも大切なことだって言っています。『うい山ぶみ』と言う学問入門書の中で、一つ一つの言葉の意味を考えるよりも、分からない所はそのままにして読んでいくのがよい。と教えています。また、最近、三重大学のお医者さんから、乗馬に夢中ですという近況報告がありました。その中で先生は、宣長さんの

書(ふみ)見るに けはしき道は よきてゆけ またき心の 馬つからすな

(本を読む時にはわからないところや難しい所はよけて行きなさい。読み始めてすぐから意欲―心の馬とはここでは読もうとする意欲のことです―が、なえてしまう、つまり元気がなくなってはいけません)

と言う歌を引いて、「馬という動物に、こつこつと我慢し物事を続ける性質や精力を見ていたことが分かりました。ますます、馬が好きになりました」と書いてありました。宣長さんの言いたいのは、難しい所や言葉はとばして、とにかく全体を読んでみる。するとまた分からない所が分かることもあるのです。特に言葉の意味はそうですね。

らんお医者さんって宣長の歌まで知ってるんだ。それの方が驚きです。

和歌子私も驚きました。

らんそういえば、宣長さんもお医者さんですね。
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by terakoya21 | 2011-08-25 14:12 | 不思議な宣長さん

不思議な宣長さん(てらこや新聞76号 吉田館長のコーナーより)

第五話 「本を読んだら暑さを忘れるって、ほんとうかな?」

和歌子 ずいぶん暑くなりましたね。

らん 本居宣長さんは痩せているから、暑さは平気ですか。

和歌子 寒さは苦手だったようだけど、でもやっぱり暑いと汗を拭っていては集中できないでしょうね。こんな歌があります。

六月(みなづき)の 風にあつとて 取りいづれば やがて読ままく ほしき書(ふみ)ども

六月は今の7月か8月初め位、一番暑い季節ですが、あまりに暑いので本を扇子がわりにしようと手に取ったら、読まなきゃいけない本だった。昔の本は大きくて薄くて表紙も柔らかいから扇子や団扇がわりになるんですね。

らん あらら、それで宣長さんどうしたんですか。

和歌子 次の歌。

暑けれど 書(ふみ)読むほどは 忘られて 夏は扇を 取らむともせず 歌の意味はね・・

らん  この歌くらいなら意味が何とかわかります。本を読んだら夢中になって、扇なんかいらないよ。宣長さん、無理してませんか。

和歌子 宣長さんが『古事記伝』全巻を書き終えたのは、寛政10年6月13日、今の暦だと7月25日です。

らん  一番暑い時期だ。それに宣長さんの部屋って狭いからそうでなくても暑そうですね。そんな暑さの中で書かれたなんて、ちょっと感動しますね。

和歌子 窓が大きい分、西日が入ってきたでしょうしね。完成しましたよって友だちに手紙を書いていますが、その最初に「酷暑の節」とあるから、ものすごく暑かったはずですよ。

らん  ちょっと暑いから冷たいものというわけにもいかないでしょう。

和歌子 冷たいものは井戸水で冷やしたスイカ位かな。

らん  スイカなんかあったんですか。

和歌子 実が赤いのはなかったけど、黄色ならありました。愛宕町の菅相寺で歌会があった時にフキの葉っぱにスイカを盛りつけて食べています。

らん  風流ですね。

和歌子 その上、スイカとかフキを詠み込んだ歌まで作っています。余裕があるんですよ。気持ちの余裕があると暑さも少しはしのげるかな。今年の夏は節電が叫ばれています。らんさんも、少し宣長さんを見習ってみませんか。

らん スイカをフキの葉っぱに盛るのならすぐにでも真似するけど、暑いのは苦手だな。
ますます勉強しなくなっちゃいそうです。

(Y.Y)
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by terakoya21 | 2011-07-22 14:14 | 不思議な宣長さん

不思議な宣長さん(てらこや新聞75号 吉田館長のコーナーより)

第四話 宣長、カラスを見て考える

和歌子 らんさん、何を見ているの。

らん  たくさんのカラスだね。冬になって寒くなるから、もう家に帰るんだ。

和歌子 ねえ、なんでカラスって言うのか、考えたことある?

らん  そんなこと考えたことないよ。

和歌子 そうよね、普通は考えないよね。ところで、らんさんは本居宣長(もとおり・のりなが)って知ってる?

らん  社会の時間に習ったよ。たしか「国学」だったよね。

和歌子 そう、宣長は松阪の人なんだよ。宣長はね、何でカラスって言うのか考えているのよ。

らん  えっ、宣長はカラスの研究家なの!

和歌子 違う違う。らんさんの言うように、日本の古典を研究して、国学と言う新しい学問を始めた人だけど、でもね、何にでも興味を持った人なの。どうして地球は何もない空間に浮んでいるのかとか、お味噌汁の「味噌」っていつからある言葉かとか。

らん  けっこうお暇だったのね、宣長さん。

和歌子 お医者さんやって古典を研究してとても忙しい人だから、そのこと だけを一生懸命調べるわけではないけど、今のらんさんみたいに、カラスがねぐらに帰って行くのを見た時、ふと、どうしてカラスっていうのだろうと疑問に思うわけ。するとね、頭の中のデータベースが動き出して、サンスクリットでは「迦迦【去引】迦」(カカーカ)って言うがこれはカラスという言葉と関係ないか。そういえば屋根の上の瓦は、サンスクリットで「キャハラ」と言うから、ひょっとすると外来語かな。それとも鳴き声から来た名前かな、なんて考えたみたい。

らん でも何でそんなこと考えるのだろう。

和歌子 きっと楽しかったのだと思うわ。でもそんな人だから新しい学問の扉を開くことが出来たのよ。
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by terakoya21 | 2011-07-13 13:49 | 不思議な宣長さん

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