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2019年 07月 28日 ( 1 )

寺子屋の日々 Days in Terakoya (てらこや新聞2019年 春夏号 亀井のコーナーより)

It is not the man who has too little,

貧しい者とは ~

but the man who craves more, that is poor. 貧しい者とは、ほとんど何も持っていない人のことではなく、より多くを欲する人のことを言う ― ローマの政治家、また哲学者でもあるセネカの言葉だ。

この仕事を始めた当初から比べると頻繁ではなくなってきたけれど、「他から多くを望む」割には、自分の努力の仕方を知らず、動かない子どもたちに出会う。そしてまた、「他に多くを望む」けれど、自分たちは動かない大人たちにはいまだに多く出会う。

そういう大人も子どもも質が悪いなと思うのは、そういう人たちに限って多くを望んでいることに気が付いていないからだ。そういう人に限って、自分を棚にあげて、私を「理想家」だと思っている。 笑

私は「学歴なんてなくても」とは思わないし、「1番になるのではなく、たった1人のかけがえのない存在に」なんて聞くと鼻で笑う。それこそ、絵にかいた「理想」であって、それを仮に実践したとしたら、人生は、より一層険しくなることが予想される現実を子どもたちに伝えない大人にそういう「理想」をさも正しいかのように言う人が多くてー苛立ちをおぼえる。

そういう人に出会う度、現代人たちは、不幸だなと思う。そして、セネカの言うように貧しいと感じる。自分の今に満足できないのではなく、今自分が持っているもの、できること、するべきことを見極めて、次のステップを考えることができないーそれは、「したいこと」「ほしいもの」ばかり追い求めるからでもあり、追い求めてしまう理由かもしれないと思う。

先日、インターネットで「東大院を出てもUターン」という記事を見つけて思い出したことがある。

私が塾を始めることに決めたとき、ある地元の名士に

「ここでは、それくらいしか英語を生かす仕事はないですものね。」と言われて、憤り、同時に落胆したときのことを…。

私は、幼いころから見ていた夢を、父とけんかしてまで実現させようとしていたときである。私の中でこの仕事は、28年間ずっと努力し続けていた目標であった。また、それは「松阪」という場所で実現させなければならないものだったのだ。

私は、そのために必要だと思う学歴を手に入れ、1番を目指していたわけではないけれど、自分の力で、与えられた場所で、与えられたものを使って、夢の実現を目指し続けていた。

だから、「学歴なんて」といい、「1番ではなくてオンリーワン」なんて言いながら・・・「自分のしたいように」と子どもたちに丸投げして、努力することや人生なんてつらく感じることのほうが多いことを教えない大人には、私はなりたくはない。―というかなれない。

学歴はあって悪くない。1番になる努力はしたほうがいい。だからと言って、学歴がなくてはならないものではないし、1番になれなくてもいい。でも、学歴を持っている自分も持たない自分も、1番になった自分も、なれなかった自分も、学歴のある他人や学歴のない相手や1番の人や1番になれなかったほかの人と同様、今いる場所で、できることをし、努力を続ける人であれば、大切にされてしかるべき存在であり、皆、素晴らしい。

少なくとも私は、そう教えられて45年以上生きてきた。

より多くを求めるのではなく、今あるものを大切に思える人が本当は一番豊かである。―自分の今持っているものをまずは見極めて大切にできるようになることを子どもたちには勧めたい。学歴がなくとも、1番でなくても構わないけれど、それが人生をより楽に楽しくしてくれるわけではなく、何にしろ、人生に楽な道はなく、自分自身が、自分自身で楽しむための、また周囲の人をも楽しめるようにする努力を日々続けることが、豊かさの、そして幸せへの近道であることを子どもたちには知っていてほしいと思う。また、その「楽しむ」ための努力は自分でするべきものであること、人に与えられるものではないことをしっかりと伝えていきたい。

Y.K




by terakoya21 | 2019-07-28 08:30 | 新聞最新号

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