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あとがき (てらこや新聞40号 亀井先生のコーナーより)

今回、待望の新コーナー「世界の街角から」が誕生しました。外務省に勤める木下君には・・・以前再会したときに「何か書いて・・・」とお願いしていたのですが・・・ついに今回、忙しい中、そのときの約束を果たしてくれました。大学時代の思い出を思い起こしたり、新たな彼の魅力を発見したような気分になったり・・・「友人のありがたさ」を感じたりしながら、読んだ今回の記事ですが・・・一生懸命勉強した「日本語」で皇太子様に話しかける女性の姿を思い浮かべ・・・私もほのぼのと暖かい気持ちになりました。ポルトガルやらブラジルやら・・・皇太子様に同行したり、赴任したりしていた彼ならではの・・・また、松阪で生まれ育った私たちには、とても新鮮で楽しいお話がこれからも聞けるのではないかと・・・楽しみです。木下君ありがとうございます。そして、もちろん、連載の皆さん、いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

木下君と小野君と私は、東京外国語大学外国語学部ポルトガルブラジル語学科(現外国語学部欧米第二過程ポルトガル語専攻)の同期入学です。私たちの時代の東京外国語大学というのは、一風変わった学生と先生の多い大学でしたが、私は、今でもここで出会った友人や先生方の魅力のとりこです。その魅力を一言で表すことは難しいのですが、彼ら皆に共通していることは、いろいろなことに情熱と愛情を持っていること。私が受けたゼミの教授は、今でも折を見て、はがきや手紙、メールなどで激励の優しい言葉をかけて下さいます。また、教材を作る会社に勤める友人は、私が上京すると必ず時間を作って会食の席に来てくれたり、「塾で使って」と大量の会社で不要になった辞書を贈ってくれたり・・・他の友人も「上京するぞ~!!」と連絡を入れると・・・私の我がままで大学時代の友人以外を連れていっても快く輪に入れて、食事や飲み会をしてくれます。そして、相変わらずのお酒や食事の席での「議論」・・・そのひとときは、私がいろいろなことに気付き、糧となる時間となります。

そして、木下君の今回の原稿を読んで・・・彼らは皆、言葉を大事にし、それが、彼らの情熱と愛情、そして成功の鍵なのだろうと・・・改めて感じました。言葉は、情報だけではなく、物語や感情を運びます。言葉を大事にできる人は、チャンスも、出会いも、環境も、他人も大切にできる・・・と私は信じています。

寺子屋で、子どもたちと毎日接する私も、毎日のように、言葉の大切さを考えます。そして、もし、周囲の子ども たちが、勉強面では、英語の授業が理解できない、または、国語の作文に手がつけられない状況にある、生活面で、気が短く、他人にきつくなっていることに気がついたら・・・周囲の大人は、自分たちの「使う言葉」と「その使い方」に気を配ってほしいと思います。

たとえば・・・寺子屋内では、「やばい」という言葉は禁句です。子どもたちに注意を促すと自分も気をつけるようになります。正直なところ・・・私も「やばい」という言葉を使ったことがないわけではありません。でも、もともと好きな言葉ではなく、我が父は、「やばい」の本来の意味を辞書など見なくても言える時代に育った人間ですから、彼の前で「やばい」などと言えば・・・取り調べを受ける犯人のように尋問を受けました。しかし、最近社会では「やばい」の意味を大幅に拡大しています。もとの意味を知れば・・・それが良い傾向であるはずはありません。また、1つの単語でいろいろなことを済ませてしまうと表現力を失います。・・・そこで考えた案が・・・「禁句」にすることでした。

すると、子どもたちは、このときの「やばい」は「(状況が)まずい」、「ピンチ」、また別のときの「やばい」は、「おかしい」「こわい」と・・・いろいろな表現を考えるようになりました。そして、「気がついたら、私、学校でも『ヤバイ』使わんようになったぁ・・・」と言ってくれる子がいたり、逆に「警察に捕まりそうになるくらい状況が緊迫している」なんて置き換える子までいたり・・・と子どもたちとの楽しいやりとりに彼らの機知が加わっているように思います。最近、竹川先生が特に気にしているのは、「うそぉ~ぉ?」・・・それも、注意を促すと「う・・・ほんとう?」に置き換える小学1年生に、「うそかと思うほどびっくりした」と毎回言い直す高校2年生・・・毎日のそんな妙な交流も、おそらく、話を聞いただけの人には想像がつかないであろうほど・・・子どもたちにも私たちにも意味のあるひとときを与えてくれているように思います。

この新聞が発行されるころ・・・学校は夏休み目前です。お子さんがいるご家庭では、子どもたちと過ごす時間が増える時期だと思います。だまされたと思って、大人の皆さん、ちょっとしたときに「使う言葉」と「使い方」、子どもたちに注意を促し、自分たちも注意してみて下さい。子どもたちの笑顔が・・・増え、子どもたちの良さ、かわいさを新たに発見できると思います。

友人の話から、話が飛躍したようにみえますが・・・私の友人たちの社会的成功、人間性が・・・彼らの育った環境の中の年長者たちの日々の小さな心がけに支えられているとすれば・・・今の子どもたちに・・・それを伝えるのが私たちの役割だと思うのです。

(Y.K)

PS:7月15日発行の「てらこや新聞7月号」のあとがきです。
by terakoya21 | 2008-08-22 14:09 | あとがき

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