MY CINEMA PARADISE (てらこや新聞38号 竹川のコーナーより)
2008年 06月 12日
『武士の一分』以来、一年数ヶ月ぶりに映画館へ足を運びました。この映画は、だんなさんが見たいと言って見に行ったものでした。私は、この映画を見に行った頃、一旦涙ぐんでしまうと、とめどなく涙が溢れてくるようになっていて、見に行く前から「この映画では、間違いなく泣くだろう」という予感がありました。
竹野内豊と水野美紀が演じる夫婦には、男の子と女の子の子供が一人ずついます。そしてお腹には赤ちゃんも宿っています。のどかな自然豊かな地方に住み、家族が交わす会話や暮らしぶりの一つ一つから、この家族がとても仲良く幸せに暮らしているのだということが伝わります。
そんな家族に、ある日突然、不幸が訪れます…。大切な子供たちが交通事故に遭ってしまい…お話の展開は、ここでは差し控えますが、充足、幸福のさなか突然不幸が訪れ、その後の喪失感や絶望が淡々と描かれていきます。
絶望感から何とか立ち直って生きていこうという気持ち、しかしそれと同時に喪失感から抜け出せないやりきれなさとの葛藤。その中で最も私が惹きつけられたのは、長男の心のありようでした。沈んだ空気の家族を何とか笑わせたいと、いろいろ工夫し、考え、その小さな胸を痛めるのです。見ていて、「どうしたら、こんなに心優しい子供が育つのだろう」と思いました。彼の気配りと優しさは、やはり第一には両親や家族、そして周りの環境や関わる人々との関係の良さからきているのだろうと思います。
想像通り、映画のかなり最初の頃から涙腺がゆるみ、最後はポロポロ泣いていました…。家族のあり方を考える映画でした。
(K.T.)