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上越だより (てらこや新聞38号 下西さんのコーナーより)

地名考

数年前、松阪の古墳で、日本最大の舟形埴輪が発掘されました。私も展示された埴輪を見に行きましたが、その大きさに驚きました。また、発掘現場にも行きましたが、そこが「宝塚町」であったことを印象深く記憶しています。昔からの地名であるはずはないでしょうが、いかにも
「宝もの」が埋まっているにふさわしい地名だなぁと思いました。

この度の平成の大合併で日本地図が随分書き換えられました。我が上越市は、近隣の13町村を飲み込んで、佐渡島より広い?面積の市になりました。

ところで、上越市は昭和45年に、高田市と直江津市が対等合併(会社ではありませんが)で上越市になりました。「高田市」は、落ち着いた城下町で、雪と雁木で有名な町です。「直江津市」は、古くからの港町であり、鉄道マニアには、北陸本線と信越線の分岐点の駅としておなじみです。そんな気質の違う「高田市」と「直江津市」が対等合併して、市名をどうするかで、激しい議論になりました。「高田直江津市」にするわけにもいかず、「直高市」にするわけにもいかず、歴史的地名「頚城(くびき)市」や「南越後市」という意見もあったようですが、悩んだ末、上越市になったそうです。

新潟県は東西に細長い県です。その点は三重県と似ています。三重県は北から、北勢・中勢・南勢と区分しますが、新潟は、都(京都)に近い所から、上越・中越・下越と呼びます。県庁所在地の新潟市は、都から最も遠いので、下越地方です。上越地方は県南に位置します……これが、上越市の命名の由来です。上越だより (てらこや新聞38号 下西さんのコーナーより)_c0115560_18275347.jpg

ところが、上越の命名がもう一つあります。JR線の在来線に「上越線」、そして「上越新幹線」です。JRの「上越」という名は「上州(群馬)上野(かみつけ)」と「越後」の合成語です。上越新幹線の名前がメジャーになり、上越市は上越新幹線の沿線であるかのように誤解しかねない状況が、合併30年以上経ってもあります。

上越市は合併により、「高田」「直江津」の地名が、住所から消えました。(もちろん、JRの駅名や企業名に残っていますが)そんな悲しい思いを再びしないように、この度の合併では、旧町名・村名を区名で残すことになりました。大変良いことだと思います。地名は、その土地の歴史であり、宝だと思うからです。(暫定的らしいので、変わるかも)

私の子供が京都在住のとき、「下京区富小路通綾小路下ガル塗師屋町」という長々しい地名の所に住んでいました。鎌倉時代初めに鴨長明が書いた『方丈記』という随筆に、都の大火の記述があり、「火もとは、樋口富小路とかや。舞人を宿せる仮屋よりいできたりけるとなむ。」とあります。当時の京都と現在とでは、少し位置がずれているらしいですが、800年前から「富小路」があり、今もあるのです。

また、私の実家の地名「阿坂」は、『古事記』に「安射加(あさか)」と表記こそ違いますが載っているそうです。この地名も、いつまでも残って欲しいと思います。

2015年に北陸新幹線が開通する予定です。現在、市内では、トンネルが掘られ、高架に線路が引かれて、着々とその日が近づいています。在来線(信越線)とずれるので、上越市にできる新駅名について、いろんな意見が出ています。その一つに、「上越 謙信駅」というのがあります。このユニークな意見に、私は大賛成です。
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↑直江津駅…豪華客船あすかのイメージ
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↑高田駅…雁木の町のイメージでステンドグラスも使ったユニークなデザイン
by terakoya21 | 2008-06-02 18:26 | 上越だより

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