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観劇のススメ (てらこや新聞36号 竹川のコーナーより)

3周年特別記念号に寄せて、私の「芝居の思い出」について書いてみようと思います。

私が初めて芝居を見に行ったのは、大学一回生の時のこと(ある友人に半ば無理やり(?) 連れて行かれた…という印象が残っているのですが…)。私は大学時代の4年間を京都で過ごしましたが、彼女が誘った芝居は、大阪・上本町にあった近鉄劇場(2004年に閉鎖)での芝居、しかも当日券、立ち見での観劇…。「なんで大阪まで行かなあかんの???」と思いつつ、それでも何故か彼女について見に行ったのでした。その時に見た芝居は、1992年に解散した野田秀樹さん主宰「夢の遊眠社」の『三代目、りちゃぁど』。2時間ほどだったかと思いますが、近鉄劇場大ホールの最後尾席のそのまた後ろから立って見たその芝居の印象は…一言「全く訳分からん」。複数の物語が幾重にも交錯するストーリーと、まるで機関銃のように繰り出される膨大な、しかも難解な言葉による台詞回し、まるで運動選手のようなダイナミックで圧倒的な動きの出演者達…。「とにかく何だかよく分からんが、とにかく圧倒的」という印象でした。

そして…そんなに訳が分からなかったのなら、普通は、その後は見に行かなくなるのでは…と思えるのですが、「訳が分からん」よりも「圧倒的」の方が勝ったのか(?)、それからの大学4年間、私を芝居に誘ってくれた彼女と共に、見に行くことができる芝居を見に行きまくったのでした。その中でも特に夢の遊眠社に関しては、1992年に解散するまでの全ての芝居(1991年『目に青葉ヤマホトトギス・赤穂浪士』、『透明人間の蒸気(ゆげ)』、1992年『贋作・桜の森の満開の下』、『ゼンダ城の砦―苔むす僕らが嬰児の夜』)を見に大阪・神戸に足を伸ばしました。

夢の遊眠社以外にもたくさん芝居を見に行き、私はいつの間にかすっかり芝居の虜になっていました。大学時代に出会った芝居の楽しみ、それは今でも同じ私の楽しみの一つになっています。全く興味が無かったのに、彼女に誘われなければ、もしかしたら、今でも興味が無いままだったかもしれません。そう思うと、無理やりにでも誘ってくれた(?) 彼女に感謝ですね。


さて、最近見に行ってきたミュージカルについて少しご紹介しましょう。

2月10日、「別に見たいわけじゃないんやけど…」と言うだんなさんを連れて、大阪の梅田芸術劇場に内野聖陽さん主演のミュージカル『ベガーズ・オペラ』を見に行ってきました。芝居でも ミュージカルでも、その醍醐味は何と言っても、限られた空間を出演者と観劇者が共有すること、またそれぞれの舞台が一回限り、一発勝負だという緊張感でしょう。『ベガーズ・オペラ』では、珍しいことに、出演者達がお芝居をする正にその舞台上、両袖部分にも観客席が設けられていました。その席に座った人達は、なんてラッキーなんでしょう!! 役者さん達の息遣いや表情をこんなにも間近に見られる機会は滅多にないと思います。

また『ベガーズ・オペラ』は、ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトによる『三文オペラ』の原形として知られています。オペラ全盛の1728年イギリスを舞台に、当時のオペラに取り上げられた上流階級や汚職にまみれた政治家達を、一夜だけ劇場を借り切ったベガー(乞食)たちが皮肉たっぷりに演じる一夜限りの音楽劇として描かれます。つまり、お芝居を見に行った私達観客も、舞台設定の中の観客を演じる…というわけです。それで、舞台上の両袖に座った観客は、ベガーたちの言われるままに、舞台の大道具を運ぶお手伝いをさせられたり、内野さん演じる“マクヒース”から一輪の赤いバラを貰ったり、マクヒースが膝の上に乗っかってきたり…という、観客にとっては嬉しビックリのハプニング、しかし舞台上としてはそれも一演技という面白い設定で物語が進んでいきました。約3時間半のうちの2回の休憩中も、ベガーたちが観客席に下りてきては私達観客に「物乞い」をし、たくさんのお菓子などを観客達も渡すという、面白い「お楽しみ」もありました。

私は久しぶりの芝居に、以前ハマって見に行きまくっていた頃を懐かしく思い出し、やはり一回勝負の舞台は見ていて面白い、これからも行けるものには是非行こう!と思いを新たにしました。さて、そんな私にひきかえ『別に見たくなかった』だんなさんは、どう思ったのでしょうか?(笑)

是非皆さんも、舞台を見に行ってみてくださいね。

(K.T.)
by terakoya21 | 2008-04-13 17:05 | その他の記事

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