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NZ カヤック三昧(1) (てらこや新聞36号 服部さんのコーナーより)

寒い日本から夏真っ盛りの国へ行けることは、私にとってこの上ない幸せである。しかもカヤッカーにとって魅力的な川(激しく流れる川)がたくさんあるニュージーランドへ。

1月末に私はカヤック用具一式を持ち、一人関西空港から飛び立った。約10時間のフライトを楽しみ、現地時間AM9時にNZのオークランドへ到着した。まず夏の服装に着替え、両替をした。目指すはNZ北島のほぼ中心にある町ロトルア。適当な英語で道を聞き、バスを乗り継ぎ、夕方には無事に到着して、やっと大荷物を持っての長旅から解放されてほっとした。

今回の目的は、カヤックで今までに体験したことのない激しい流れへの挑戦と技のレベルアップであったが、そんなことより毎日漕げる嬉しさを落ち着かせるのが大変だった。

旅の思い出ではカヤックのことが大半を占めているのだが、今回は特に心に残った川について2つ書こうと思う。

2日目の朝から早速川へ行った。未知の川へ行くときはいつもわくわくする。宿から一番近く、滞在中に20回ほど下ることになるカイツナ川であるが、この川には10箇所以上の瀬と、3メートルの滝が2つ、7メートルの滝が1つある。日本では滝を下ることはめったにないので程よい緊張を覚え、いざスタート地点へ。

この川を良く知る人たちと5人で漕ぎ出した。辺りはいきなりジャングルを思わせる風景になり、シダや日本では見慣れない植物に覆われて、たくさんの鳥が水浴びをしていた。木々の隙間から光が射してキラキラと水に反射するのがとてもきれいだ。手の届くところにブラックベリーがなっていたので、採って食べてみると甘酸っぱくておいしい。次々と瀬が現れ、遊びながら下っていくといよいよ3メートルの滝である。この滝は2つが連続していて、滝と滝の間をしっかりと漕がないと岩に寄せられていくが、予定通りのラインで楽に越えられた。

瀬を越えながら、川は蛇行をしていくと突然川幅が半分ぐらいに狭まり、そこから流れが消えていた。ついにきた、ここが7メートルの滝だ。全く先が見えないので自分がどうなるのか想像できず、久々に感じる緊張感であった。落ちるコツを教えてもらい、気持ちを高ぶらせていく。一人が落ちて滝の下から笛を鳴らし次の人へ合図をするが、いつもならはっきりと聞こえる笛の音が水の落ちる音に消されてかすかにしか聞こえない。次の人が落ちて、いよいよ私の番になり大声を出して気合を入れた。少しでもスピードに乗せられるように思いっきり漕ぎ出し、落ちる瞬間に飛ぶつもりで一発を漕ぐ。一瞬無重力になったのを感じたが、着水した瞬間が分からずに強烈な水圧を感じて、自分が滝の下にいるのがよく分かった。何秒か水中で我慢していたら滝から5メートル位離れたところで浮かび上がったので起き上がった。滝を見上げると思った以上に高く、よくこんなところを落ちたなーと思ってしまった。気持ちに余裕がなかったのか、落ちているときの景色は殆ど分からなかった。私の落ち方はラインも飛ぶタイミングも体が反り返っていたのもよくなかったので、次はそれをしっかり頭に入れてきれいに落ちようと決めた。滝落ちの後も鬱蒼と茂った木々に囲まれた川をみんなで楽しく下っていった。

この川はNZで一番のお気に入りの川となり、何度下っても私を楽しませてくれた。5回目ぐらいからは7メートルの滝も飛ぶイメージできれいに着水できるようになり、緊張もなくなり爽快感へと変わっていた。

2月6日 NZの建国記念日ワイタンギデー
この日は町の店は殆どが休みで、下ろうと思っていた川へ行ったがダムの放水も行われていなかった。町へ行こうとドライブをしていたら地元の人たちが10人ほど 川に入っているのを見つけたので車を止めると、そこは川から天然温泉が湧いている場所だった。すぐに着替えて、石のウォータースライダーつきの野天風呂で毎日漕ぎすぎの体をリフレッシュさせた。湯質は鉄臭くて肌が茶色くなったが、とても気持ちのいい温泉だった。

6時頃夕食を食べ、いつもなら漕ぎ終わるPM8時ぐらいに川へ到着。日も沈み暗くなり始めた頃、着替え始める。車では行けないため、カヤックを担いで30分ぐらい歩いていくとやっとスタート地点に辿り着いた。暗くて迷子になるといけないので5人全員がライフジャケットにライトをつけ、川へ降りていった。

薄っすらと周りのものが見える状態でスタートしたが10分もするとライト以外は何も見えない 状態になり、ふと川の左側の崖を見ると青い小さな光が数十個輝いていた。私たちはこの光を見るために暗闇の中漕ぎ出したのだ。これはグローワームという虫の幼虫が放つ光で、ツチボタルとも言われている。なんと神秘的なのだろう。漕ぎ進んでいくとその光の数は無数に増え、川の流れでふわふわと揺れ、まるで宇宙に浮いているかのような気分になっていった。

しばらく不思議な世界を進んでいくと、遠くに瀬の音が聞こえてくる。真っ暗なので、音だけが頼りである。この川を以前下ったことがある人を先頭に、一列に並び、声を掛け合いながら全員が不安でいっぱいの中波に合わせてバランス感覚で下っていく。明るければたいしたことのない川でも、暗いとこんなに不安と恐怖に襲われるのだと知った。瀬が終わるとグローワームと星の光を見ながらのんびり下った。周りに全く光がないと、今まで見たこともない星が何百、何千個とあり、あまりにも綺麗で全員が言葉を失っていた。

神秘的な世界と恐怖の川下りを交互に繰り返しながら3時間ほど漕ぎ、ゴール地点である3本の巨木のシルエットが見えたときは大声を上げて喜んだ。着替えてからもあまりに美しい星空だったので1時間ほど空を見上げ、しっかりと目に焼き付けた。

(つづく)
by terakoya21 | 2008-04-08 15:52 | 卒業生による記事

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