人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Days in Terakoya 寺子屋の日々(てらこや新聞27号 亀井先生のコーナーより)

Think Globally, Act Locally!

以前寺子屋でアンケートをしたとき、「すぐに思いつく外国の名前を5つ挙げましょう」「行ってみたい外国はどこですか」という設問に、かなりの中高生が「日本」と答えたのに衝撃を受けたことがある。設問をきちんと読み、理解していなかっただけでなく・・・彼らのうちの何人かは、その後の私の質問に外国など行ったこともなければ、興味もないと言いながら「だって日本が一番やもん」と応えた。

私は、Peter(ピーター)というアメリカ人の友人に“Matsusaka Beef is the best beef in the world!(松阪牛は、世界一の牛肉だ!)”と言って、  “Have you eaten all the beef in the world?  How do you know it’s the best beef in the world, then? (君は、世界中の牛肉を食べてそう言っているのか。そうでなければ、どうやって「ベスト」だと主張するのか)”と反論されたことがある。

確かに彼の言うとおりだった・・・当時、私は、「松阪牛」しか知らないと言ってもよいくらいだった。東京に住んでいた頃に食べた牛肉は・・・どうしょうもなく私の口には合わず、あまり口にしなかった。・・・テキサスで食べた牛肉は・・・かなりいけたものの・・・その3つの中では文句なしに「松阪牛」がベストビーフだった。そして、言うまでもなく・・・松阪牛は日本で最高級牛肉だといわれている。そこから発した言葉だったから・・・不用意だったと訂正し、“Perhaps, it’s the most expensive beef in the world, though.(でも、おそらく、世界で一番高価な牛肉だよ)”と付け加えてPeterを納得させた。

今、日本の現代っ子たちを見ているとそのときの私のような発言が多いのに気が付く。しかも、私がPeterに言われたように反論しても、その反論を気にもとめない様子なのが気にかかる。他を知ろうともせず、知ったとしても奇妙なものを見るように見つめ、「日本が一番だ」と言うのである。他と比べてではなく、日本しか存在しないかのように・・・。

一方、巷では・・・「自分たちが一番正しく、優れている」と言わんばかりの行動をするアメリカという国を非難することがいつも正義であるかのようにコメントする人々がいる。私の母国日本は、いったい何を目指そうとしているのか・・・。

アメリカで高校時代の1部と大学院時代を過ごした私も、確かにアメリカの掲げる「正義感」には・・・辟易することがある。そして、アメリカ人たちの無知と無神経に呆れることもしばしばだ。また、同時多発テロ以降のアメリカの行動には、アメリカ人の悪い方の気質が影響していると思え、私の愛したアメリカがとても遠くにあるように感じている。

しかし・・・私は、16歳で初めて留学してから・・・ずっとアメリカ好きの日本人でありたいと思って行動している。そして、私のホストファミリーや親友のアメリカ人たちは、日本好きのアメリカ人である。お互いに、アメリカ、日本、それぞれの良いところを認め、悪いところを直す努力はそれぞれがそれぞれの国のためにするものだと思っている。

私たちは日本人である。「日本が一番」であって当たり前なのだ。そして、アメリカ人にとって「アメリカが一番」で当然なのだ・・・。しかし、それらは、どんな人にとっても母国はそういう 存在だということを認めて初めて、尊重される考えであるということを忘れてはならないのだと思う。そのために、私たちは外国語や外国の社会について勉強をするのである。

私は、中学に入学する前から、父のような英語の先生になりたかった。そして、17歳で初めての留学から 帰国したとき、日本の良さを子供たちに、そして、外国の人々に伝えられる人間になりたいと思った。そして、今、日本の良さを自分たちで見つけ、世界中の人々に示していける子供たちを育てたいと思う。

そのために、まず子供たちには、自分たちと自分たちの身近な人、ものを見直してほしい。無関心でいないで欲しい。周囲を見て、不安に思うこと、不思議に思うこと、おかしいと思うこと、よいと思うこと、全てを大切にしてほしいと思う。不安なこと、おかしなことは改善するために、良いと思うこと、好きなことはそのまま残すために、自分たちができることを考えてほしい。そして、
「他」「外」を見てほしい。それでも自分が、母国がすばらしいと思う誇りを持ってほしいと思う。その中で、私の助けが必要なら、できる限り、私も協力したいと思っている。

ちなみに、Peterは、数年前松阪を訪問し、私がBest Beefと称した松阪牛を、和田金で食し、“You can say this is the best beef, I guess. (これは、本当に最高の牛肉かもしれない)”と 舌を巻いていた。(^_^)vそのとき、私のところにやってきた伝票が・・・“the most expensive beef(もっとも高価な牛肉)”であることも証明していた。


(Y.K)
by terakoya21 | 2007-07-03 22:58 | 寺子屋の日々

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


by terakoya21