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あとがき (てらこや新聞26号 亀井先生のコーナーより)

私は、16歳から17歳にかけてと24歳から26歳にかけての2回アメリカに留学しています。2回で3年あまりの期間をアメリカで過ごしたことになります。そして、30歳になるまで、毎年アメリカを訪れていました。言うまでもなく、私は、アメリカが大好きです。そのアメリカの大学で先月悲惨な事件がありました。同じ日に、長崎市長が選挙運動中に射殺されるという衝撃的な事件が日本でも起きています(時差の加減で日付が違います)。その後、両国で何件か銃を用いた犯罪が起きました。

アメリカで「銃」の絡む事件が起こると日本で必ず持ち上がるのがアメリカでの「銃規制」の問題です。しかし、私は、アメリカで日本のような「銃規制」は不可能だと思います。それにはいくつかの理由があり、日本人には理解できない理由もあります。ただ、1つだけ私にも言えることは・・・「銃」だけの問題ではないということです。そして、私は、いつもこのような事件を聞くと・・・「銃」と「アメリカ」だけの問題にして、終わらせていいのかと憤りを覚えます。

アカデミー賞を受賞したマイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」というドキュメンタリー映画の中で、アメリカの「銃」問題が採り上げられていましたが・・・その中でマリリン・マンソンが言っていたアメリカ社会の特徴が・・・このところ日本でも当てはまりつつあるのに、日本のメディアも国民も、他人事のようにアメリカばかりを非難しているように思えて、私は、恐ろしく感じます。

「アメリカ社会は、恐怖を植えつけて消費を促している。」・・・正確に一字一句を覚えているわけではありませんが、マリリン・マンソンは、奇妙な化粧をした顔で、そのように真面目に語っていました。このマリリン・マンソンは、コロンバイン高校の銃撃犯たちが崇拝していたと言われるアーティストです。当時、彼の音楽が過激だと厳しく非難を受けました。そして、ムーアの映画では、アメリカの犯罪率は下がっているのに、ニュースで採り上げられる犯罪は増えている・・・というような検証が行われていました。このムーアという監督にも、彼の作る映画にも・・・いろいろな批評がありますが、少なくとも私の実感として、マリリン・マンソンが言っていたことは事実に思えます。そして、日本の場合、犯罪率は本当に上がっているのでしょうが、同じように「恐怖を植えつける」様な社会の構造ができてきているのではないかと・・・不安に思います。それと同時に、何でも何かに責任を擦り付けるというメンタリティーまで日本に輸入されてきているように思え、やるせなさを募らせています。

「いじめ」も「学力低下」も学校の責任?先生の責任?塾の責任?遊園地の事故も、子供の虐待も行政の不手際?・・・乱暴な子供たちが増えているのは暴力映画やテレビゲームのせい?教育制度や、治安の悪化も、所得の格差も政治家が悪い?確かになにかに問題があるのでしょう。しかし、原因は1つではないのです。そして、人は1人・1人がなにかを変える力を持っているのです。「いじめ」は、1人の心がけで少なくとも1つは減ります。「学力低下」も大人、子供それぞれの努力で少しずつ改善できます。遊園地の事故は、そこで働く人々の認識の変化で、子供の虐待は・・・地域の大人の心配りで改善が見込めるのです。政治家が悪いのも・・・1人1人が政治に参加するという心がけをもてば、変え得るのです。

アメリカ史上最悪の銃犯罪は、「銃」のせいではありません。犯人のような若者を育ててしまったアメリカ社会の責任です。そして、何より、犯人が悪いのです。そして、この状況は、対岸の火事ではないと思うのは・・・私が悲観論者だからでしょうか。

「寺子屋の日々」でも触れましたが・・・やはり、「自分がどうしたいのか」「自分に何ができるのか」を考える子供たちが増えれば、少しずつ社会が変化していくのではないかと私は思います。そんな子供たちを増やすためには、彼らの周りにいる私たちがいつも希望を持ち、できることを1つずつしていくことが必要だと思います。私は、このままずっと、私たちにできる努力を続けていきたいと思っています。

やはり、最後になってしまいましたが、いつもこのような私に協力して下さる竹上さん、中島君、連載の皆さんに感謝したいと思います。そして、もちろん、寺子屋のスタッフにも。いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

新学年度が始まり1ヶ月半が過ぎました。ゴールデンウィークも終わり、3学期制を採用している学校では、中間テスト目前、他の学校でも、遠足、体育祭、修学旅行と学校行事が盛んになり、気候も良い季節です。私は、毎朝この良い気候の中、ジョニーとともに自然の中を歩きながら、1日の力の源を補給しています。

五月病なんて吹き飛ばし、今月も張り切って行きましょう。

(Y.K.)
by terakoya21 | 2007-06-14 14:31 | あとがき

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


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