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寺子屋の日々 ~Days in Terakoya ~ (てらこや新聞 2020年10月号 かめいのコーナーより)

Those who know nothing of foreignlanguages ….

外国語を知らない人は…~

Those who know nothing of foreign languagesknow nothing of their own. 「外国語を知らない人は、自分たちの言語についても何も知らない。」  ―ゲーテの言葉だ。

寺子屋かめいは今年の36日、創立20周年を迎えたのだけれど、今年の初めに20年目にして初めての仕事の依頼を受けた。

それは、松阪の文化財の観光パンフレットの英語版作成という仕事だった。

何もかもが初めてで、少し不安を抱えながらも、「ただ挑戦してみたい」という気持ちだけで最初は請け負ったものの、お話をいただいたのが1月という受験シーズン真っ只中、、、深田さんと名古屋の大学の国際教養学部に通う卒業生とにサポートをお願いして、とりあえず始動。現地に何度も足を運び―週に13人でミーティングをし―結局、デザインに載せて校正を始めてもらえたのが、4月初め、パンフレット自体が出来上がったのは6月の初めとなった。

その中で再会を含むいろいろな出会いと学びがあった。

私は、大学院在学中に、旧飯南町役場で、卒業に必要とされていたインターンシップをさせてもらっている。将来自分が開設したいと願っていた塾は、地域に根差した老若男女が集うコミュニティセン ターのような塾だったので、住民参加が松阪周辺では一番盛んだと言われていた飯南町の役場でインターンをしたくてお願いし、実現したものだった。

でも、飯南町というところは、住民参加が盛んということと、地図上の場所と名前は知っていたけれど、私自身ほとんど行ったことのない場所―2度目のアメリカ留学中だった私には、飯南町での2か月間の経験は、アメリカでの生活より異文化との交わりであり、とても貴重な体験だった。そして、この経験なしには、私は寺子屋かめいを20年も続ける勢いを保つことはできなかっただろうと思っている。

飯南町役場では、企画課に配属(?笑)され、  与えられたメインの仕事が飯南町のホームページを作ること。町中を課長に軽トラで案内してもらい、また、山にも登り、様々な人に会わせていただき、、、とにかく、いろいろな体験をさせてもらった。最初の数日間は、周りの人たちがアメリカの大学院に通う眼鏡をかけた「女史」というような目で、そんな扱いだったけれど、そのうち打ち解けていき、喜んでホイホイと山登りをする私に、課長が目を丸くしていたのを今でも覚えている。

そして、当時、紹介された中に、今回のお仕事を私にもってきてくださった方がいらした。

でも、そのときの私の実力と勢いは、若さとともに消えている、と思うことのほうが多い。果たして、 私は適役なのだろうか。

それでも、今の私は、年をとっただけではなく()、大学院卒業後1年ほど、飯南町で働き、「地方」の土台ともいえる人々の営みの大切さと温かさに触れ、その後松阪でこの仕事を始めたので、そのときの私より様々なことに柔軟に対応できるようにはなっている(、と思っている)―だから、大丈夫だろう…

なんて、心の中の葛藤とともに、作業を進め、仕事を完成させていく中で、 またも日本人の「英語」-というより外国語―に対する誤解と、「英語」-というより外国語―への過度の期待を感じた。

しかし、同時に私は、その誤解は、外国語を知っている、もしくは使う、外国語のできる側の問題のほうが大きいと感じている。

最近、英語のできる人が、自称海外を知っている人が、かっこよくないと感じることが多い。

少し前に、「私は東京や海外に住み、日本に戻り、地元へ戻ってきたけれど、田舎にはわかってくれる人がいないから、お友達になってくれないか」と会ったこともない人からお手紙をいただいたことがある。

この人は、外国語を習得して外国に住み、何を得たのだろうか、と首をかしげてしまった。

また、インターン中に出会った途上国支援などに携わる松阪の人に、「亀井さん、アメリカの大学院で勉強をする人が、こんな飯南町の田舎にいたら、なまってしまうでしょう。」と飯南町役場の皆 さんの前で言われたことがあり、私はひどく憤った。

私は、英語を積極的に学び、外国で教育を受けるといういろいろな意味で恵まれた環境で育っていた。そして、その環境を私は最大限に利用してきた。その中で、文化にも言語にも、境遇にも優劣はないと学んできた。地元で理解してくれる人がいないとすれば、自分が相手を理解する努力が足らない可能性があり、田舎にいたらなまってしまうなら、それは自分がなまけものだからだ、と昔も今も私は信じている。

異文化交流も外国語習得も、相互を認め合い、理解し合おうとすることから始まる。だから、それは、自分が生まれたときからずっと目の前で行われてきた営みだ。自分が空腹であることを相手に伝えるために泣きわめき、その涙や泣き声の意味を理解しようと周囲の人が努力してくれたときから始まっている。理解しようと努力する側も、泣いて伝える側もわかりたい、わかってほしいという気持ちを表し、理解を深め、お互いを認め合う。それが異文化交流である。

今回のパンフレット作成の依頼は、日本語パンフレットの内容にこだわらず、外国人の目線で外国人に伝わるように英文を作ってほしいという依頼だった。だから、「英語版」パンフレットで、「英訳版」ではない。それが当然の要望だと思っていた私たちは、その点が珍しいと聞いて、 驚いた。日本の観光パンフレットは、日本人向けと英語圏文化を背景に持つ人々向けが同じ内容で、ただ、直訳されていることが多いという。英訳版ではなく英語版のパンフレットが増えていくことを願っている。

(Y.K)



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~ 寺子屋かめいからのお知らせ ~

*今回、寺子屋かめいが作成に関わった英語版パンフレットは、下記のホームページに掲載されています。

松阪歴史文化舎のホームページ 



*「特別講座」で、この3施設を訪問して「英語講座」や「作文講座」を行いたいなと思っています。

詳しくは・・・英語講座第一弾のご報告↓







Special thanks to

松阪歴史文化舎の皆さん&寺子屋スタッフ、そしてパンフレット作成に携わった方々すべてに感謝です!!


by terakoya21 | 2020-11-16 08:30 | 寺子屋の日々

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


by terakoya21