BROADアイ (てらこや新聞159-163号 秋・冬号 小野さんのコーナーより)

マイ・ベストテン

テレビに出るのだから今一度しゃべり方を勉強してみてはどうかと上司に勧められ、アナウンサーの卵たちが通う「日テレアナウンス学院」で授業を受けてみました。ところが、そこでガツーンとやられまして。

授業のテーマはいたってシンプル、「相手に伝わる話し方」です。こう言ってはなんですが、記者生活は20年以上、ニュース原稿は何千本も書いてきた、現場からの中継だってスタジオ解説だって場数を踏んできた、だから人前で話すのなんてお手のもの、なんて考えていたのが大間違いでした。

先生は突然こう切り出しました。「いまからお手元の白い紙に自分の好きなものを10個あげて、その理由も簡単に書いてください。3分で。スタート!」

え!? まず好きなものがとっさに出てこない…。旅、食べること、犬、ゴルフ…えーっと…。で、理由ったって…いろんなものを食べると世界が広がるから、とか?なんて頭が混乱しているうちに半分も埋まらず終了。と思ったら休む間もなく、「では10個のうちの1つの魅力を今から1分で話して ください。はい小野さんどうぞ」…もう、しどろもどろです。

そんな僕を見て先生が言った言葉は、突き刺さりました。「これがスラスラ出てこない人は自分に興味がない人です」。

思えば、目先の仕事にばかり夢中になり自分のことは二の次になっていたのかも。身の回りの物事を、ただ目の前を流れていく流行や風景としか見ていなかったのかも。人目や体裁、美しい言葉で着飾ることばかり考え、「好きなものは好き」という素直な気持ちが引っ込んでしまっていたのかも。

ちなみに先生の本業は舞台役者。まず自分自身のことが好きでないと、人に何かの思いを伝えようとしても薄っぺらくなるということを教えられました。

それ以来、僕の日課は通勤電車で「好きな街」「今週食べたい料理」などとお題を決めてベストテンをあげ、その魅力を語ること。窓の方を見てブツブツ呟いているちょっと近寄りがたいおじさんになっています。

こんど、僕のベストテン、聞いてください。みなさんのベストテンも、聞かせてください。


by terakoya21 | 2019-01-03 08:30 | 新聞最新号

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


by terakoya21
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る