人気ブログランキング |

I Love Books! (てらこや新聞127号 竹川のコーナーより)

BOOK66:玉岡かおる
「負けんとき(上・下)
ヴォーリズ満喜子の種まく日々」
(新潮文庫)

以前、旅行途中でたまたま立ち寄ったところがありました。当初は訪れる予定は立てておらず、時間があったので…と軽い気持ちで立ち寄ったのですが、その町の散策がとても印象深いものになったのをよく覚えています。なぜ印象深かったかというと…街並みを彩る古い西洋建築がとても素敵だったからです。その場所は、滋賀県の近江八幡でした。

今回ご紹介する小説の舞台にもなる近江八幡、私がとても素敵だと思った西洋建築を手掛けたのが、この本の主人公・一柳満喜子の夫であるW.メレル.ヴォーリズです。ヴォーリズはキリスト教伝道のために来日し、近江兄弟社を設立、また 建築家としても有名です。神戸女学院大学、同志社大学、軽井沢ユニオン教会など、数多くの西洋建築を日本に残しています。そのヴォーリズの妻となった女性の話が、この上下巻にわたる壮大な小説です。

時代は明治半ば、播州(兵庫県南部)小野藩最後の藩主の娘として生まれた一柳満喜子は、封建的な環境の中で育ちますが、華族の学校ではなく平民の通う学校に進み、アメリカ人教師から英語や西洋の考えを学びます。心を寄せる幼馴染との恋が実らず傷心を抱えアメリカに一人、旅立ちます。そして、帰国後ヴォーリズと出会います。

満喜子の人生は、封建的な華族制度に目に見えない形で縛られ、うまくいかないことの連続ですが、彼女はいつも前向きで、チャレンジ精神にあふれています。険しく、孤独で 辛い道のりでも、一歩ずつ自分の信じる道を切り拓いていく姿勢に、勇気づけられます。

津田梅子や大山捨松など、この時代の先端を行く女性たちとの交流も描かれ、とても興味深く読めました。

満喜子に絶大な影響を与える人物の一人として登場する広岡浅子は、9月28日から放送のNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」の主人公です。満喜子もとても素敵な女性ですが、浅子もまたとても興味深い女性でした。次は、この浅子の物語を読んでみたいと思っています。

私は以前から明治という時代がなぜかとても 苦手だったのですが、その苦手意識がこの小説によってかなり緩和されたような気がします。

そして…たまたま立ち寄っただけ、しかも立ち寄った時間帯が夕方だったため、あまりじっくりとは散策できなかった近江八幡に、もう一度ぜひ行ってみたいという気持ちが強くなりました。

(K.T.)
by terakoya21 | 2015-11-06 16:51 | I Love Books

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


by terakoya21
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る