I Love Books! (てらこや新聞118号 竹川のコーナーより)

BOOK54・55・56・57:吉永 南央

「萩を揺らす雨  紅雲町珈琲屋こよみ」
(文春文庫)
「その日まで  紅雲町珈琲屋こよみ」
(文春文庫)
「名もなき花の  紅雲町珈琲屋こよみ」
(文春文庫)
「糸切り  紅雲町珈琲屋こよみ」
(文藝春秋)

今回は一気に4冊、ご紹介します。

前から気になっていたものの、買おうか買うまいか、ずーっと悩んでいたシリーズ本です。悩みに悩んで、やはり読んでみたい、だから買っておこうと、4冊大人買い(?) しました。

昨年12月、一冊目を読み始め、ひと月のうちに一気に4冊、読破しました。何かと忙しない師走に一気に読み終えたということだけをとってみても、私がこのシリーズにどれだけ魅了されたかが伝わるかと思います。

主人公は、観音様が見下ろす街で、コーヒー豆と和食器を扱う「小蔵屋」を営むおばあさん、杉浦 草(そう)。お草さんと呼ばれています。とびきりのコーヒー豆を販売していて、そのコーヒーの試飲を無料で提供しています。和食器のコーナーも、季節ごとにアレンジを変え、なくても生活はしていけるけれど、あれば日々の暮らしに彩りを添えてくれる、そんな展示を見せ、思い入れのある和食器を扱っています。コーヒーにしても和食器にしても、ひとつひとつに、こまやかな気配りとていねいさが感じられて、ほっとします。

無料のコーヒー目当てで小蔵屋にやってくるお客をそっと見守りながら、お草さんは、それらのお客との会話をきっかけに、街で起こる小さな事件に気付いていく…というお話です。

事件を解決と聞いて思い浮かべるのは、シャキッとした頼りがいのあるおばあさんかもしれませんが、お草さんは、シャンと背筋は伸びているけれど、決して出しゃばらず、控え目で、心に傷も負っている、その傷から決して逃げない芯の強さも持ち合わせています。

扱われている事件は、家庭内暴力や幼馴染とのいざこざなど、決して大きなものではないけれど、日常的によく起こりうるようなもので、だからこそ、より身近に感じるものばかりです。

「事件」と言うほど大げさなものではないけれど、当事者にとっては大きな問題、それらを一つずつひも解いていくお草さんですが、すべてが幸福な解決を見るわけではなく、それがかえって、リアリティを持って、読む者の心に響く、そんなお話が詰まっています。

人生の悲哀と四季がうまく融合されていて、芳醇な香りにほろ苦さもあるコーヒーにつながるような気がします。 人生の苦みも知っているお草さんが語る言葉は、決して難解なものではないけれど、一つ一つに重みがあって、心に残ります。

しっとりとした味わいのあるシリーズです。

今春、NHKにて、富司純子さんがお草さん役として主演し、ドラマ化されるようです。ぜひ見てみたいと思っています。

(K.T.)
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by terakoya21 | 2015-02-18 14:06 | I Love Books

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