I Love Books! (てらこや新聞117号 竹川のコーナーより)

BOOK53:北村 薫 
「八月の六日間」
(角川書店)

大好きな作家・北村 薫さんの今年発行された作品です。

主人公は40歳目前、文芸誌の副編集長をしている“わたし”。不器用ながら真摯に仕事をこなしてきて、心をすり減らすこともある日々。人生の不調が重なったとき、山歩きに誘われたことがきっかけで、私生活や会社で欠け落ちた何かを拾いに、山へと向かう…そんな物語です。

私自身は、そこに山があっても「山に登ってみよう」とはきっと思わないと思うのですが、四季折々の山の美しさ、山での一期一会の出会いに、心救われる何かがあるのだろうということは理解できます。

主人公の名前は出てこないし、起承転結があるわけでもなく、淡々と物語は進行していくのですが、読み進めるほどに心に爽やかな風が吹き抜けるような、そんな気がしました(私の好きな作家さんの作品だから…というスパイスも大いに効いているとは思いますが)。

今年は東海地方ではお馴染みの山が噴火し、大きな被害をもたらし、各地で噴火活動が活発になっている山々があるというニュースに触れる一年でした。

この作品に出てくる“わたし”は、気軽な雰囲気で山登りをするようなシーンも出てきますが、実際には、相手は自然、「山ガール」などという言葉でもてはやされるような気軽な気持ちで山登りをするのは、かなり危険な行為だと思います。本書の最後にも、そのような注意書きが添えてあります。

北村さんの他の作品も通して私が感じることは、彼の、女性に対するまなざしの優しさです。

特に山登りに興味はなくても、疲れた心をそっと癒してくれるような読後感がありました。
( K.T.)
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by terakoya21 | 2015-01-10 19:02 | I Love Books

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