英文法の底力 (てらこや新聞107号 卒業生のコーナーより)
2014年 03月 05日
英語の時制はいくつあるでしょう?
この質問をすると多くの人は「3つ」だと答えます。
つまり、「現在形・過去形・未来形」という3つの時制があると。
でも実は英語の時制は現在形と過去形の2つしかありません。
えっ?と思われた方も多いと思います。でもホントなんです。
今回はこのことについて書きたいと思います。
☆英語には未来形はない!
まず始めに、次の日本語を英語にしてみてください。
「明日は日曜日です」
どうですか?
答えは Tomorrow is Sunday. です。
ここで質問です。上の文は「何形」ですか?
そうです。現在形です。
以前の記事で、現在形について書きましたが、現在形は「昨日も、今日も、明日も言えること」を表します。つまり一言でいえば、「現在の事実」を表すのが現在形です。
ここで先ほどのTomorrow is Sunday.「明日は日曜日です」という文を見てみましょう。
英語ではこのように「はっきり決まっている未来のこと」は現在(単純)形を使って表現します。(詳しくは『てらこや新聞第104号 英文法の底力② 』に記載)
「はっきり決まっている未来のこと」とは例えば上記の文の他には「新学期は4月7日に始まります」とか「次の電車は10時30分発です」などがあります。これらの文に共通していることは「今現時点で(はっきり)決まっていること」です。例えば「新学期は4月7日に始まります」というのは、学校の年間計画で(今現時点で)はっきり決まっていることです。「明日は日曜日です」という文も、言うまでもなく土曜日の次の日は日曜日が来ることは、常識としてわかっている今現在の事実です。
つまり、「はっきり決まっている未来のこと」とは言い換えれば「現在の事実」なのです。
ですから「はっきり決まっている未来のこと」は現在形で表します。
しかし、未来のことは確定していること(現在の事実)だけではなく、「まだはっきりしていないこと」もあります。こうした内容を私たちは「未来を想定」して語るわけですが、英語では未来を想定して語るとき、助動詞などを使って表現します。
その典型的な例がwillやbe going toです。
☆ will
英語で「未来」と聞いたらまず頭に浮かぶ語が、willだと思います。
willは<(今現在の)「意志」(「推量」)>を表します。
a.I will go to Los Angeles.
b.Will you help me?
c.She will come.
d.It will be sunny tomorrow.
例えばaは、私はロサンゼルスに行く意志が(今)あるということから「ロサンゼルスに行くつもりだ」という意味で、bは、相手(you)の意志を問い、「私を手伝ってくれませんか?」ということを表しています。
またcは「彼女は来るだろう」という意味ですが、第3者の意志はわからないので、こういった場合には「意志があるだろう」というように「推量」のニュアンスになります。dは「明日は晴れるだろう」と言う意味で、「天気」には意志はないので「推量」のニュアンスになっています。(「推量」と言っても、あくまでwillの基本は「意志」で、そこから「推量」のニュアンスが出てきているので、強い推量(「きっと~だろう」)を表します)
「意志」や「推量」というのは未来のことを指して言うことが多いので、「willは未来形」だと言われることがありますが、あくまでwillは「今現在の意志・推量」を表しているにすぎず、時制で言えば「現在形」です。(例えばJohn will be in the park.「ジョンは公園にいるだろう」という文は今現時点の推量であり、未来のことは表していません)
☆ be going to
be going to は<~すること(to do)に向かっている(be going)>ということから、「~する予定だ」などの意味を表しています。
例えば、I’m going to go to Los Angeles.という文は、ロサンゼルスに行くことが予定されており、そこに向かっているということから「私はロサンゼルスに行く予定だ」という意味になります。
ですから、I will go to Los Angeles.とI’m going to go to Los Angeles.の違いは、前者は例えばテレビでロサンゼルスの街の様子が流れていて、「うわースゲー!よっしゃ、俺いつか絶対ロサンゼルスに行ったる!!」というような「(今の)意志」を表しており、後者は例えば留学や旅行などでロサンゼルスに行くことがすでに(予定として)決まっていて「ロサンゼルスに行く予定だ」という場合に使います。
では最後にクイズです。(この問題は山梨大の入試問題を少しアレンジしたものです)
「(予期せず電話が鳴ってきて、同室の人に)私が出ましょう」と言うとき、次のどちらがより自然ですか?
A.I am going to answer it.
B.I will answer it.
答えは次回記載します!
<今日のまとめ>
・英語に未来形(未来時制)はない!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献 『NHK新感覚☆わかる使える英文法 文法がわかれば英語はわかる!』 田中茂範 / NHK出版 / 2008