人気ブログランキング |

アメリカ研修日誌 No. 5 part 1 (てらこや新聞98号 大学生のコーナーより)

No. 5 5日目

part 1

お世話になっている一家のご主人と彼のお兄さんたちが働くコーン畑に連れていってもらうことになった。チェイスのお兄さんのチャッド(長男)も、そこでお父さんたちを手伝っているらしい。

ゴトゴト音を立てて土煙を上げながら、チャーリーンさんの車は幅の広い農道を進む。窓外の見渡す限り一面が、コーンの葉の濃い緑で覆われている。背の高い葉がびっしり並んでいるから、ここでかくれんぼをしたら鬼役は大変だろう。そんなことを考えながらしばらく車に揺られていると、ふっと視界が開けて、今度はでこぼこしたこげ茶の大地が広がる。刈取りのおわった土地なのだろうが、なんて広いのだろう。通り過ぎてきたような見渡す限り緑の畑もまだ残っているのに、全体で一体どれくらいの広さの畑なのだろう。

ご主人たちの作業現場に着いたらしく、チャーリーンさんの車が止まった。脇にはいつか目にしたような大きなトラックが数台並んでいる。畑を見やると、赤や緑の大きなトラクター(農業機械)が、緑の畑をぐんぐんこげ茶の大地に変えていっている。

私はまず、緑のトラクターに乗せてもらうことになった。タイヤの直径からして私の身長(164cm)を超えているような乗り物である。乗り込むだけでも一苦労だ。上からチャッドが手を差し伸べてくれて、なんとか運転席の隣に収まった。それにしても大きい。視界が高い。

トラクターが動き出す。車体の揺れからタイヤの下のでこぼこした地面が感じられる。乗り心地はいい。楽しい。とても楽しい。ただ、隣で運転しているチャッドのことが気になる。チャッドとはメキシカンレストランに向かう車中で遭遇してから、一言も言葉を交わしていない。そんな彼と、ふたりきりになってしまった。

(夕食時など、何度か一緒の空間にいたことはあったから)いまさら自己紹介ってのもなぁ。いやでも、きちんと顔を合わせたのはこれが初めてみたいなもんだし。「ハーイ、よろしく」ぐらい、言っておいたほうがいいかな。あれ?でも、よろしくってなんて言ったらいいんだ?・・・。こんなことを考えて、結局自己紹介をしたのかどうかは覚えていない。

覚えているのは、「頼むから何か話しかけてくれ~」と念じてみたが、チャッドはひたすら前を見つめハンドルを握っているだけだったこと。せっかくの仲良くなるチャンスを逃すまいと、必死になって彼に質問してみたこと。

「夏休みの間中ずっと、お父さんを手伝ってるって聞いたけど、あなたはお父さんみたいになりたい(農業がしたい)と思ってるの?」というようなことを、エンジン音に負けないように、なんとか聞いてみた。すると、「うん、なりたい。」という返事。感激して思わず、「ご両親はあなたを誇りに思うでしょうね!」と返すと、「うーん、まぁ父さんはそうかもしれないけど、母さんはなぁ・・・。」とチャッドは少し口ごもった。お母さんは反対こそすれ、いい顔はしないという。理由を尋ねると、この夏(2012年)のその地域の農業の状況を例にとって話してくれた。「ここ数年はコーンがほとんど獲れなくて、全然ダメだったんだ。でも、今年は豊作だよ。それに、ほかの地域が干ばつで獲れないから、値段が上がるんだ。だから今年は本当にラッキーだよ。でも、そんな風に不安定だからさぁ、この仕事は。がんばって働いても、全然お金にならないこともあるし。」と、こんな感じで。

つづく…
by terakoya21 | 2013-06-01 14:26 | アメリカ研修日誌

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


by terakoya21
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る