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アメリカ研修日誌 (てらこや新聞94号 アシスタントのコーナーより)

おまちかね?!! アシスタントによる体験記です。

No. 1

2012年3月、「協力するよ、いくらでも。」という亀井先生の言葉をきっかけに、わたしはアメリカへ行くことを決めた。期間は8月から9月の一ヶ月間。心強いことに、最初の10日間は先生も一緒だ。先生が高校生のときに一年間を過ごしたテキサス州で、留学当時のホストマザーだった方と、その頃からの親友の方のお宅にお世話になる。先生のテキサスへの久しぶりの里帰り旅行に便乗させてもらうかたちだ。

行きたい気持ちとはうらはらに、準備はなかなか進まず、けれど一日一日はあっという間に過ぎていき、出発のその日までバタバタした。出発の時が近づくにつれ、アメリカへの期待と自分への不安がない交ぜになった緊張感が募っていったが、空港までの定期船に乗り、飛行機の座席に座ってしまえば、もうあとは身をまかせるしかない。

約十六時間後、わたしはアメリカの地を踏んでいた。

ジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港に到着して、わたしたちの荷物がベルトコンベアーで運ばれてくるのを待っていると、先生がうれしそうな声を上げ、手を振った。その視線の先には、大柄な男性がいる。ホストファミリーの方らしい。先生に紹介してもらい、あいさつを済ますと、ホストマザーのセシルさんが車で待っているということで、亀井先生は車に向かい、わたしはあいさつを交わしたばかりの ジョンさんと荷物を待つことになった。待ち時間の間、彼はわたしに気を遣っていろいろと話しかけてくれたが、わたしはそのどれにも満足に答えられなかった。

スーツケースをゴロゴロさせて車へ向かうと、運転席の金髪の女性に手を差し出された。シェイクハンズというやつだ。(わたしはその後、多くの人に出会うことになったが、シェイクハンズはよくした。主に初対面の人と交わすあいさつのようだ。)彼女がセシルさんらしい。オーバーオールに赤いシャツ、カウボーイハットが よく似合う。後に年齢を知って「えぇ!?」と驚くことになるのだが、彼女はとても若々しい。全員乗り込むと、セシルさんの赤い車は走り出した。

残念なことに、その後の車中での会話はほとんど理解できなかった。なんとなく話の大筋はわかっているような、でもそうかと思うとあれ?今何の話?となったり、あとから、あぁ~さっきのはそうゆうことだったのか!とわかったり、自分の頭の中で3人の会話を整理するのに必死だった。しかし、そんなてんやわんやの頭を抱えたわたしにも、質問は飛んでくる。

流れる会話の途中でとっさに聞かれるから、質問内容もよくわからなくて、イエスノーすら答えられない。ah...と無意味な音を発し、「なんて言ったの?」と表情で訴える。すると、相手がもう一度質問を繰り返してくれたり、先生が助け船を出してくれたりしてその場はなんとか過ぎていった。しかし、後から振り返ってみると情けなくなるほどに、何にもわかっていなかった。

まず、セシルさんとジョンさんの関係がよくわからない。お世話になる家族のことについて、出発前に先生からほとんど何も情報を得ていなかったわたしは、そのことを少し、いや、そのときはかなり後悔していた。ふたりは親子だよなと最初は思っていた。でも冗談を言い合い仲良く話す姿を見ていると、夫婦でもあり得るなぁ・・・という気もしてくる。そんなことを考えながら車中の会話に耳を集中させる。

しばらくすると、モニカさんという方の職場へ到着した。

ここで、ようやくこの家族の関係がはっきりした。モニカさんがセシルさんの娘さんで、ジョンさんはモニカさんの旦那さんだ。家族構成がわかったことで少しほっとする。モニカさんを乗せると、車はメキシコ料理店へ向かった。

ジョンさんが大きな木製のドアを開け、わたしたちを先に通してくれる。大きな丸テーブルに5人で座る。メニューはもちろん英語(メキシコ料理店のため、スペイン語も)。日本みたいな料理の写真もない。料理名とその下に書かれた材料名から、どんな料理かを想像する。なんとなく想像がつくものもあるが、メキシコ料理初体験のわたしには馴染みのない料理名がほとんどだ。先生と相談して、えびの入りのケサディーヤ(quesadilla)を注文した。

料理がくるまで、コーンチップスをいただく。サルサソースというのだろうか、ピリ辛のトマトソースにつけて食べる。(その後も何度かメキシコ料理店へ行ったが、気が付くとチップスがテーブルにあって、みんなでつまんだ。料理を注文するとついてくるものなのだろうか。料理が来るまでの時間稼ぎ用?)黄色い三角形のチップスはパリッと良い音を立ててわたしたちの口へ入っていく。食べ始めると止まらなくなる類のものだ。

ケサディーヤは、とうもろこしの粉でできた皮とたっぷりのチーズが相性抜群のジューシーな料理だった。アボガドやクリームチーズにつけて食べる。小エビのおかげで少しさっぱりいただけた。セシルさんが注文したマルガリータは、金魚鉢くらいの大きなグラスに入って運ばれてきた。わたしも少しいただくことに!淵に塩(?)がついたグラスから、ほんのり白く濁ったマルガリータを流し込む。甘口で柑橘系、さっぱりしておいしかった。

おいしい料理と楽しい人たちに囲まれて、テキサス一日目の夜は更けていった。

(H.F)
by terakoya21 | 2013-02-04 07:06 | アメリカ研修日誌

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