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不思議な宣長さん (てらこや新聞71号 吉田館長のコーナーより)

第二話 徹夜で勉強する

らん  先生、昨夜はとても寒かったですね。

和歌子 風邪をひかないように温かくして勉強をしてね。

らん  寒い夜は寝るのが一番だけど・・・

和歌子 こんな和歌がありますよ。
 ますらをは はだれ霜ふり 寒き夜も こころふりおこし 寝ずてふみよめ

 寒けくて ふみて取る手は かがむ共 なおこたりそね 長きこの夜を

 この朝(あさ)け 堀坂(ほりさか)山に 初雪降りぬ ぬば玉のきその夜嵐 うべもさへけり


まず、声に出してゆっくり3回読んでみてください。

らん  声に出すと何となくわかる気もするけど、でもやっぱりわからない。

和歌子 歌は三首ですね。
最初の歌は、「ますらお」は勇ましい男性の意味だけど、ここでは目標を持った人のことです。「はだれ」は「まだら」です。目標がある人は、あちこちに霜が降るような寒い夜も、がんばって寝ないで本を読みなさい。

らん  霜って降るんですか。

和歌子 霜降り肉!
二首目は、寒くて、「ふみて」は筆のこと、筆を持つ手がかじかんでも決して怠ってはいけません、冬の夜は長いのだから。

らん  はい。

和歌子 徹夜をして夜が明けました。目覚ましに冷たい風に当たろうと外に出たら、あっ、堀坂山の上に雪だ。だから昨夜寒かったんだ。というのが三首目の歌です。「ぬば玉」は闇とか夜にかかる枕詞。「きそ」は昨日とか昨夜という意味です。今日の朝、堀坂山に初雪が降っていた。昨夜の夜嵐が激しかったはずだ。

らん  松阪の歌だったんですね。家の近くからも堀坂山が見えます。

和歌子 これは本居宣長さんが48歳の時に詠んだ歌です。魚町に住んでいたから、阪内川あたりまで散歩に行って堀坂山を見たんでしょうね。これは「古体」といって古いスタイルで詠んだ歌だから、聞き慣れないことばが使われていますね。

らん  宣長さんも徹夜したんですか。

和歌子 昼間はお医者さんで結構忙しいし、古典を教えたりもしていて、自分の研究ができるのは夜しかなかったのよ。

らん  こんな先生に教わったら大変だ。

和歌子 この歌は自分を励ます歌だけどね。でもお弟子さんは大変だったでしょうね。 たとえばわからないことを宣長先生に聞くとね、すぐに答が返ってくるけど、それで安心しちゃだめ。

らん  え、どうして。

和歌子 次の時に、この前の答でわかったかって聞かれるのよ。テストしてるわけじゃなくって、宣長さんはずっとその質問の答を考え続けているの。適切な回答だったかとか、別の考え方はないかとかね。だから次に会った時に、どうだったって聞くのよ。

らん  私、和歌子先生でよかったよ。
by terakoya21 | 2011-03-11 15:07 | 不思議な宣長さん

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