I LOVE BOOKS (てらこや新聞66号 竹川のコーナーより)
2010年 10月 27日
「Presents」
カラフルな可愛らしい花の絵の表紙と、「人生は、幸せなプレゼントであふれている」という帯の言葉に一目惚れした一冊で、女性が一生の中で出会う人から貰う様々なプレゼントを視点にした短編集です。
生れて初めて貰う贈り物の「名前」、小学校入学祝いの「ランドセル」、放課後の「初キス」、大人になって恋をして貰った「合い鍵」、結婚式の「ヴェール」、浮気がばれた夫からの贈り物である温泉旅行の「記憶」、晴れの日を迎えた子供からの両親へのプレゼント-子供が生まれた時と同じ重さの「ぬいぐるみ」、そして人生の最期に貰う「涙」。
きっと女性なら、いくつかの場面を経験したことがある人もいるはず…そんな設定でのプレゼントシーンを描いていて、それぞれの設定シーンにすんなり感情移入でき、一気に読んでしまいました。何だか切なくて、けれどほんのり心温まる…そんなお話が詰まっている一冊です。
あとがきで角田さんが書いています。
「人はだれでも、贈るより、贈られるほうがつねに多いんじゃないかなと思います。品物は、いつかなくしてしまっても、贈られた記憶、その人と持った関係性は、けっして失うことがない。私たちは膨大なプレゼントを受け取りながら成長し、老いていくんだと思います。」
貰うプレゼントそのものも嬉しいけれど、そのプレゼントを贈ってくれた相手とのつながりを思って、より温かで幸せな気持ちがくっついてくるような気がします。そういう気持ちの積み重ねを「幸せ」だと感じられることが、人生を豊かにしてくれるのかもしれません。
女性におススメの一冊です。
(K.T.)