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上越だより (てらこや新聞66号 下西さんのコーナーより)

小川未明のふるさと

上杉謙信ゆかりの城跡があった「春日山」の近くに、「春日神社」と「春日山神社」があります。 「春日神社」は、10世紀中頃に創建されましたが、14世紀になって、「上杉氏」が築城のさい、城の鬼門として現在の地に遷座し、春日山城の名前の由来になった、古い歴史のある神社です。

一方、「春日山神社」は、春日山の登り口にありますが、明治34(1901)年に、旧高田藩士、小川澄晴などの尽力によって創建された、「上杉謙信公」を祭神とする神社です。秋の大祭は、「謙信公祭」と呼ばれ、今年は8月21日22日に行われました。上越市観光振興課に協賛会事務局がおかれ、市の観光の目玉にもなっています。この「謙信公祭」のクライマックスが武者出陣行列と、川中島合戦の再現です。2007年に初めて、ミュージシャンのガクトが謙信公役を務めてから、観光客が押し寄せるようになりました。今年は3回目のガクト出陣で、24万人もの観客が全国から集まったと、地元紙は伝えていました。

「春日山神社」創設に生涯を捧げた小川澄晴の息子が、「日本のアンデルセン」と呼ばれる小川未明(明治5年~昭和36年)です。未明(本名は健作)は、上越市幸町に生まれ、長じて、早稲田大学で学びながら、文学の道に進んでいきます。しかし、算数・数学嫌いで落第をくり返し、小・中学校は卒業していないとか、そんな話も伝わっています。

「春日山神社」の社務所は、未明の帰省先でもあります。
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上越市立高田図書館(上越市本城町)の中に、小川未明文学館 (平成17年10月1日設置)があります。ここは文学館とは名ばかりの、まことに狭いスペースですが、「未明文学」の発信地になっています。「出会いのロビー」と名付けられたエントランスホール、「語らいサロン」と名付けられた展示室(未明の遺品や作品などが見られる)と、そして「童話体験のひろば」と名付けられた童話に親しめる部屋があります。催し物としては、朗読会や特別展・文学講座などがあります。来る9月25日~10月31日には、「小川未明と杉みき子」というタイトルで特別展示と講座があります。
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また、平成4年からNTT主催で小川未明文学賞の選定が行われていましたが、平成6年から上越市も共催となりました。表彰式が、東京と上越において隔年で行われています。ちなみに昨年度は379編もの応募があったそうです。

この文学館の運営はもちろん上越市ですが、子供たちへの童話の読み聞かせや、子供向けのイベントには多くのボランティア(約20人)が参加しています。

小川未明は、生涯1000点以上の作品を残していますが、その中のほんの一部が、新潮文庫『小川未明童話集』に納められています。童話25編のうちわけは、「赤いろうそくと人魚」「野ばら」「月夜と眼鏡」「しいの実」「ある夜の星たちの話」「眠い町」「大きなかに」「雪くる前の高原の話」「月とあざらし」「飴チョコの天使」「百姓の夢」「千代紙の春」「負傷した線路と月」「殿さまの茶わん」「牛女」「兄弟のやまばと」「とうげの茶屋」「金の輪」「遠くで 鳴る雷」「港に着いた黒んぼ」「小さい針の音」「島の暮れ方の話」「二度と通らない旅人」「黒い人と赤いそり」「かたい大きな手」。

「赤いろうそくと人魚」は、未明の代表作です。市内には、文学碑も建っており、舞台となったと推測される場所があります。(53号で紹介しました)

未明は、その作品数の割に、「日本のアンデルセン」などといわれた割には、現在はあまり読まれていません。戦後、児童文学の潮流が「メルヘン」「ロマン」から「自然主義」「リアリズム」に変わったからだといわれています。確かに、文体が古風だと思いますが、「月夜と眼鏡」「金の輪」などは、とてもふしぎな謎めいた話です。現実味がないと排除されたとしたら、想像力の欠如だな、とつぶやきたくなります。
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未明が通っていた小学校(大手町小学校)には、「野ばら」の文学碑があります。この物語は、反戦の気持ちが、直接、子供の心に届きます。「牛女」は、母の子供を思う気持ちが、素朴に伝わります。「殿さまの茶わん」は、権威とは何か、また、ブランド製品を求める私たちの消費行動に対して、物の本質を問いただされているみたい。「眠い町」は、あくせく働く現代人に対する、また、開発の名のもと、壊される自然に対する、警句のようです。

「春日山神社」の境内には、小川未明の文学碑(昭和28年建立)が建っています。

雲の如く 高く/  くものごとく かがやき/  雲のごとく とらわれず

この詩は、わたしのお気に入りです。座右の銘にしたいほどです。特に「とらわれず」のフレーズが好きです。
by terakoya21 | 2010-10-15 16:32 | 上越だより

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