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あとがき (てらこや新聞63号 亀井先生のコーナーより)

GW以降、さまざまな人と会い、話をする機会が多くありました。そのおかげで、留守番をさせられることの多くなったジョニーは、ますます甘えん坊になっていますが・・・。そして、多くの人々の思い違いが子どもたちの閉塞感を作りだしている気がして、またも声をあげずにいられなくなりました。

最近、子どもたちと接し、親御さんたちと話をする中で、特に気になる点が2つあります。1つ目は、子どもたちの悩みや思い込みが、本来、子どもたちが悩むべき、持つべき思い込みではないように思われるものが増えていること、そしてもう1つが、多くの子どもたちが「取捨選択」の意味がわからずに、憤りと不安を持ち、大きな闇の中で喘いでいるように見えることです。

10年ほど前、高校を不登校で中退した少年に出会いました。彼は「勉強したいわけでもないのに、大学へ行くのはおかしい。親に負担をかけたくない。」と私に語り、適当なアルバイトをしながら、親御さんと一緒に暮らしていました。その態度に、私は怒り、叱ったことを覚えています。「そんなきれいごとを並べるなら、ちゃんとした職に就け。ブラブラとしている自分は親の負担になっていないと言うのか」と。

私には、現在は社会復帰しているものの、ひきこもりを長い間続けていた兄がいます。彼が高校1年生で学校に行かなくなったとき、私は小学4年生でした。円形脱毛症になった母や我が子の扱いに悩む父、2人の苦悩をずっと感じて育ってきた私が、両親が求めたわけでもなく、自発的に人生の選択において1つだけ、ずっと守っていたことがあります。両親が誰かに私の近況を尋ねられたとき、2人が胸を張って答えられる立場に、必ずいようと・・・。それが、そのときの私にできる唯一の親孝行だと信じていました。

そんな私は、「したいこともないのに、大学に行っても仕方がない。遊ぶだけでお金と時間の無駄だ」と言う同じ人が、時間と若さを無駄にして平気で目標も持たず、フリーターやニートを続けているのも、経済的や物理的な理由から本当は「好きなように」してもらっては困るのが現実であるのに、子どもたちに対して「あなたの好きなようにすればいい」かのように大人たちが振舞うのも、「取捨選択」の意味がわからないことの表れで、社会の閉塞感の原因ではないかと思ってしまうのです。

人には自分のペースがあり、人にはさまざまな生き方がある。けれど、社会に住む限りは、そんな人々が皆それぞれに一員として社会を築き上げていく努力をしなければ、社会は成り立っていかないのです。進学しないのなら、働く・・・それをせずに、したいことを続けるのなら、それなりに社会的に認められる態度をもってそのことに臨め・・・こんな当たり前のことが伝わっていかないのは、「取捨選択」を-親が、そして社会が-幼い頃から子どもたちに教えていないからだと思うのです。

取捨選択は、本来毎日の生活の中で私たちが必ずすることのはずです。そして、自分で考え、取捨選択をすれば、「捨てたもの」もまた巡り巡って自分の下に戻ってくるかもしれないけれど、なんでもかんでも欲して、できないことを人や社会のせいにする人は、気がつけば多くのものを失うことになります。一方、社会の軌道に、消極的にであれ乗っていれば、学ぶことを拒否する努力をしない限り、必ず何かを学びます。しかし、「したいことがない」とすねたまま時間を過ごすことに、多くは期待できません。

あとになって兄が、学校に行かなくなった原因は「いじめ」だったことがわかりました。それでも、私には、自分が幼い頃から見ていた両親の苦悩する顔が忘れられず、自立するまでの彼の行動に納得がいかないことも多くあります。しかし、私にとっては今も昔も、彼は、ちょっと偏屈だけれど、優しい兄です。そして、両親だけが苦しんでいたわけではなく、彼は彼なりに悩み、試行錯誤を続けていました。また、自分を振り返ると、今の私の充実した人生の1部は彼のおかげで、私は、彼の行動で、いつも自分の力で「取捨選択」のする力を与えらました。そして今、結果的に、彼が、両親にとって一番の親孝行息子かもしれません。

人は必ず社会の一員です。が、この世で一番小さい社会の単位が家族です。家族の安心を慮り、自分で取捨選択をする力をつける・・・。それは、子どもたちの憤りや不安を少しでも軽くするために、今、大人たちが、自分たちのことを振り返り、反省し、伝えていかなければならないことではないかと私は強く感じています。


さて、いつものように最後になりましたが、連載の皆さん、今月もありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。

尚、好評の『稲佐山通信』は内容を変更して、来月以降に第4弾をお送りする予定です。震えてお待ち下さい。

(Y.K)
by terakoya21 | 2010-08-02 15:15 | あとがき

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