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あとがき (てらこや新聞58号 亀井先生のコーナーより)

「飛行機は、2つのエンジンで飛んでいる。1つしかエンジンを持っていなければ、そのエンジンが壊れたら墜落する。人生も同じで、いくら得意なものであってもクラブと勉強は両立させるつもりで高校に入学しなければならない。」

…と先日高専生アシスタントが後輩たちに言っていました。機械科の彼らしい表現で、さすがだと感心したとともに、誇らしく思いました。飛行機の第2エンジンは、不慮の事態への備えであり、長期的な視野を持った対策です。そして、今、社会の大人にも欠けているのが、長期的視野と不慮の事態への備え。そのことを再認識し、20歳の青年に大切なことを教えられたように思いました。

近年頓に感じるのが、子どもたちの生活力のなさと、暖かさと豊かさを失いつつある心の空洞化です。それは、大人が「長期的視野」と「不慮の事態へ備え」を持たなければ変わらないもので、子どもたちの責任では決してないのです。

昨年から私を悩ませている、ある学校の人気の先生がいます。彼が、いろいろな生徒に「俺は、この学校が嫌いだ。」と言っているというのです。私がこの学校の生徒で、先生にこう言われたら、「じゃぁ、辞めれば?」と思いますが、この学校の多くの生徒たちは「いい先生なんですよ。」と続けます。そして、彼の言動を嬉しげに私に告げるのです…。そして、彼を慕う生徒たちの多くが他の先生方の多くを信頼しなくなっているようにも見え、彼の言動の強さに魅せられているようで、私は悩まずにはいられません。彼らの心の空洞を見せられている気がするのです。

私が、高校時代アメリカで学び、今も原動力となっている信念があります。

「身近なものや人を大切に思えない人は 世界では通用しない。信用されない。」

「嫌い」でもかまわない、なら、嫌なところを直し、良いところを伸ばす…その努力をしているのか…が問題です。その姿勢が、教育の根幹でもあると私は信じます。

人生において大切な「信じること」。人間関係では「信頼」。他を信じられない人は、自分も信用できない。自分を信じられなければ、人生の道は開けていきません。そして、信頼関係は、自分がまず信頼することから始まるのです。子どもたちは、これからいろいろな人に出会います。だから、大人は 信頼できる人と出会えるように、自分たちの信念は伝えなければならない。また、その信念のために、あきらめない姿勢を大人は見せなければならないのです。言葉ではなく、背中で示すその姿勢が、子どもたちに社会を信じる力を与え、不慮の事態が訪れたとき、彼らが考え、対応する備えとなることを忘れないでほしいと思います。

一方、私に言わせると、クラブと勉強の両立は、同じ1つのエンジンでしかなく、どちらも2つ目のエンジンにはなりえません。クラブと勉強にだけ追われる、自分のことしかしない高校生など、いくら成績が良くて、クラブで活躍していても、文武両道とは言わない。家庭や社会で自分たちが果たす役割を学べないからです。文武の武は、「武芸」「武事」です。「心・技・体」を重んじる武道ができるということは、現代なら、武道に限らずいろいろなスポーツを言うのでしょうが、「健全な精神」を持ち、学問も、スポーツもできることを言うはずです。ですから、文武両道は、余裕を持って運動もし、勉強もし、人の役にも立っている人を言うのだと私は思います。我が高専生アシスタントのように…。ちょっと面倒くさがりですが…(~_~;)。

健全な精神は、必ず、自らの環境を自らの手で作り出し、その環境を大切にできる人に宿るはずです。そして、他に感謝できる人に…。そのために、人には、特に若い人たちには、自分の時間が必要だと思います。 その時間をいかにして使うか…それを考えることが自分を変え、動かし、社会を変え、動かす力を持つきっかけだと私は思います。

「健全な精神」を持った子どもたち、日本を担おうと思う子どもたちが増えてくれることを願いながら、今年もそのために少しでも貢献できるよう、心して仕事に臨みたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いします。
またまた、新聞の内容についての記述が最後になりましたが、今回は、巻頭で寺子屋生の新連載が始まりました。知る人ぞ知る(?)福山雅治大ファンによる連載です。私は、これからが楽しみになるような第1回目だと思いました。皆さんはいかがでしたか。感想もドシドシお寄せ下さい。卓君、ありがとうございます。また、もちろん、連載の皆さんの記事に勉強させられたり、笑ったりしながら楽しく拝読しました。皆さん、お忙しい中ありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願いします。

(Y.K)
by terakoya21 | 2010-03-05 13:43 | あとがき

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