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Bonjour! (てらこや新聞56号 谷先生のコーナーより)

得手不得手

ひょんなことから、一枚のポスターを作ることになった。「まじめにポスターの図案を考えるのは中学の夏休み以来だなぁ」なんてしみじみとしていたら、余計なことまで思い出した。私はアイデアを出すのが苦手だった!!!

幼い頃から、最初から大胆な発想や冒険はしない。いや、ただできないだけだ。作曲家が頭に浮かんだメロディーを譜面に書き留めているように、「クリエイター」と呼ばれる人は、頭の中にある出来上がりのイメージを具体化しているのだと聞いたことがある。世の中には、自分の苦手なことをさらりとやってのける(ように見える)人がいる。数字に強かったり、バスケットが上手かったり、どんな車でも自由に乗りこなしたり、誰とでも臆せず話せたり、集団の先頭に立って指揮したり……挙げ始めればきりはないけれど、今までの様々な経験が、自分は何が得意で何が苦手なのか、何が好きで何が好きではないのかを教えてくれた。

美術の授業で「何でも好きなように描きなさい」と言われたとき、喜んで絵の具を塗り始める生徒もいれば、白いキャンパスを前に筆を握ったまま途方にくれる生徒もいる。私は間違いなく後者だった。もし「周りの景色を描きなさい」というテーマが与えられれば、私は自分の描きたい構図を決め、根気よく最後まで仕上げただろう。芸術家タイプではなかったが、私は創作に没頭できる美術の時間が好きだった。

社会とは、得手不得手を持った人が役割分担をして成り立っている。私ができないことやしないことを、他の誰かがしているから、私は生活できている。バスを運転する人がいるから私は眠っている間に遠くへ行け、数字に強い人がいるから私でも使えるパソコンが登場し、代表を担う人がいるから学校も企業も内閣も活動をすることができる。得意なことやしたいことしかしない生活は「楽」なのかもしれないが、そんな人生はきっと楽しくないだろう。

うっかり引き受けたポスターに、そろそろ取りかからなければ!!!
by terakoya21 | 2009-11-28 14:06 | Bonjour

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