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BROADアイ (てらこや新聞52号 小野さんのコーナーより)

人前で話すのが苦手な君へ

先日、ある国会議員の秘書の結婚披露宴に出席した。秘書の披露宴ともなれば、議員をはじめ“偉い”方々がやってきてスピーチをするのだが、その日、最も会場が盛り上がったのは、秘書の奥さん、つまりは新婦の挨拶だった。「お父さんにお風呂で沈められた」「ピアスをあけたいと言ったらお父さんが倒れた」…彼女はとつとつとしゃべっているんだけど、会場はそのたびに爆笑の渦。でもいかに暖かい家族に囲まれて育ってきたかが目に見えるようで、誰もが新婦の話にひきこまれていた。

人前で話す「技」には奥深いものがある。笑わせればいいってものでもない。でも場がシラケてもいけない。言いたいことが端的に伝わり、共感が得られ、人間像まで印象づけられる。そして何より言葉が人々の心にいつまでも残る…。僕も人前でしゃべる機会は多いが、こんな“名スピーチ”…できたことはほとんどないなあ。

オバマ大統領は、優秀なライターが書いた原稿を見事に自分の体に吸収してそれを演じるのが巧い。僕が取材していた当時の小泉首相は、その時々の場の空気を読む反射神経が凄かった。赤塚不二夫さんが亡くなったとき弔辞を読んだタモリさんは、準備してきた原稿を棒読みするフリをしながら、じつは原稿は白紙だったというギャグで人々をアッと言わせた。スピーチが上手な人は、おおむねこの3人のタイプにわかれるんじゃないかな。「演じる」か「空気をつかむ」か「大ボケをかます」かである。

でもいずれにも共通しているのは、心がこもって誠実であること。ある時、スピーチ教室の講師もしているという“スピーチのプロ”とやらがテレビでコメンテーターとしてしゃべっていたが、その方のお話は、言葉の抑揚が激しいばかりで、つまらなかった。
by terakoya21 | 2009-08-28 17:31 | Broadアイ

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