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あとがき (てらこや新聞46号 亀井先生のコーナーより)

年始の休暇中帰省していた卒業生と昼食をとりました。そのときの彼女の発言に私は、唸らずにはいられませんでした。

昨今、国際語にもなっている「MOTTAINAI(もったいない)」という言葉が私はあまり好きではありません。そして、「せっかくだから」という言葉もあまり好きではありません。毎朝のジョニーとの散歩で見かけるゴミの山や子どもたちの時間の使い方に「もったいない」と感じることは多くあり、生活において「もったいない」ことや 「せっかくだから」と思うことはたくさんあるにしても、人生において「もったいない」とか「せっかくだから」ということは、なんだか人生を軽んじているように聞こえるからです。


昨年の夏、久々に東京で大学時代の友人と再会しました。外交官や社長を含むそれなりに仕事をこなす30代半ばすぎの独身の男女7人と、専業主婦1人の8人で会食をしたのですが、私には、専業主婦の女性が一番輝いて見えました。彼女のご主人は、彼女が専業主婦になることについて「学歴、職歴のある女性は、今までの勉強や経験がもったいないというけれど、男性からすれば出産はもちろん、子育ての一部は女性にしかできないもので、代わることはできないし、出産と子育ては、学歴や職歴と同じぐらい価値のあること。そして、今までの経験は家庭内でも、子育ての中にも生かされていくはず。」・・・というような主旨のことを言い、彼女もそれに同意したそうです。実際にお目にかかったことのないご主人ですが・・・私にはとてもすてきな男性だろうと想像がつき、また、彼女が輝ける理由がわかりました。

大学院を卒業しても結婚するなら「専業主婦」になりたいと思っていた(もちろん過去形です)私には理想の 夫婦に見えるからかもしれません。一方で、彼女の潔さがかっこいいからでもあるでしょう。そして、また、主婦業や母親であることは、社会でしっかりと仕事をすることと同じ、もしくはそれ以上の価値を持つことだと私は母の姿に教えられてきたからでしょう。

また、昨年の春、ユニセフに勤めていた友人と4年ぶりに再会しました。児童労働や子どもの虐待問題を話し合う国際会議にも出席していた彼女によると「『子どもを産みたい』という思いと、実際に産むことは、親のエゴであることを親に認識してもらうための教育が必要である」ということを政府高官の方々もおっしゃっているそうです。私もずっと同じことを考えてきました。だから、子どもが育つ環境は年長者が整えておくべきだと考えてきたので、その言葉に救われました。

そして、年始に私が唸った言葉は、医者の卵である女性の「せっかく女に生まれてきたのだから、子どもは産まないと・・・」というものでした。

「もったいない」という言葉には、①有用なのにそのままにしておいたり、むだにしてしまったりするのが惜しい。②身に過ぎておそれ多い。かたじけない。③不都合である。ふとどきである。もってのほかである。(大辞泉)という意味があります。

「せっかく」という言葉には、①いろいろの困難を排して事をするさま。無理をして。苦労して。わざわざ。②滅多に得られない、恵まれた状況を大切に思う気持ち。(大辞泉)という意味があります。

まだまだ使えるもの、有用なものは無駄にしないという気持ちは大切です。そして、自分の置かれた環境や状況をありがたい、恵まれたこととして感謝する気持ちも大切です。それでも、人生の選択肢において、本人が真剣に考え選んだ道ならば、どんな道を選んでも、以前の自分の努力が無駄になることはありません。そして、「女性であること」がそのまま子どもの産める境遇ではなく、子を持ち、育てるという立場が滅多に得られない恵まれた境遇として大切にされるべきものであることを男性でも女性でも、世の中の人には認識してほしいと切に願います。そして、私は産むことができなくても、育てるお手伝いをできる環境にいることを今年も感謝したいと改めて感じています。

さて、やはり、最後になってしまいましたが、今回の新春特大号・・・ご協力いただいた連載の皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございます。

寺子屋での授業が始まって、今年もすでに2週間。中学3年生の学年末試験や入学試験シーズンの備えに追われる毎日ですが、今年も子どもたちといろいろな思いをぶつけ合い、さまざまな困難にも立ち向かっていきたいと思います。

皆さん、今年もどうぞよろしくお願いします。

(Y.K)
by terakoya21 | 2009-02-24 14:43 | あとがき

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