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BROADアイ (てらこや新聞45号 小野さんのコーナーより)

言葉のチカラ

先月、あの高級ブランド、ルイヴィトンが「東京ガイドブック」を出版した。星の数ほどもあるガイドブック…何をいまさら、と思いながらページをめくってビックリ!ガイドブックなのに写真や絵が一切なく、ひたすら説明文が続く。そして圧巻はその文章だ。天下のブランドだけあって、とても個性的。

例えば、下町にある知る人ぞ知る人気の焼肉屋はこう紹介されている。「ホルモン焼きの聖地。聖地巡礼の信者が店先に長い列をなす」。秋葉原の駅前にあるごく普通のカプセルホテルはこんな風に。「スペースはないがスペシャルはある。『2001年宇宙の旅』や『エイリアン』といったSF映画に出てくる未来派カプセルを連想させる。日本ではジャングルやサファリツアーへの脱出、ダイビングやヒマラヤ登山などの冒険ができない代わりに、こうしたカプセルでの冒険旅行を楽しんでいるのだろうか」…。

下町の焼肉屋や駅前カプセルホテルを、言葉ひとつでかくもイキイキと輝かせる凄腕のライターがいるんだろうね。

「言葉のチカラ」というキャッチコピーのCMを、朝日新聞社が出していたのは2年前。「映像の力」を発揮するテレビへの挑戦状のつもりだったんだろうけど、今、僕がニュース番組を作るに あたって最も気を使うのが「言葉」。映像に乗せるナレーション、スタジオでのキャスターの一言。どの言葉を選んで伝えるか、放送前にたっぷり時間をかけて話し合う。類似語をずらりと並べて、どの単語を放送で使うか、たった一言をめぐって延々と話し合うことも多い。言葉一つでモノゴトは「軽く」も「重く」も伝わるし、言葉の組み合わせ方によって「つまらなく」も「楽しく」もなり、受けとる人を「落胆させる」ことも「奮い立たせる」こともできる。

ちなみに極めて私事ですが、妻が僕の心を射止めた(?)のは、出会って以降やりとりしたメール、そして会話の言葉のセンスだった。「この人、オシャレな言い方するなぁ…」と。…ハイすみません、私事でした。

で、その言葉が雑なこともあって先日、自らの内閣支持率を一気に半分に下げてしまったのが麻生首相。人は立場が変わったからといって急に言葉づかいまで変えられるものではない。学生時代からの言葉の積み重ね、大切なんです。
by terakoya21 | 2009-01-20 17:14 | Broadアイ

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