あとがき (てらこや新聞44号 亀井先生のコーナーより)

実りの秋、食欲の秋・・・最近私は、かぼちゃやさつまいもを見ると、生徒や家族、友人にスイートパンプキンやスイートポテト・・・パンプキン・タルトやムースを作りだしています。甘い匂いが 台所に充満するとジョニーは、私の足元に座り込み・・・少しでもおこぼれにあずかろうと・・・けなげに私を見つめています。

そして、気がつきました。私は、30年も前に自分が初めてお菓子を作った日のことを覚えていることに・・・。ときどき同級生に「おまえんとこの塾は、月謝高いのに、おまえの親はケチか?」などと言われて嫌な思いもしたのですが・・・私は、幼い頃から兄姉の古着、つぎはぎの体操服は当たり前、いろいろなものをすぐ買い与えてもらえるような立場にもなければ、小遣いも今の子どもたちからみたら、おそらくびっくりするほど、少ないものだったと思います。

そして、小学1年生のある日、友人の誕生パーティーに招かれて困り果てました。その当時、私の小遣いは、一ヶ月数百円・・・(~_~;)。この友だちに目一杯お金を費やしたとしても、あまり 良い贈り物は思いつかず(今のように100円均一ショップがあれば・・・話は別だったのでしょうが)・・・仮に目一杯使ってしまったら、その月私は何もできなくなります。そこで私は、母に相談しました。もちろん、お小遣い以外の収入がもらえるのではないかという淡い期待とともに・・・。

しかし私の母は、そんなに甘い人ではありません。

「ここにホットケーキミックスがあるよ。」

そこで、母はホットケーキミックスを使ったクッキーの作り方を教えてくれました。スプレーチョコなどのトッピングは、いつも母が私たちのおやつを作ってくれるときの買い置きがありました。そして、私は、パンのように膨らんだ・・・初めて作ったクッキーを袋に詰め、パーティーに出席したのですが、友人は、私のクッキーとは言いがたい、パンのようなシロモノを喜んで食べてくれました。

それからというもの・・・私は、高校を卒業するまで、週末になるといろいろなお菓子を作るようになりました。クッキーやパウンドケーキといった簡単なものから、チーズケーキにガトーショコラ、ショートブレッド、シュークリーム、アップルパイ・・・中学・高校時代のバレンタインには、お返し目当ての友人たちから、チョコレートをいくつかもらうこともあり、父が生徒からもらったチョコレートのお返しは、私が作って返していました。もちろん、大学を出るまで、バレンタインに手作りを贈ることは当たり前でした。

そして、私が当時からずっと夢見ていることが、自分の子どもと料理やお菓子作りを一緒にすることや、バースデーケーキを手作りすることです。今となっては、その夢が叶うかどうかはかなり疑わしい(~_~;)けれど、私にとって、料理やお菓子作りを通しての、母や姉との交流は、単に料理のコツや、作り方を教わっただけではないのです。プレゼントは、費やしたお金で価値を測るものではなく、そのものに込められた気持ちに価値があるということ。そして、費やした時間や思いはとても貴重なものであること。また、食事やお菓子には、その思いを相手に伝える力があるということ。誰かと一緒に何かをすることの楽しさと意義・・・。そして、なにより、食べてくれた人の笑顔に与えられる心のぬくもり。

時間に追われ、ストレスの多い世の中ですが・・・1つのお菓子や料理から与えられるものの大きさに、少し寝る時間を削っても、少し朝が慌しくても、我が子のようにかわいい生徒のため、大切な家族のために作る料理やお菓子がこのところ私の心の潤滑油です。

家族で一緒に集う食卓や、料理を作る時間、そして、一緒のものを分かち合う機会が、今減りつつあると言われます。そのことが、子どもたちの心に与えている影響を、毎日ヒシヒシと感じます。大人たちのちょっとした工夫や、少しの配慮で、取り返せる時間やものが、子どもたちの将来であり、私たちの未来であるなら・・・大人たちにほんの少しの努力をお願いしたいと祈る思いの毎日です。

さて、今月も最後になりましたが、連載の皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございました。食を考える意味では下西さんの書かれていた「地産地消」も現在いろいろなところで考えられ、取り組まれていることです。一方で、食文化をないがしろにする傾向も多くみられます。実りの秋・・・食事について考えるには良い季節ではないかと思います。

(Y.K)

PS:11月15日発行「てらこや新聞」のあとがきです。
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by terakoya21 | 2008-12-26 15:43 | あとがき

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