稲佐山通信 (てらこや新聞64号 寺子屋生の投稿より)
2010年 08月 09日
それでは(いきなりですが)“よろしくどーぞ!!”
四月末、塾からの帰り道、僕は駅前にあるコンビニに立ち寄った。普段ならまっすぐ家に帰るのだが、あの日だけはどうしても立ち寄る必要があったのだ。
別に腹が減っていたわけではない。ただ、情報が欲しかったのだ。
僕は他の物には目もくれず、店の書籍コーナーを目指した。
思えば前日に「福山雅治」と検索したのが悪かったのかもしれない。大体一週間に一度、彼の公式ファンサイト「ましゃまろ出版」で彼の今後の予定をチェックするのだが、その日に限って何の更新もされていなかった。なので僕は仕方なくYahoo!のニュースで彼の記事を探した。
いくつか見ていくと「高知の観光イベント『土佐・龍馬であい博』の会場に飾られていた彼のサインが盗まれた」という記事もあったのだが、そんなことはどうでもよかった。
普段ならそれに対して深い悲しみにとらわれるところだったが、サインが盗まれたことなどちっぽけなことだと思わせることが、その下に書いてあった。
最初、僕の見間違いかと思った。しかし何度見直しても、そこにはこんな見出しがあった。
「福山雅治、年内に結婚か?」
意外と自分が冷静だったことを覚えている。もしかしたら、あまりのショックに脳みそが活動を停止していたのかもしれない。すぐにその見出しをクリックして詳しい記事があるページに飛んだ。
どうやら相手は小西真奈美というらしい。そして、より詳細な記事は明日発売の「週刊ポスト」にあるということを確認して、僕は静かにパソコンの電源を消した。
その日は早く寝た。不思議と夢は見なかった。
翌日、僕はボンヤリとした頭のまま一日を過ごした。始終、夢の中にいるかのようにフワフワした気分だった。それでも「週刊ポスト」は忘れなかった。
――そして話は冒頭に戻る。
もしかしたらまだ届いていないかもしれない。そんな不安を感じつつ、書籍コーナーをじっくりと眺める。すると、二冊も見つかった。
その内容をざっと要約すると、こんな感じである。
四月、都内にある福山行きつけのバーに、彼が気の置けない友と訪れた。いつもならカウンター席に座るのだが、その日は奥にあるボックス席を指定した。
最初、仕事の話ばかりしていた二人だが、酒の力もあってか会話が弾み、ついにこのようなやり 取りを記者は聞く。
友 「最近、コニタンとはどうなの?」
福山「良いお付き合いをさせてもらってますよ」
その後二人はしばらく会話を続け、やがてバーを後にした。
記事を読みながら、僕は徐々に落ち着きを取り戻していた。要領を得ない記事の本文。確かに火の無い所に煙は立たないとはいえ、あまりにも証拠が少ない。考え出せばきりがないが、その記事はこう締めくくられていた。
~とはいえ、福山クラスの大物になると結婚という大きな出来事は直前まで伏せられていることが多い。~
そして、それが世に出されてからおよそ三ヶ月が経った。
彼は相変わらず忙しそうだ。この調子では、彼は今年も結婚できないだろう。
次回は八月、夏も終盤となってしまいますが、「夏の歌」を特集します。
次回を“震えて待て!!”