カテゴリ:I Love Books( 62 )

I LOVE BOOKS! (てらこや新聞140号 竹川のコーナーより)

BOOK78: tupera tupera
「パンダ銭湯」 (絵本館)
今回は久しぶりに絵本を紹介します。

パンダというと「可愛い」というイメージがありますが、この絵本の表紙のパンダを見ると…少し不思議な感覚に襲われるかもしれません(^_^;)。というのも、なんだか少し…コワイ感じがするからです。パンダにしてはなんだか不思議なような気がする…ちょっとコワモテのパンダなのです。

パンダだけが入れる銭湯「パンダ銭湯」というのがあって、パンダの家族(お父さんとお母さんと 子供パンダの三頭)が、そのパンダ銭湯にお風呂に入りに行く…という、お話自体はいたってシンプルなものなのですが…。

実は、パンダには大きな秘密がある?! という、面白いお話です。

とてもシュールなパンダたちの秘密…子供だけでなく大人にもおお受けすること請け合いです(^_^;)。

びっくりするパンダの 秘密、知りたくありませんか?

ぜひ手にとって、楽しんでみてほしい一冊です。
( K.T.)


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by terakoya21 | 2017-01-02 08:00 | I Love Books

I LOVE BOOKS! (てらこや新聞138-139号 竹川のコーナーより)

BOOK75:西川美和
「永い言い訳」 (文春文庫)
単行本の時からずっと気になっていて、文庫化を待ち侘びていた一冊です。

主人公は人気作家の津村 啓こと衣笠幸夫。出版社を辞めて作家を志し、苦労の末タレント活動をするまでの人気作家になるのですが、芽が出るまでは美容師である妻に食べさせてもらっていました。けれども、その間、次第に妻に対する思いはねじ曲がり、二人の間には隙間風が吹いています。

そんな妻が、ある日親友と出かけたスキー旅行で不慮のバス事故に遭遇し、親友共々あっけなく亡くなってしまいます。二人の幼子を残して亡くなった親友の夫・陽一は、悲しみにくれると共に、妻亡き後の子供たちとの生活を思って呆然とするのですが、主人公・津村は妻の死に直面しても、「悲しい」という感情すら湧き起こらず、涙を見せることもなく、旅先で淡々と葬儀を済ませ、その一方で悲劇の主人公を装います。

その後、縁あって、幸夫が陽一の子供たちの 世話を見ることになり、それをきっかけに、幸夫に欠けていた他者を思いやる心を取り戻していくのですが…。

「永い」が「長い」でないのは、その言い訳が、相手が亡くなっていて、もう届くことがないということを意味しています。最後の章で幸夫が書く妻への手紙の中に「他者のないところに人生は成立しない。」という言葉があります。すべてが自分中心で他者の存在しない生活を送っていた幸夫が、「他者」の存在に気付く、その過程を描いた作品です。

愛すべき日々に愛することを怠った代償は小さくはなく、最後に幸夫がそれに気付き、亡くなった妻を思って涙を流す…妻がどう思っているのか、もう確認しようもない、妻に届かない涙で物語は締めくくられます。

失って初めて大切なものに気付く…とても切ないお話ですが、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。

10月14日、映画が公開予定です。   ( K.T.)
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by terakoya21 | 2016-11-30 08:30 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞137号 竹川のコーナーより)

BOOK75:原田マハ
「暗幕のゲルニカ」 (新潮社)

文庫化を待ってから読んだ「楽園のカンヴァス」が良かったので、芸術作品を題材にした今回の作品は文庫化を待てず単行本で即購入しました。

「ゲルニカ」と言えば世界史の教科書にも出てくる有名なピカソ作品で、この単行本の表紙にも描かれています。1937年ナチスによるスペイン・ゲルニカの爆撃後に、ピカソが約350×780cmのキャンバスに描いた巨大な作品を扱った物語です。

物語は、1937年のパリと、現代のニューヨークの二つの時代が交差する形で進められます。パリ編では、ピカソの愛人であるドラ・マールの目を通じて、ピカソがどのようにして「ゲルニカ」を完成させていったかが語られます。そしてニューヨーク編では、ニューヨークにある近代美術館(MoMa)のキュレーターである八神瑤子が9.11の同時多発テロ後、ピカソの「ゲルニカ」を自分が企画する展覧会に展示したいとの思いから、現代のスペインとニューヨークを行き来しながら、物語が進みます。いずれの時代も、主軸はピカソの「ゲルニカ」、特にスペイン編は過去にタイムスリップしたような臨場感を味わいました。大戦前夜のパリ、スペインから、現代のニューヨーク、スペインへとうまくつながっています。

フィクションですが、史実がうまく組み込まれていて、読み応えがありました。ラストの意外な展開に、あっと驚かされます。
( K.T.)
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by terakoya21 | 2016-09-21 08:30 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞136号 竹川のコーナーより)

BOOK74柚木麻子
「本屋さんのダイアナ」 (新潮社)

文庫版も発売されましたが、私は単行本の装丁の可愛らしさに惹かれて手に取った一冊です。


主人公は、大穴と書いてダイアナと読む名前の女の子です。キャバクラ勤めのシングルマザー・ティアラを母に持つダイアナは、母に染められた金髪もハシバミ色の瞳も、おかしな名前も大嫌いです。母のことも自分のことも恥ずかしく思っていて、孤独に過ごしています。


けれど、小学3年生の時に出会った彩子が、 ダイアナの嫌うそれら全てを褒めてくれたことから、仲良くなっていきます。彩子は恵まれた家庭で育ったいわゆるお嬢様で、正反対の二人ですが、お気に入りの本が同じで、本が大好きだという共通点があり、お互いになくてはならない存在、  親友になっていくのですが…。


ちょっとした行き違いから全く口をきかなくなり絶交状態になります。高校卒業後、彩子は私立の共学大学へ進学し、ダイアナは本屋さんに就職して、二人は関わることなくそれぞれの生活を送っていく話が並行して進んでいきます。二人の少女が、少女から大人の女性になっていく十余年を描いた作品です。


生い立ちや環境、抱える悩みは違っても、誰しももがき苦しんで、そして結局、乗り越えていくのは自分しかありません。楽しくて幸せに満ちた少女期と、大人に向かっていく時期の悩み苦しむ姿とのギャップが明白でした。甘酸っぱさとほろ苦さを併せ持つ一冊です。

( K.T.)



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by terakoya21 | 2016-08-15 08:30 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞135号 竹川のコーナーより)

BOOK73:宮下奈都
「羊と鋼の森」 (文藝春秋)
2016年の本屋大賞受賞作です。

私は今まで、どちらかと言うとベストセラーには敢えて飛びつかず、数年後に気が向いたら手に取ってみる…というひねくれ者だったので、この本は私にとっては例外と言える一冊かもしれません。本屋大賞にノミネートされているのは知っていたし、受賞云々を別にしても読んでみたいなと思っていた本でしたが、文庫化されてから読もうかと思っていました。本屋大賞を受賞したとのニュースを受けて、文庫化を待てずに購入しました。

この「羊と鋼の森」の前に、宮下さんの作品を  3作品だけですが読んだことがあり、その静かな 文体が気に入っていました。今回の作品も全編を通して、その静かな文体が堪能できます。

題名の羊はピアノの弦を打つハンマーに使われるフェルトのこと、鋼は弦を表しています。題名の由来になっているのはピアノそのものです。

山村で暮らす主人公がたまたま放課後、高校でピアノ調律師と出会うのですが、その出会いが人生を大きく変えます。それまで何となく過ごしていた主人公は、高校卒業後、調律のための専門学校に通い、運命的な出会いをした調律師のいる小さな楽器店に勤めることになります。ピアノを弾けるわけでもない主人公が、ピアノの調律を仕事とし、その過程で悩み自問自答していく姿が描かれています。

特に大きな事件が起こるわけでもなく、真面目な主人公の心の葛藤や自問自答が続くので、人によってはつまらない内容になるのかもしれません。けれど、森のしんとした静けさや風にそよぐ葉の 音が感じられる文体が私は気に入りました。

全編を通して静謐な文章で物語が淡々と進み、大きな起伏のないこういう作品が大賞に選ばれたというのは、かなり異色だったのではないかと思います。けれど、私は読みながら、静かで深く澄み 渡るような空気感に包まれたような気がしました。
( K.T)
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by terakoya21 | 2016-07-13 09:32 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞134号 竹川のコーナーより)

BOOK72: 坂木 司
「アンと青春」 (光文社)

以前ご紹介したことのある「和菓子のアン」の続編です。

前編は美味しそうなお饅頭の表紙に惹かれて手に取った一冊でしたが、今回の表紙にも美味しそうなお饅頭が載っています。

今回の続編でも主な登場人物は前編と同じ-デパートの地下に入っている和菓子屋「みつ屋」がお話の舞台となり、そこで働く美人店長の椿さん、イケメンなのに乙女の心を持つ立花さん、元ヤンキーの人妻大学生の桜井さん、そして主人公・食べることが大好きなアンちゃんが、和菓子にまつわる疑問や謎を解き明かしていくというお話です。

主人公はアンちゃんなのですが、今回は立花さんが目立っています。綺麗なものや可愛いものをこよなく愛する乙女の心を持つ立花さんですが、あることをきっかけに、今回はかなり荒れます。そして、苦悩しています。

和菓子にまつわる疑問や謎も、今回は少し不穏な空気に包まれているのですが、読後感は苦々しくはありません。やさしい味の和菓子を食べたくなるような気がしました。

そして、またもや続編が期待されます。何より、今回のこの本のタイトル!「和菓子のアン」から始まり、この流れで続いたら、次回作は「アンと愛情」、その次は「アンと友達」と続けていってほしいと期待してしまいます。(新潮文庫版 ルーシー・モード・モンゴメリの「赤毛のアンシリーズ」は「赤毛のアン」「アンの青春」「アンの愛情」「アンの友達」・・・というふうに続いていきます。)読み終えたばかりなのですが、すでに続編を待ち望んでいます(^_^;)。    

( K.T.)
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by terakoya21 | 2016-06-28 10:47 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞132-133号 たけがわのコーナーより)

BOOK71:西村敏雄
「くまくまパン」
(あかね書房)

今回ご紹介するのも絵本です。4歳半の息子が大好きな本です。

くまさんとしろくまさんが始めたパン屋さん、くまさんは甘いパンを作るのが得意で、しろくまさんはカレーパンが得意です。くまさんが作るパンもしろくまさんが作るパンも両方とも好評で、毎日パン屋さんにはたくさんのお客さんがやってきます。

ある日、お客さんに「この店で一番おすすめのパンはどれか?」と尋ねられ、くまさんとしろくまさんは自分のパンが一番だと言い張って喧嘩になり、ついにはお店が閉店してしまうことになります。
さて、くまさんとしろくまさんは、仲直りができるのでしょうか…。

文章にも工夫があって、読み進める楽しさがちょうど3、4歳の子供には受けるのかもしれません。大人が読んでも、仲良きことは楽しくて、ほっこりするものだと素直に思える絵本です。

続編の「みんなの くまくまパン」もまた楽しい一冊です。

どちらの本にもあたたかくて美味しそうなパンがたくさん出てきて、幸せな気持ちになります。( K.T.)
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by terakoya21 | 2016-05-02 08:30 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞131号 竹川のコーナーより)

BOOK70:平野恵理子
「和菓子の絵本 和菓子っておいしい!」
(あすなろ書房)

今回ご紹介するのは、久しぶりの絵本です。

小学生くらいの子供を対象とした絵本ですが、大人でも十分楽しめます。

だんごやまんじゅう、せんべいなど身近なお菓子や四季折々の和菓子をとりあげ、和菓子を作るのに使われる材料や道具の 説明、作り方などを紹介しています。

絵本という形をとっているので、それぞれの説明が短く端的でわかりやすく、ちょっと力の抜けた感じもあって、和菓子作り=敷居が高そうというイメージを払拭してくれます。また、イラストの和菓子がとても美味しそうで、読みながら美味しい和菓子を食べたくなってきます。

簡単な和菓子の歴史にも触れていて、和菓子の奥深さを知ることもできます。

なかなか和菓子を自分で作るという機会はないのですが、この本を読んで、作ってみようかな…という気分になっています。けれど、思い立ってもなかなか腰が重くて…、ときどきイラストを眺めて楽しんでいます(^_^;)。

四季折々の和菓子、日本の伝え残していきたい文化のひとつです。
( K.T.)
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by terakoya21 | 2016-04-26 14:54 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞 たけがわのコーナーより)

BOOK69:北村 薫 

「中野のお父さん」
(文藝春秋)

大好きな作家、北村 薫さんの最新単行本をご紹介します。

主人公の田川美希は、大手出版社・文宝出版に勤める体育会系の編集者です。美希が仕事の過程で遭遇する不思議な謎について、父に相談を持ちかける…というお話です。題名の「中野のお父さん」は、美希の父のことで、彼は東京の中野に暮らす定年間近の高校教師ですが、美希の持ち込む様々な謎の真相を、あっという間に解き明かしてしまいます。

私には敷居が高すぎてなかなか触れることのない有名な作家…幸田露伴や横溝正史、半藤利一などが出てくる文学ミステリと言えますが、父娘のやりとりが軽快で楽しく読めました。

軽やかに謎を解き明かすお父さんと、いつでも帰れる場所としてそこにある実家の心地良さが合わさって、あたたかな雰囲気に満たされる短編集となっています。

久しぶりに読んだ北村さんの謎解きの物語に触発されて、この後まだ読んでいなかった北村さんの他の作品を次々読んでいるところです。お気に入りの作家の作品には思わず肩入れしたくなります。そんな作家と出会えたことが嬉しいと思えるこの頃です。

( K.T.)
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by terakoya21 | 2016-02-15 14:18 | I Love Books

I Love Books! (てらこや新聞129号 竹川のコーナーより)

BOOK68:毛利甚八 作・魚戸おさむ 画
「家栽の人」(ビッグコミックス)

先日、訃報の知らせに接した毛利甚八さん…。その名前だけではピンとこなかったものの、著作の「家栽の人」のタイトルを聞いた瞬間、学生時代が蘇り、懐かしさとともに淋しさを感じました。

今回ご紹介するのは、このコーナーでは初めての漫画です。「家栽の人」シリーズは全部で15巻あります。
私は小さい頃テレビでアニメを見ることはありましたが、漫画を読むという機会が大学時代までほとんどありませんでした。全く読まなかったわけではないけれど、決して嫌いだとか、両親から漫画はダメと言われたわけではなく、ただ単に、我が家は漫画があるという環境ではなかったので自然と手に取る機会も少なかったというわけです。

「家栽の人」は、大学時代、社会病理をテーマにしていたゼミで取り扱った最初の題材でした。

「家栽」の文字が、「家庭裁判所」の略で「家裁」ではないか、間違っているのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これには理由があります。主人公の家庭裁判所判事・桑田義雄は、仕事の合間にも家庭裁判所内の植栽の世話をするくらい、こよなく植物を愛する人物なのです。少年事件や家事審判を取り扱う家庭裁判所、そこを背景にした物語が、それぞれ章ごとに植物と絡めたお話になっています。それで「裁」の字が「栽」になっているのです。

桑田判事は、草木を慈しむように、人の成長を見守っていきます。背景が家庭裁判所なので、扱う事例は少年犯罪や離婚協議など、話題としては暗く重いものもあるのですが、何が大切なのかをじっくり考えさせてくれる奥深いテーマがあり、人生のヒントになりそうなものがお話の中にたくさん詰まっています。

毛利さんのご冥福をお祈りするとともに、懐かしい学生時代を思い出し、再読したいと強く思った作品です。
( K.T.)

*てらこや新聞129号は2015年12月15日に発行されました。
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by terakoya21 | 2016-01-08 16:02 | I Love Books

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