カテゴリ:Bonjour( 116 )

Bonjour! (てらこや新聞140号 谷のコーナーより)

HOME or AWAY
「アウェイ」という言葉を知ったのは、中学生の頃だった。

今では、「アウェイ」も「ホーム」も、スポーツ用語の枠を超え使われる言葉の一つだ。しかし、対戦型のスポーツにあまり縁のなかった私は、awayという英単語のほうを先に学んでいた気がする。サッカー人気が上昇し、海外で行われる日本代表の試合がテレビ中継され、画面にはそこに集うサポーターの様子も映った。そのとき、away=アウェイでありhome=ホームなのだと、それまで別々にとらえていた言葉の意味が、まとまりのあるイメージで結びついた。出来事自体の記憶は薄れていくけれど、その時の嬉しさは覚えている。

私の認識では、アウェイは、普段の力を発揮できず、居心地が悪くて疎外感を抱いてしまう雰囲気や場所を表し、ホームは、のびのびとできて居心地がよく、安心感を抱ける雰囲気や場所を表す言葉としてとらえている。実際のピッチに関して言えば、素人目には同じ見えても、選手にとればホームかアウェイかでは雲泥の差があるそうだ。

スポーツ選手に限らず、私たちはホームとアウェイ両方の環境に置かれる経験を日々繰り返しているのかもしれない。同じ場に集う人々、直面している課題、その日その時の状況によって、ホームがいつもホームだとは限らないからだ。ホームだからと安心していれば足元をすくわれたり、まるで自分のホームが乗っ取られたように思えたりする状況はしばしば訪れる。しかし、その逆もある。アウェイだった場所がいつの間にかホームに変わっていることも、最初は不利だと思えた条件が結果的には有利に働くこともある。

結局は、自分のとらえ方、心の持ち様次第なのではないだろうか。ホームだからとか、アウェイだからという条件に左右されずに、またそれを 言い訳にせずに済むような本当の実力をつけていきたい。
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by terakoya21 | 2016-12-31 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞138-139号 谷のコーナーより)

スマホデビュー

先日、両親が“ガラケー”から“スマホ”へと買い替えた。私自身もスマホを使い始めてようやく1年が経った程度なので、それほど詳しいわけではない。しかし、スマホだとできることが増える半面、気を付けなければならないことも増えるということくらいは知っている。後でいろいろと尋ねられても上手く答えられないので、私も買い替えに同行することになった。

家でいくつか疑問点や確認事項を挙げてからお店へ向かったが、父や母のようなお客さんの相手など日常茶飯事なのだろう。担当の店員さんは、私たちの質問に最後まで笑顔で丁寧に答えてくれた。

初心者向けの機種は、使える機能も付属の説明書も初心者向けになっている。私は自分の機種との違いに戸惑ってしまったが、本人たちは説明書と画面の両方とにらめっこしながら、今のところは問題なく使えているようだ。

買い替えようと思ったのには、各々いろいろと理由や動機があるようだが、共通の一番の目的はかわいい孫の写真をきれいに撮ることらしい。本当は「撮ってほかの人に見せること」なのだろうと思いつつ、それぞれに楽しみが広がっていくといいなと思っている。
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by terakoya21 | 2016-12-01 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞138-139号 谷のコーナーより)

a bit of incense

7月下旬、久々に京都へ行ってきた。メンバーそれぞれが何度も訪れた経験があったため、全員の持ち合わせている経験と情報を照らし合わせ、お手頃な着物や和小物のお店に立ち寄りながら京都の街をたくさん歩いた。

カフェで京都スイーツを味わった後、再びてくてくと進むと、その先に八坂の塔が見えた。そして、その界隈には飲食店や土産物店が軒を連ねていた。私たちは店先に漂う「和」の香りに手招きされるように中へと入った。シンプルでおしゃれな店内には、香道に用いられる本格的な道具からお土産によさそうな匂い袋まで、さまざまなものが並んでいた。

以前は、お香というと法事のお線香か、アジア系の雑貨といったイメージが先行し、自分から手に取ることはほとんどなかった。しかし、触れる機会が増えると、徐々にお香の魅力がわかるようになってきた。今は、私のような初心者向けにデザインも用途も幅広くなっていて、それらを見ているだけでもあっという間に時間は経っていく。

旅の終盤、日が傾くと同時に空気はじめじめとし始めていた。しかし、少し湿気を帯びた空気のほうが、お香には適しているのではないかと気づいた。京都という土地の雰囲気にも感化され、まだ知らない香の文化にもっと触れてみたいと思った。
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by terakoya21 | 2016-11-21 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞137号 谷のコーナーより)

天文台
自宅からそれほど遠くないところに、土曜日の夜だけ公開される天文台があることはずいぶんと前から知っていた。しかし、普段帰宅する頃には残念ながら閉館になっている。長期休暇のたびにチャンスをうかがうこと数年、開館日から外れていたり、他に出かける予定が入ったり、そして何より天候に恵まれなかったりと、最近になってようやく行くことができた。

自分のことは棚に上げ、一体どんなたち人が集まっているのだろうと多少の不安も抱えながら、天文台へ通じる坂を上った。到着した時、中ではちょうど最初の説明が終わったところだった。コンピュータ制御で動く望遠鏡と手動で動かす踏み台、足元にはフル回転の扇風機、デジタルとアナログが混在している状況に私は親しみを覚えた。

その日は夏休み真っ只中、いつも以上に家族連れが多かったそうだ。一人ずつ交代で望遠鏡を覗く順番待ちの列に並び、ボランティアのスタッフによる解説を聞いているうちに、小学生の頃はこんな感じだったなと少し懐かしい気分になった。

火星、土星、月の順で観測する予定だったが、数分前まではっきりと見えていた月は肝心な時に厚い雲に覆われてしまい、観測は一時中断となった。月が再び現れるのを待つ間、スタッフの方から海外での天体観測について聞くことができた。閉館時間まではまだ少し時間があったが、暑さに負け、今回は諦めて帰ることにした。

動く図形や天体にはかなり苦手意識が強く、何光年という長さは想像すらつかない私だが、いつからか夜空を見上げる癖がついている。家の窓から見えた空に、月は何事もなかったかのように顔を出していた。

天体観測は忍耐力の勝負だそうだ。いつになるかわからないけれど、またあの大きな望遠鏡を覗ける日を焦らずに待ちたい。
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by terakoya21 | 2016-09-20 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞136号 谷のコーナーより)

アタリマエ

私は二十歳の誕生日を海外で迎えた。記念の旅行に出かけていたわけではない。一月中旬、その日は日本では成人の日にあたっていた。日本にいれば、地元の成人式にも大学主催の成人式にも出席できていたけれど、留学先ではごく普通の平日だった。いや、期末試験初日と重なっていたのだから、少し特別な日だったといえるのかもしれない。

それからしばらくして迎えた初めての選挙も、まだ帰国前だったため棄権せざるを得なかった。その国にどれほど長く暮らそうとも、 国民として扱われないということがどういうことなのか、日本で暮らしていた頃には気にしたこともなかった。半年ほどの留学のために済ませる人がどれほどいるのかはわからないが、正式な届けを出していれば海外からも投票できる制度があることは、その時に知った。不思議なもので、日本にいるときよりも外国にいるときのほうが、日本という国や日本人であることを意識し、考える時間は長かった。

当たり前だと思っていたものが当たり前ではないと実感したとき、その価値やありがたさに気付く。そして、何の疑いも持たずにきたことに疑問を抱いたとき、世の中が違って見えてくる。そう学んで帰国してから十年以上が経ち、私には日本という国で日本人として暮らし続けることがすっかり アタリマエになっている。


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by terakoya21 | 2016-08-19 11:17 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞135号 谷のコーナーより)

レーズン

小さい頃は苦手だったのに、今では平気で食べられるようになっているものは少なくない。それどころか、どちらかといえば好んで食べているものさえある。

少し酸味があるしわしわの黒っぽい粒、見た目の地味さと決してこども向けでない味、こどもの私には魅力に欠けていた。それゆえ、たいていのパン屋さんで扱っているレーズン入りのパンはちっとも美味しそうには見えなかったし、なぜいつも店頭に並んでいるのかさっぱりわからなかった。しかし不思議なことに、おやつとしてレーズンパンを差し出される場面はときどき訪れた。生地に練り込まれているレーズンをこっそりつまみ出しているのを見つかって、周りの大人から「レーズンは嫌い?」と毎回のように尋ねられながら、レーズンの風味が残るパンをほおばっていた記憶がある。

しかし、いつからか、レーズンは私の苦手な食べ物ランキングの圏内から姿を消していた。それどころか、チョコでコーティングされたレーズンにはまって、毎日のように食べていた時期さえあった。今では、巷にレーズン入りの食品がたくさん出回っていることにもうなずけるし、ラムレーズンのアイスを味わえるのは大人の特権だとさえ思っている。

恥ずかしながら、いまだに口をつけず残してしまう食べ物はあるけれど、こどもの頃よりは数多くの食材が持つ魅力に気づけていると思う。
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by terakoya21 | 2016-07-25 08:30 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞134号 谷のコーナーより)

タイヤ交換

先月、車のタイヤを交換した。新車購入時のタイヤは少し前から替え時を迎えていたけれど、なかなか行動に移せなかった。たまたまタイヤのパンクが増えているという新聞記事を読んで気にし始めていた頃、ガソリンスタンドの店員さんからも家族からも立て続けに「そろそろ替えたほうがいいよ」と声を掛けられた。それをきっかけに、身近な人へ聞いてみたり、折り込みチラシを見比べたりして情報を集めた。

時間が経つにつれて少しずつ腰が重くなっていたが、予定の空いた休日、「よし!」と心に決め、何となく初心者でも入りやすそうなお店へ入った。付け焼刃の情報収集をしてみたところで、ほぼ無知に近い私には、メーカーは国内か海外か、重視するのは性能か価格か、迷いどころが満載だった。自分の車や生活スタイルにはどんな種類のタイヤが適しているのか、この機に店員さんからいろいろと教わりながら、絞り込んでいく。できればその日のうちにすべてを済ませたかったので、最初からお店を何軒もまわって選ぶ気はなかった。そして最終的には、自分の懐事情とお店の在庫状況との折り合いがつくものに決めた。

実際の交換作業はお店に頼んだのだから当然だけれど、済んでしまえば何てことはなかった。しかし、それ以来、駐車場でみかける車の足元まで目がいくようになったり、タイヤのCMやチラシもしっかりと見るようになった。たとえ積極的に取り組んだことでなくても、経験はそれなりの影響を与えるようだ。
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by terakoya21 | 2016-06-29 09:13 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞132-133号 谷のコーナーより)

My refresh time

体を動かす、カラオケで歌う、本を読む……リフレッシュの方法は、人によって異なる。

これと決めているわけではないが、家で少し時間ができたとき、台所にいることが増えた。そんな時には、主菜ではなく副菜や常備菜を作るというのが、ポイントかもしれない。主菜となると、結局は無難なものや定番のものになってしまうが、副菜や常備菜は初めての食材や調理法でも多少の失敗を恐れずに挑戦しやすい。

先日はにんじんのポタージュを作った。いつか作ってみようと思いながら、なぜかなかなか実行できずにいたが、改めてレシピに目を通すと、それほど手間も時間もかからずにできることがわかった。なぜ、じゃがいもやかぼちゃではなく、にんじんなのかといえば、前日から冷蔵庫に数本残っていたからにすぎない。もしそれが一本しかなかったら、使い切るのをためらっていたかもしれないし、他の材料がその場に揃っていなければ諦めていたかもしれない。

レシピを片手に台所に立つ間は、他のいろいろなことを少し横においておける。新しいレシピが上手にできれば、それ食卓に並べる楽しみができて、レパートリーを一つ増やすこともできる。その場の思いつきで一皿作れるほどの腕はない私には、ちょうどよい気分転換になっている。
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by terakoya21 | 2016-05-22 10:39 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞132-133号 谷のコーナーより)

編集「中」記

4月から『てらこや新聞』の12年目が始まった。編集を担当するようになって以来、月初めから半ばにかけてパソコン画面に向き合う時間が自然と長くなっている。技術やセンスの有無を横に置いておけるなら、挿絵を選んだり行間や字間を調整したりする作業は性に合っているようだ。発送作業が一段落つく月末になれば、次号用の原稿が少しずつ届き始め、また新しい紙面作りが始まる。

ときどき確かめたいことが出てくると寺子屋のロビーに並んでいるバックナンバーを開く。当時通っていた寺子屋生による作文や学習レポート、先輩たちによる勉強法の紹介や旅行記、読者からの感想や記念号へ寄せたメッセージ……そこには様々な交流の軌跡が見えてくる。

生徒やお家の方々が読む前提ということ以外は、何を、どのように、どれほど書くか、特に規定は設けていない。レギュラーコーナーであれ一度きりのメッセージであれ、どんな内容なのかは、読んでみるまでわからない。だから、初めて原稿に目を通すときのワクワク感とドキドキ感に慣れることはない。文体や言葉選びには、その人しか発することのできない表現が光っていたり、普段とは別の顔がうかがえたりすることもある。

紙面に載る内容はもちろん、掲載に至るまでのエピソードも思い出としてとっておけるのは、発行する側の特権ともいえる。これからも、どんな原稿に出会えるのか楽しみだ。
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by terakoya21 | 2016-05-14 12:26 | Bonjour

Bonjour! (てらこや新聞131号 谷のコーナーより)

PHOTOGRAPHY

カメラ機能付きのケータイやスマホが当たり前となったためか、旅行先でさえカメラを持ち歩くことはめっきり減った。しかし、10代の頃は一眼レフのフィルム式カメラで写真を撮るのが好きだった。父からしぼりや半押しの技術を教えてもらった時には、すぐに試したい衝動に駆られて、庭の草花や近所の風景をいろいろと試しながら撮っていたのを覚えている。重量感のあるカメラを構えレンズをのぞきこむ感覚は、軽量化と大画面化の進んだデジカメでは味わえないものかもしれない。

私のような素人にとって、フィルム式とデジタル式との決定的な違いは、その場ですぐに見られるか否かだ。フィルム式を使っていた頃、まずはフィルムの枚数がいっぱいになるまで、そして写真屋へ現像に出して受け取るまで、どんな写真になっているのかという期待と不安が入り混じった気持ちになっていたものだが、それも今では懐かしく思える。ときには、現像されてくるまでどこで何を撮ったのかもすっかり忘れてしまい、できあがった写真で話に花を咲かせたことも少なくなかったように思う。

その上、人物写真には、風景写真とは異なる趣がある。人物が満面の笑みを浮かべているもの、恥ずかしそうにうつむいているもの、涙を流しているもの……中には撮られていることに気づいていないものもある。当時はわずらわしく思えた集合写真、肩も顔も硬直したままの証明写真、 何気ない日常のスナップ写真、どれもが、二度とは戻ってこないその瞬間を切り取っている。それがなければとっくに忘れていたような出来事の回想やどんなに願ってももう会えなくなった人との再会さえ、一枚の写真は可能にしてしまう。

だれでも気軽にカメラ撮影できるようになったからこそ、レンズを向ける先をしっかりと見つめてシャッターを切りたい。
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by terakoya21 | 2016-04-24 08:30 | Bonjour

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


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