2017年 05月 05日 ( 1 )

上越だより 最終回(てらこや新聞143-144号 下西さんのコーナーより)

「高田公園の四季」

2月4日(土)高田公園内にある小林古径邸の敷地内にて、「小林古径邸キャンドルナイト」が開かれました。高田城二の丸跡にある古径邸(アトリエ・庭園を含む)に、雪で行灯や灯籠を作って、古径邸に雪の夜の風情を楽しもうという趣向でした。

日本画の巨匠・小林古径(1883~1957)は上越市出身。『新潟の美術』(毎日新聞社)の冒頭に次のように評されています。

……古径芸術における、その独自の厳しい線描、清澄な色調、強靭な造形性、それでいて馥郁と漂う詩情は、まことに近代日本画の一つの頂点……


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古径邸は吉田五十八(1894~1974)の設計、宮大工の岡村仁三が棟梁を務めて施工されたもので、木造二階建て数寄屋造りです。大田区南馬込にあった住宅は、平成5年に解体されましたが、平成7年その部材を上越市が買い取り、平成10年移築・復元され、平成13年完成しました。そして、その価値が認められ、平成17年に国の登録有形文化財に登録されました。

キャンドルナイトは、16時から19時まで開催されました。今年は、小雪でしかも当日は、春のような陽気で、準備が大変(有難迷惑?)だったと思いますが、雪行燈に導かれた経路を辿る庭園は趣深く、普段は見られない風情でした。建物の中に節分のしつらいがあり、季節に合った絵が飾ってありました。もっとも気に入ったのは、雪見障子ごしの雪景色。切り取られた風景は不思議な、深い青の世界で、これぞ雪見障子という体験ができました。薄暮から宵にかけての時間の微妙な推移を感じることができました。来訪者の多くがカメラを片手に珍しい光景を切り取っていました。珍しく晴天になった夜空には、月齢8の半月と金星も見ることができました。

古径邸復元にともなって、従来の上越市立総合博物館内に、「小林古径記念美術館」(平成16年から)が併設されていました。が、今後数年で、この併設状態が解消されます。上越市立総合博物館は改修され 「上越市立歴史博物館」になり(平成30年7月リニューアルオープン)、古径邸敷地内に新たに「小林古径記念美術館」が新設される予定です(平成32年オープン予定)。

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高田公園は、高田城(徳川家康の六男・忠輝の居城)の跡地に作られた約50haの広さの公園です。明治40年に旧陸軍が入城し、一部の堀を埋めるなど作り変えたその形が、現在の公園の土台になっています。

高田公園にはいろいろな施設があり、様々な目的で親しまれています。

城址ですから、お堀や土塁のほかにも、天守閣にかわる建物である「三重櫓」が復元されていて(平成5年)、内部にはお城関係の展示もあります。

子どもたちが遊べる芝生の広場もあり、滑り台・ターザンロープ・ロープネットジャングルジムなどの遊具もあります。

自然科学としての面では、野鳥がすみかにし、お堀では、水鳥・白鳥もやってきますので、探鳥会もできるます。植栽も豊富で、季節の花が楽しめます。

博物館(美術館)や、ブロンズプロムナードがあり、芸術系のニーズにも応えています。高田図書館があり、小川未明文学館も併設されていますから、文学や教育面でもカバーしています。

陸上競技場や野球場・テニスコートもあり、外堀に沿って遊歩道が整備され、スポーツの面でも高田公園の施設は充実しております。

「お城稲荷」「忠霊塔」という祈りの場もあります。

私は、高田公園のすぐ近くに、四半世紀ほども住んでおりました。が、この3月、夫の定年退職を機に、ここを離れることになりました。四季を通じて高田公園を見て、公園でのイベントにも参加してきました。高田公園の四季の、私のお気に入りを紹介しましょう。

春はもちろん桜。公園内には4000本もの桜があるそうで、ライトアップされた夜桜はとみに有名ですが、 昼間の桜もお堀(水)と桜、遠景の雪山と桜の取り合わせは、高田ならではのものです。私のお気に入りの  スポットは、松と桜が混在したお堀沿いの道です。舗装もしていない、自動車も通らない、花見の喧騒も届かない狭い道ですが、野鳥の声を聴きながら緑とピンクのアーチをくぐるとき、春が来たことを実感します。

夏は蓮。お堀が盛り上がるように咲くハスの群生は東洋一といわれています(外堀の19ha)。明治4年から植えられたというハスは当初は食用でしたが、現在はもっぱら観賞用で種類も本数も豊富です。観桜会ほど派手ではありませんが、7月下旬から8月中旬まで開催される「上越はすまつり」は遠方からの愛好家を増やしています。


近年、突然変異の珍しい咲き方のハス「双頭蓮」(一本の茎から花が二つ)「並てい蓮」(一輪のハスの花の中に二つの花托をつける)を見ることができました。

秋は紅葉。公園通りにはイチョウが数本あります。春の芽吹きのころ、薄緑の小さい葉っぱが出てくるのを見るのも楽しみですが、イチョウ色はやはり「をかし!(すばらしい)」。イチョウに交じってカエデが、アクセントカラーを添えます。また、桜の葉っぱの色の変化が、秋の深まりを知らせます。お堀の水面にモミジが映り込むのも「あはれなり(いい感じ)」。

冬は六花、つまり雪。雪は美しいけれど厳しく、冷たいけど懐かしさを運んでくれます。一晩に50cm以上積もると、暮らしに不便というほかありませんが、積雪から守るために施された「雪囲い」は、雪がないと「わろし(風情がそがれます)」。

高田公園は、いろいろなイベント会場にもなります。昨年・一昨年の秋には、クラシックカーのレース、  「ラ・フェスタ・ミッレミリア」の中継地点となりました。通常は車両立ち入り禁止区域にクラシックカーが続々入ってくる光景は壮観でした。堺正章や近藤真彦など有名人も参加していたので、次々登城する車両(多くがオープンカー)に興奮し、「三重櫓」とクラシックカーの取り合わせにミスマッチの極致?をみました。

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現在、高田公園では、今年7月中旬完工、9月から供用開始に向けて、「厚生産業館(仮称)」の建設が進められています。鉄筋コンクリート造り、三階建て(延べ床面積4997㎡)で、中には多目的ホール、公民館、こども施設などが設置されます。

前述の上越市立博物館が「上越市立歴史博物館」になり、時代に応じた系統立てた展示を目指すことになります。そして、その目玉になるのが、謙信愛刀で国宝の「太刀無銘一文字」です。刀の刃文から「山鳥毛」(山鳥の産毛を並べたような模様)という号がつけられています。購入代金3億2000万円に市民の賛否が飛び交っております。

高田公園は、これから数年にかけて施設の改修が 続き、大きく変わろうとしています。



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by terakoya21 | 2017-05-05 08:30 | 新聞143-144号

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