あとがき (てらこや新聞33号 亀井先生のコーナーより)
2008年 01月 16日
一方で、私の過ごしてきた学生時代とはかけ離れた学生時代を送る現代の学生たちに・・・思いを馳せずにはいられませんでした。そこで、今回の「寺子屋の日々」のエッセーでは、今一番気にかかっている子どもたちの状況について書いてみました。何度かエッセーにも、あとがきにも書きましたが、人生で一番大切なものは「出会い」だと思います。しかし、その出会いを「幸運」として受け止め、その価値を考え、自分の生活に活かしていけるか・・・は、その人の力量にかかっています。その力量は、子どもの時代・・・多感な時期に培われていくものだと私は思います。その培われていく環境は、大人たちが子どもたちに整えるものなのだとも感じています・・・。
今でも私は、いろいろな人と出会い、その人々の人生のほんの1部を分け与えられています。毎朝ジョニーと散歩するだけでも、さまざまな人と出会います。名前も、職業も、住んでいる場所も知らない人々ですが、いろいろなことを教えてくれ、そんな人々が私は好きなだけでなく、その中で、自分も好きになれるのです。
もちろん、寺子屋生たちとの出会いも、私の生活を豊かにしてくれています。今年、寺子屋設立当初の一番幼い子どもたちのクラス・・・小学4・5年生クラス・・・の5年生が高校3年生になりました。そのクラスメートたちの進路が12月に入ってすぐ、無事決まりました。その中の1人は、中学3年生で、県立推薦入試、滑り止め私立入試の失敗を乗り越えて、現在の高校に進学しました。中学を卒業し、松阪市外の専門科の高校に通い始めた彼は、寺子屋も卒業しましたが、長期休みや大掃除などに顔を出し、近況を知らせてくれました。また、高校2年生の夏休みから、彼は、暇があると中学生たちの勉強を見て、自分の体験談などを聞かせてくれていました。その間、「勉強はもういい」なんて言いながら、就職を目指していたのですが・・・2年生の終わりから、学校の先生の勧め、ご両親の後押しもあり、「大学」を視野に入れ始めました。そして、今回、国立大学に推薦で合格しました。彼の地道な3年間の努力はもちろんですが、ご両親の18年間の愛情を始めとして、先生方、友人などに恵まれたおかげで、彼のその努力が見事に実を結んだのです。
彼との出会いは、私たちにも大切な出会いです。彼と彼の同級生は、いつも私たちを和ませ、私たちの仕事の中で大切なものを教えてくれています。
今年も、たくさん、子どもたちと話をし、説教をし、観察し、観察され・・・1日1日を過ごしてきました。いつか振り返って、私たちとの出会いが、良い出会いであったと彼らが感じてくれるような出会いの環境を・・・来年も作る努力を続けたいと思います。
さて、いつものように最後になりましたが・・・「上越だより」を今月も送って下さった下西隆子さん、そして、連載の皆さんに感謝して、今年最後のあとがきにしたいと思います。ありがとうございました。 来年もどうぞよろしくお願いします。
(Y.K.)
PS:昨年12月発行てらこや新聞のあとがきです。