人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あとがき (てらこや新聞30号 亀井先生のコーナーより)

夏休みがようやく終わったと思ったら、松阪市内の中学校、高校では順に前期末試験が始まりました。夏バテなんてしていられない日々がまだまだ続いています。忙しいですが、私は、朝、ジョニーと体力づくりをし、毎晩、少しずつ本を読み「秋」気分を味わいながら、毎日の仕事を楽しんでいます。

「読書の秋」コーナーでは小説を紹介しましたが、現在私は「とてつもない日本」という前外務大臣、現自民党幹事長の書いた本を読んでいます。もともと私はこの方が好きですが、ますます好きになれる興味深い本です。麻生氏の・・・格差社会や少子高齢化、そして東大への考え方に私はとても共感しました。

私は、東京外国語大学のポルトガル・ブラジル語学科を卒業しています。昔から外国語が得意で父のような英語の先生になるのが夢の1つでした。父が他の外国語も知っていた方が英語だけでなくいろいろな知識、理解も深まる、英語はどこでも勉強できるから、外大に行くのなら、英語以外を勉強してみてはどうか・・・とアドバイスをくれ、私のアメリカでのルームメートが日系 ブラジル人だった上に、当時、日系人が多く日本に働きに来ていて需要が見込まれたことから英語の次に私が親しみを感じたポルトガル語を選択することにしました。

私は受験生当時・・・外大を第一志望として、5校に願書を提出し、3校を受験しました。4校までは、センター入試を受けるまでに決定していたのですが、センター入試の成績が良かったので、私は第5志望を「東京大学文科三類」に決定しました。センター入試で9割をとった私と父には、「東大に受かって蹴る」という野望が、現実になろうとしているように思えたからです。結果は、センター入試に9割をとっても行けない大学が「東京大学」だということを思い知ったのですが、私には、劣等感はありません。そして、「東大なんて」という負け惜しみを言う気もありません。なぜか・・・といえば、どのみち、私が勉強したいことを提供してくれる場所は「東京外国語大学」だったからです。そして、現在の私があるのも、その大学に行ったおかげです。

以前のあとがきで、「東大は野球が弱いから嫌、僕は慶応がいい」と言った中学生の話をしました。私は、幼くて何もわからないときには「東大に行く!」「総理大臣になる!」、「プロ野球選手になりたい!」と好きなことが言え、だんだん自分の実力や社会を知るにつれて、選択肢が別の方向に広がっていく・・・のが子どもたちの健全な成長だと思います。

麻生氏は「とてつもない日本」の中で、以前は、大学やそれに匹敵する学校は、それぞれに特色があり、自分の求めるもので学校を選んだから、東大出身ではなくても、しっかり誇りを持っていたけれど、今は特色ではなく偏差値で大学を選び1位は東大、2位は京大などというかたちになっていることが「格差社会」の問題を煽る人々に利用されているというような趣旨のことを言っています。私もそう思います。東京大学では、外国語を専門に学ぶことはできないのです。そして、野球も弱いのです。

私は、東京外国語大学と上智大学、両方のポルトガル語科に合格しました。私は、もちろん外大に行くつもりだったのですが、どちらに行くべきかと父と兄が悩み始めました。そこで、私は、いろいろな人に意見を聞いてみました。留学をして、実用的な語学をしたいなら上智、しっかりと知識をつけ、公務員なども目指す余地があるなら外大・・・というのが、ほとんどの人の意見でした。幼い頃から「東京外国語大学」に行くことを夢見てきた頑固者の私には、上智へ行けなどという、人の意見を聞き入れる気など全くなかったのですが・・大学は自分の目標のために勉強する場所・・・だと改めて教えられました。

大学だけでなく、高校もそうです。そして、勉強も自分の将来・・・目標のためにするのです。「自分の将来のため」に今何をするべきか・・・そして、そのために何が必要か。自分には何ができるのか。まだはっきりとしない目標ならば、目標を定めるためにできることは なにか・・・子どもたちにはしっかりと考えて欲しいと思います。同時に、大人たちも彼らにいろいろな意見や助言を与えられる存在になる努力をしてほしいと思います。幸いにも、私には、両親、兄姉、そして、その他、適切なアドバイスを下さる年長者が必ず周りにいてくれました。そして、現在もそのような人々に頼りながら毎日を過ごしています。

寺子屋の生徒だけでなく、日本の子供たちの多くにいろいろな形で適切なアドバイスを与えられる大人たちが増えていくこと、そして、自分たち自身がそういう存在になれることを願いながら・・・今月も「てらこや新聞」の発行ができました。いつものように最後になりましたが、下西さん、今月も「上越だより」をありがとうございました。そして、私と小野君の同級生、連載のみなさんありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

(Y.K)

(9月15日発行てらこや新聞30号のあとがきです。)
by terakoya21 | 2007-10-15 12:02 | あとがき

英語塾の寺子屋かめいの元気を発信します


by terakoya21