Bonjour! (てらこや新聞103号 谷のコーナーより)
2013年 11月 10日
夜明けとともに台風は過ぎ去り、いつもより早く家を出た朝、目の前の空に虹の切れ端を見つけた。
太陽や星のようにいつもそこにあるわけではなく、偶然に出会うものだからよけいに嬉しいのかもしれない。虹のしくみを学んでからは、ホースやジョウロで小さな虹ができる楽しさに魅了され、夏休みにはやたらと水撒きをしていた記憶がある。けれど、自分でつくる虹は大空にかかる虹には到底およばないこともわかっていた。
学校からの行き帰り、ふと見上げた空に七色の橋を見つけたときには、だれかに教えるまでどうか消えないことを願いながら自然と速足になっていた。二重に見えるときや両端から途切れなく半円を描いているときには、ますます足が速くなった。
そういえば、前回虹を見たのはいつだっただろう。思い出せないくらい前のことのような気がするのは、きっと虹の数が減ったわけではなく、空を眺める時間が短くなったせいだろう。しかし、それと反比例するように見つけたときの嬉しさは増している。
(Y.T)