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アメリカ研修日誌 (てらこや新聞95号 アシスタントのコーナーより)

No. 2 前編 (明日後編を掲載予定です)

2日目

用意してもらったベッドでぐっすりと眠って、アメリカに来て初めての朝を迎えた。あれこれ支度をしていると、ジョンさんがやってきた。今日もにこにこ、優しい笑顔のジョンさんだ。昨日は車中で、ヒューストンの街を私に見せてやろうと、どこに行こうかいろいろ候補を挙げて話してくれていたような気がするのだが、どこに連れて行ってくれるのだろう?今日の予定を全く把握できていない私だったが、とにかく出かける準備を急いだ。 セシルさんは、今日もオーバーオールにブーツ姿でリビングに現れた。カウボーイハットはなしかなぁと思っていたら、家を出るときになるとやはりその手に握られていた。

みんなで車に乗り込み向かった先は、IHOPというファミリーレストラン。 青と白のシンプルな看板が目印だ。店内の様子は、日本のファミレスとあまり変わらない。(というより、日本が真似してるのか。)でも、こんなに真っ青なシートのお店は日本にはなさそうだ。英語だらけの写真の少ないメニューにまた戸惑ったが、迷った末にプレーンパンケーキを注文した。運ばれてきたパンケーキは3枚重なってバターが乗っていた。ジョンさんがテーブルの端から4種類のシロップをとってくれた。「これがはちみつで、これがブルーベリーで・・・」と説明してくれ、「少しずつ試して好みのを見つけたら、たっぷりかけな」とアドバイスしてくれた。言われた通りに全種類試してから、ラズベリー(だったかな?紫がかった ピンク色の甘酸っぱい)ソースをたっぷりかけた。

早く食べ終わったジョンさんが方言講座を始めた。教わったのは “y’all”※1 と “red neck”※2 ジョンさんに続いて発音する。どういうときに使うのか例文を出してくれたので、y’allのほうはyouの複数形(あなた たち)かな?となんとなく意味を推察できたのだが、red neckのほうはさっぱりだった。ただ、聞こえてきた「労働」「日焼け」「首」という単語から想像するに、あまり良い言葉ではなさそうだ。それにしても、ジョンさんは親切だ。

おいしいパンケーキをいただいた後は、どこに向かっているのかもわからないまま、1時間は車に揺られていたと思う。車窓から見える景色は、立ち並ぶビル群から開けた牧草地に変わっていた。ところどころに牛の姿がみえる。私は車外の風景に目をやりつつも、隣に座ったジョンさんとの会話に必死だった。ジョンさんは 私とコミュニケーションをとろうと一生懸命話題を提供してくれる。だが、昨日の今日で話せるようになっているはずもなく、私は相変わらず、あぁ・・・えぇ・・・を繰り返した。

何を聞かれたのか何と答えたのかほとんど覚えていないが、ひとつ覚えていることがある。それは第二次世界大戦について話したことだ。原子爆弾の話にもなった。大戦について日本ではどのような教育を受けてきたのか?というような質問だったように思う。「ただ知りたいのだ」という感じでジョンさんは聞いてきた。亀井先生が「うーん、ざっとこんな感じかな」というのを説明してくれてその場は 過ぎていったのだが、日常会話もままならない私にそんな質問が向けられるとは、少し驚きだった。でも、ジョンさんが私や日本について「興味がある」「知りたい」と感じてくれていることはよくわかった。

これがきっかけになったのかはわからないが、私はテキサス滞在中に、「この国(アメリカ)が日本の敵国だったことがあるんだな」と、ふと思うことが何度かあった。そして、「日本は負けたんだな」ということも。だからといってマイナスの感情が出てきたとかいうことではなく、ただ単に「そうだったんだ」と思った。

つづく
※1 y’all:[jɔ'ːl] [代]((米南部方言)) きみたち (youの複数形が起源らしいのですが, 単数にも用いられるそうです)
※2 red neck:[名]((米口語・軽蔑))赤っ首(野郎) 《米南部の無教育の白人労働者》
(外で仕事をして首筋が日焼けで赤くなっていることから。a red neckのイメージは、「あまり教養がなく、言葉はとてもなまっているアメリカ英語を喋る人」というものらしいです。red neckは失礼な言葉ですが、アメリカ人は冗談や悪口を言う時にも使うそうです。)

出典: goo辞書 http://dictionary.goo.ne.jp/
研究社 新英和中辞典
参考: 英語with Luke http://www.eigowithluke.com/
by terakoya21 | 2013-03-05 14:25 | アメリカ研修日誌

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