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寺子屋の日々 Days in Terakoya (てらこや新聞91号 亀井のコーナーより)

~ 進学校って何だ?! ~

このようなことを言うと母校の先生に叱られそうだけれど、私は「進学校」と評判のある学校に通ったことがない。進学校だからと学校を選んだこともない。そして、寺子屋かめいは「学習塾」で「進学塾」ではない。だから、生徒たちや親御さんたちの学校の選び方に首を傾げることがある。私は、中高一貫教育の私立中学・高校に通っていた。その学校を選んだのは私自身で、本当に単なる思い付きから受けてみたら受かった程度のことであり、もちろん、親から何か言われたことはなく、むしろ父はこの選択に当初反対だったという。私がこの学校を選んだ理由は単純明快:「英語教育が優れている」と評判だったから、そして、「制服がかわいく、また姉たちが行っていない学校」=「すべてのものを新調してもらえる」からだった。末っ子で、長女と4学年差の私が、姉たちと同じ学校に通って、何かを新調してもらえる可能性は限りなくゼロに近かったから、私にとっての私立受験は「賭け」であり、「チャンス」だった。(^_^;)

一方、私は、自分は大学に行くものだと思っていたし、行くことを心から願っていた。そして、私の希望するようなことが勉強できる大学への推薦枠をこの学校は持っていた。当時私が行きたかった大学は、わが母校「東京外国語大学」か「上智大学」だった。「小学6年生でそこまで考えている人などあなたぐらい」…とよく言われるけれど、私は、結果的にどちらの大学にも受かり、父と伯父の母校である「東京外国語大学」へと進学を決めたけれど…「『上智』か『外大』に行くためにセントヨゼフに行きたい!」と6年生で言っていたとき、私の周囲は、私がどちらの大学にも受かること、もしくは、どちらかの大学に行くことを、誰一人として信じてはいなかったと思う。というよりむしろ、6年間、変わらずその道を追い続ける可能性は低いと思っていただろうし、また、私自身、ただ、「団体行動」を押し付けられる義務教育や高校教育ではなく、自分の好きな勉強ができると聞いていた「大学」にあこがれ、何もわからないまま理想を口にしていただけだった。

そして、この仕事をしながら、自らの経験やそのときどきに思っていたことを振り返って、いつも感じるのは、若者の成長にとって、学校の評判、偏差値、そして成績ではなく、周囲の年長者の導きがいかに大切かということである。私は、よく親の経歴を見て、「親が頭がよいから生まれつき頭がよい」というようなことを言われることを、幼い頃から不快だと感じてきた。わが両親の頭がよく、それなりの学歴や経歴を持っていることは、否定しない。けれど、私が学校での勉強やさまざまな取り組みをそれなりにこなし、結果や成果を出せたのは、両親、学校の先生をはじめ、周囲にいて下さった年長者が、いろいろな場面で、「人生で大切なこと」をきちんと優しく、でも、厳しく教えて下さったからだと思う。そして、私が道を外れていかないように導いて下さっていた。

そんな私は、今、「点数」や「偏差値」や「成績」に大人も子どもも左右されすぎていると思う。「偏差値」の高い生徒が合格する大学が必ずしも、皆に良い大学ではない。そして、大学にしても、高校にしても、入試における生徒の得点の高さは、まだその学校のおかげでもなければ、その学校を評価するものでもないはずだ。それは、それまでに受験生が受けてきた教育の賜物で、その学校の評価点ではないはずである。それなりに学力を持った生徒が、出口で…卒業時にどのような若者に成長し、その後、どう過ごしていくかが、その学校の評価点であるべきだと私は思う。

もちろん、受験生の偏差値が高いということは、高校や大学を選ぶ1つの指標だ。自分の偏差値が50そこそこなのに、平均が65以上という大学には入りにくい。しかし、自分が目標の1つとして勉強を進める基準とはなり、その大学(高校)に入るためにどうすべきかは、人の意見を聞きながらでも、自分で考えていくものである。その「自分で考える」ことができるかどうかが、次の進学先での成功の鍵なのである。

私は、それを教えた上で、次の進学先へと生徒を送ることができる学校が「※進学校」だと思う。そして、そんな学校では、自分から大きな声で主張しなくても、「※2文武両道」に長ける生徒が自然と生まれてくるのだと私は思う。そう考えると我が母校は「進学校」でもあり、「文武両道」をすすめる学校でもあったのかもしれない。

(Y.K)

※多数の卒業生が難易度の高い大学(高等学校)に入学している高等学校(中学校)。一般に進学率の高さではなく、難関校入学者の多い学校をいう。(大辞泉)

※2文事と武事との両方(大辞泉)
by terakoya21 | 2012-10-28 07:00 | 寺子屋の日々

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