不思議な宣長さん(てらこや新聞88号 吉田館長のコーナーより)

第十五話 『古事記』の展示

和歌子 奈良で「古事記の歩んできた道」という展示が始まりました。

らん 奈良は、東大寺には行ったことがあります。

和歌子 近鉄奈良駅から東大寺や若草山にむかって歩きはじめると、すぐ鹿が居る奈良公園があります。

らん 鹿は知っています。おせんべいをあげました。

和歌子 公園の中の奈良国立博物館が会場です。毎年秋に「正倉院展」が開かれるところです。

らん 『古事記』がどっさり出ているのですか。

和歌子 一室だけです。広さは、本居宣長記念館の展示室くらいかな。

らん えっ、狭いんだ。

和歌子 実はこの狭さが大事なのです。

らん どうしてですか。

和歌子 『古事記』が出来て、今年は1300年。その1300年の歴史は、たったこれだけで語ることができるんです。

らん ???

和歌子 展示品は、いろいろあるけど大事な物はたった三つだけなの。

らん 何ですか?

和歌子 太安万侶の墓誌と、『真福寺本古事記』、そして本居宣長の『古事記伝』です。

らん たったそれだけ?

和歌子 太安万侶の墓誌は、『古事記』を書いた人のお墓に埋められた亡くなった日を書いた銅の板です。つまり、作者、編集者といった方がいいかな、稗田阿礼の資料は残っていないから、これが唯一の資料ですね。

らん 作者の資料がまず一つめ。

和歌子 次は、現在残っている一番古い『古事記』が、大須観音って知ってる?

らん 名古屋の大須は買い物に行ったことはありますが・・

和歌子 そこにあるお寺です。そのお寺に残っているのが国宝『古事記』。

らん 原本は残っていませんものね。

和歌子 奈良時代の本、というか当時は巻物だったと思うけど、それは残っていません。

らん 残っていたらすごいですね。

和歌子 いろんな謎が一挙に解決します。

らん どんな謎ですか?

和歌子 たとえば、宣長さんが一所懸命に証明したことですが、『古事記』は本当に712年に出来たのかという謎です。

らん 解決済みですよね。

和歌子 宣長さんの説をひっくりかえすことは出来ませんね。

らん 本物があったら、宣長さんが正しいことが証明されると言うことですね。

和歌子 その通りよ。

らん 三つめが宣長さんの『古事記伝』ですね。

和歌子 宣長さんがこの本を書いて、『古事記』の価値を発見したから、太安万侶も『真福寺本古事記』もその存在が一層輝くのです。

らん 三つが互いにつながっているんですね。

和歌子 つながってそれぞれの美しさは無限に輝く、これを「パールネットワーク」と言います。石ころがつながっているのじゃない。世界にあるものはみなパール(真珠)だという考え方です。おおもとは「華厳経」の考えに基づいていますが・・

らん !?

和歌子 奈良の大仏さんは華厳経の教えの象徴ですが、これはわからなくてもいいです。
『古事記』1300年を形作る三つの点だけ覚えておいてください。あと、明治の頃に出た因幡の白ウサギの絵本(英語版だよ)とか、『古事記』関係の本がいろいろ出ていますから、機会があったら寄ってみてね。

らん はい。
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by terakoya21 | 2012-08-31 13:15 | 不思議な宣長さん

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