不思議な宣長さん (てらこや新聞81号 吉田館長のコーナーより)

第十話 鈴が鳴る

らん この前の日曜日、ベルファームに行ってきました。先月、広場に小さなログハウスが出来て、ベルが掛けてありました。なるほどベル・ファームだと思いました。

和歌子 あの名前は、宣長が鈴が好きだったからついたのよ。

らん 「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る」だけど、鈴とベルは一緒ですか?

和歌子 普通、ベルは半球形だし、鈴は丸くて閉じた形ね。でも最新の説では、ルーツは同じ半球、釣り鐘形で、それが閉じていったと考えられています。

らん 宣長さんの鈴はどんな音色ですか。

和歌子 さやさやと鳴ったそうですよ。

らん 気持ちがよくなる音ですね。でも、かえって眠くなりそうです。ところでどうして「スズ」というのですか。

和歌子 同じことを友だちから聞かれて宣長さんは「わからない」と答えています。

らん 宣長さんでもわからないことがあるんだ。

和歌子 結論は、「わからない」だけど、あらゆる可能性を検証していくのが宣長さんですね。

らん しつこく、ですね。

和歌子 納得が行くまで、ああでも無い、こうでも無いと考え続けるのが好きなんですね。『古事記伝』の中でも、「考への及ばむかぎり、試みには云ふべし。其中に正しく当れるも、稀には有るべきなり」と言っています。

らん 下手な鉄砲も数打ちゃ当たるですか。

和歌子 決して下手とは思いませんが、でもそうね。問題意識を持っていると、時にはセレンディピティーserendipityもあるのよ。

らん 天使からのプレゼントみたいなものかな。

和歌子 京都の五条の天神さんを「天使」と言ったと、宣長さんは『在京日記』に書いていますから、五条の天神さんの贈り物ですね。

らん ??

和歌子 わからなくて結構です。それはともかく宣長さんは子どもの頃を、「おのれいときなかりしほどより、書を読むことをなむ、よろづよりもおもしろく思ひて、よみける、さるははかばかしく師につきて、わざと学問すとにもあらず、何となく心ざすこともなく、その筋と定めたるかたもなくて、ただからのやまとの、くさぐさのふみを、あるにまかせ、うるにまかせて、ふるきちかきもいはず、何くれとよみける」と回想しています。だいたい意味はわかりますか。

らん 「いときなかりし」は?

和歌子 いとけない、幼いことよ。

らん 小さな頃から本を読むのが何より好きで、ずっと読み続けてきた。

和歌子 そう。といって特に先生について教えてもらうということもなく、目的もなく、ジャンルも限定せず、日本のものも外国のものも色々な本を手当たり次第、新しいも古いも問わず読んでいた、ということね。

らん 本当の乱読の独学ですね。

和歌子 でもやがて一つだけ基準ができてきたの。それは「好信楽」です。

らん 「コウシンラク」ってなんですか?

和歌子 それは次回のお話としましょう。

(Y.K)
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by terakoya21 | 2012-01-10 16:02 | 不思議な宣長さん

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