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上越だより (てらこや新聞58号 下西さんのコーナーより)

初詣

5年ほど前から、年末年始は京都で過ごしています。初詣には、昨年は「伏見稲荷(ふしみいなり)大社」、一昨年は「宇治上(うじがみ)神社」、そして、今年は「石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)」に行きました。「石清水八幡宮」は、兼好法師が書いた『徒然草』第五十二段に出てくる神社であり、この段は、中学の教科書にも出てくる有名な話です。
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「仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心憂くおぼえて、ある時思ひ立ちて、ただ一人徒歩より詣でけり。」と、始まります。「石清水八幡宮」のある山の麓まで来て、「極楽寺・高良など」を拝み、これだけだと思って、帰ってきます。他の人は、山に登っていきますので、気になりますが、「神に参るこそ本意(目的)なれと思ひ、山までは見ず。」法師が拝んだのは、「石清水八幡宮」ではなかったのです。山(男山)の上にこそ「石清水八幡宮」があったのですが、彼は知らなかったのでしょうか。兼好法師は「少しのことにも、先達(せんだち)はあらまほしきことなり。」と結んでいます。

現在、男山には、ケーブル電車が通っており、「石清水八幡宮」までは楽々といけます。それにしても、念願の神社にお参りをするのに、間違えるかな?と同行の家族と語らいながら参拝しました。

神社仏閣には、何かしら惹かれてしばしば訪れます。初詣以外は、単なる物見遊山ですが。私の好きな神社の基準は、「神さぶ」というキーワードにあります。「神さぶ」とは、「おごそかである・古びて落ち着いている・年を経た感じがする」という意味です。

私が行ったことのある、もっとも「神さび」ていると思う神社は、「伊勢神宮」です。「お社」はもちろんですが、背後に深い森を抱え、川を抱き、澄んだ空気を生み出す神域はすばらしいです。境内に身を置くと、心が改まり、安心感が生まれます。「鎮まる」という感覚でしょうか。私の産土神(うぶすなかみ)である阿坂神社も、「神さび」ています。

昨年お参りした「伏見稲荷大社」も、やはり「神さぶ」の言葉がぴったりの場所です。お社の背後の稲荷山に並ぶ朱色の千本鳥居の風景は、「神さぶ」より「おどろおどろしい」雰囲気でもあります。『不思議の国のアリス』さながら、冥界に誘い込まれそうな「こわい」けれど「おもしろい」場所です。

一昨年にお参りした「宇治上神社」は、日本最古の神社本殿であり、拝殿とともに国宝になっています。ここの「お社」は、わたし流の「神さぶ」の基準にぴったりです。宇治平等院の鎮守社として建てられた由、古さの中にも「みやび」を見ることができます。「源氏物語」の世界まで、タイムスリップできそうな歴史も感じられます。

神社仏閣に行くと、しばしば絵馬を買い求めます。参詣記念のお土産代わりとして買った絵馬の数は、60枚を超え、ちょっとした「絵馬コレクション」になりました。玄関先には、季節に応じ絵馬の展示替えをします。

例えば、春は、九州・太宰府天満宮の「梅の図」、夏は、長野・諏訪大社の「お船祭りの図」、秋は、京都・上御霊神社の「米俵を積んだ宝船の図」、冬は、京都市吉田神社の「鬼の図」。

今年は、寅年です。昨年末にお参りした京都・山科の毘沙門堂(びしゃもんどう)の絵馬は「虎にまたがった毘沙門の図」なので、今年のシンボルにしましょう。ここの本尊・毘沙門天(10㎝くらいの小さな仏様だそうです)は秘仏で、厨子の中に収められていて、「前立ち」の毘沙門天を拝むのですが、お寺の人の話では「前立ち」が、数年前に盗まれたそうです。(犯人は四日市の男だった。)この「前立ちの毘沙門天」は、腰を少しひねった姿がりりしくもかわいらしく、護摩壇(ごまだん)の煙にいぶされて、よい風合いになっていました。盗まれたのは、凶事ですが、戻ってきた幸運にあやかりたいものです。
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by terakoya21 | 2010-02-20 20:48 | 上越だより

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