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BROADアイ (てらこや新聞51号 小野さんのコーナーより)

ラテ欄

毎日、新聞に掲載されるテレビ番組表。皆さんはどのぐらい注目しているだろうか?僕らテレビ局員は、これを書くのに結構、時間をかける。番組ごとにプロデューサーや総合演出などが文言を考えて新聞社あてに提出する。僕も担当する前の日はこれに頭を抱えることになる。かつてラジオとテレビ両方の番組表が新聞の同じ面に載っていた名残で業界では今でも「ラテ欄」と呼ぶのだが、「ラテに命をかけろ」と先輩から口酸っぱく教えられたものだ。

まず、1行は10文字と決まっていて、2行に渡るときでも単語の途中で改行になるのは格好悪い。だから言葉のパズルのようなものである。そして、①見ると得になりそう②楽しそう③知られざる事実を知ることができそう、といった期待感をいかにこめられるかが腕の見せどころだ。そこで自然と多用される単語が「衝撃」「潜入」「㊙」「ウラ」「ナゾ」「注目」。そして「!」は、とりあえずつけておく。

1つ例題。
6月1日に薬事法が改正されて医薬品の販売方法が大きく変わった。規制緩和でスーパーやコンビニも参入するので競争は激しくなる。さて、ニュース番組でどんなラテにするか。次の2つを比べてみてください。

①「きょうから薬事法改正」
②「薬販売めぐり戦々恐々」

2つを比べると②の方が「何が起きているんだろう?」と気になるはずだ。

バラエティ番組の中でも『エンタの神様』などは単純明快。「トーテン&モエヤン&サバンナ&Fポンチ&芋洗坂&阿曽山&出雲&アンジャ」…って、芸人の名前の羅列だ。でもこれも“1行10文字パズル”で毎回、考えるのは意外に大変だろうな、と思う。

かつて日テレでは、画数がやたらに多い、「魑魅魍魎」「蒟蒻」「傀儡」「蛙鳴蝉噪」「余韻嫋嫋」「縷縷綿綿」…こんな単語のオンパレードでラテを出したツワモノ演出家もいた。こうするとパッと新聞を広げてみた際に、そこだけ黒ずんで見えて目立つというのだ。うーん、確かに。

各番組担当者の「苦心」のほどを、時にはお楽しみください。
by terakoya21 | 2009-07-23 14:18 | Broadアイ

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