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上越だより (てらこや新聞49号 下西さんのコーナーより)

上越・花便り 「さくら」の巻

私が住む上越市の高田地区は、歴史的にもこの地方の行政・文化の中心地でありました。また、文教地区でもあり、付近に4つの県立高校があります。

上越市で、宴会、とくに学校の送別会の最後に歌われる歌に「高田の四季」があります。

高田の春は爛漫と ・ 古城を包む春霞 ・ ああこの地我等が故郷・
頸城平(くびきだいら)の緑を越えて ・ 虹が懸かるよ妙高山(みょうこうさん)に



7・5調のこの歌は、旧制高田中学(いまの県立高田高校)の教師・町田太郎氏が昭和21年に作詞作曲をしたもので、昔の寮歌を思わせる節回しは味わい深いものです。この「高田の四季」の春に詠まれた「古城を包む春霞」とは、高田城趾の桜を意味します。

4月3日から19日まで、日本三大夜桜と銘打って、第84回「高田城百万人観桜会」(上越市主催)が開かれます。高田公園には、現在約4000本の桜が植えられているそうです。明治42年、在郷軍人会が、高田城趾内に陸軍13師団の設置されたのを記念して、2200本の桜を植えたのが始まりだそうです。今から100年前のこと、花見の時期だけ特別に、城趾が市民に開放されたとか、地元紙が伝えていました。この地は軍都でもあったようです。

この「観桜会」では、お堀を含めた城跡にある3000本を越えるソメイヨシノに、ライトアップのため3000個のぼんぼりが飾られます。15本ほどのしだれ桜には、さらにグレイドアップした照明が加わります。ソメイヨシノの他に、全国各地の珍しい桜も植えられています。公園内にイベントのできるステージが設置され、様々な歌や踊りなど「ショウ」が企画されています。仮設の食堂や屋台の店も出ます(露店の数は約300店)。人出が多いと、交通渋滞なども問題になりますが、最近では、歩道の拡張整備や駐車場の確保、シャトルバス運行など、だんだんに改善されてきました。市当局の「観桜会」に対する意気込みの「本気度」が伺われるようになってきました。

また、地元の特産品を商品化したり、桜にちなんだ土産物も増えて、観桜だけでない、いろいろの楽しみが増えたように思います(今年はさらに謙信グッズも)。この上越最大のイベントには、昨年も100万人を越える観光客が訪れました。いつも静かなこの界隈(本城町-私もここに住む)は沸き立つようです。

上越に住んで20年になりますが、ここの桜は実にすばらしいです。

〈すばらしい点その1〉
桜の木の密集度が高いこと。満開時には、この界隈は桜色の雲に覆われたようです。

〈すばらしい点その2〉
お堀があるので、水辺と山の風情が同時に味わえること。昼もきれいですが、夜になると特に水面に映える桜を観賞できます。散った後の花筏(はないかだ)というのも、いいものです。

〈すばらしい点その3〉
雪国の鬱屈した思いがはれること。今年は雪がほとんど降らなかったのですが、例年積雪を心配し、日本海側の悪天を我慢していた心が、解き放たれる感じになります。


桜の花については、いろいろの分野(詩歌・小説・絵画など)で古くから愛でられています。桜の名所も各地にあります。しかし、「桜のある風景」が、人の心を打つというより、その時の心情が「桜」を見ることで響き合うような気がします。

学生の頃、金沢の兼六園の桜も何度も見ました。見事でした。が、それよりも函館在住のおりの五稜郭の桜、淡い色の桜、5月になって待ちこがれた桜が、子育ての苦労や望郷の念とともに思い出されます。「風景と心情」は、切り離せないと「桜」を見ては痛感します。

「桜」をテーマにした歌も、この時期テレビ・ラジオでいろいろ紹介されます。私の「桜ソング」は、合唱曲「さくら」(御木白日 作詞 大熊崇子 作曲)です。

花が咲き ・ 花が舞う ・ 清らかな光をうけて ・ まぶしくもえあがる・
花 花 花 ・ 花の波のなか ・ 白いおもいが ・ おどっています


10名足らずのママさんコーラスの一員として、歌ったこの歌。難曲でしたが、曲の中盤にソプラノ、メゾソプラノ、アルトの3パートが、掛け合い、「はながさき はながちる」の言葉の繰り返しにのせて、メロディーが重なり高みに行きます。満開の桜の、風を受けて散るイメージは、歌っていて至福の瞬間でした。
by terakoya21 | 2009-05-16 20:35 | 上越だより

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